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グラブル「おじさんサウナ人生」全元ネタ解説(追記あり)
※この記事はグランブルーファンタジーのイベント「元帝国軍人のおじさん(37歳)がサウナに目覚めたら人生もととのった話」のネタバレを含みます。
※課金記事ですが、全文無料で読めます。ちょっとがんばって書いたのでよかったら支援してください。
※称号や武器、その他少し追記しました(30日19時)
※復刻されるそうなので、白銀荘とかについて追記しました。いまイベント追えてないんですが、もし復刻での追加要素とかあったら教えてください(2023.4.13)
サウナ?サウナナンデ?!
ライオンマスクです。ウマ娘が異世界モノ、グラブルがサウナのイベントをやりはじめたため、「異世界サウナ」の検索結果がおかしくなってしまった。
昨今のサウナブームもあり、メディアでサウナが取り上げられることも少なくないのですが、まさか登録ID数3000万人を超える超大規模ソシャゲ『グランブルーファンタジー』で、サウナを主題にしたイベントをやるとは思いませんでした。
ストーリー自体も大変良かったのですがそれは最後に回すとして、驚いたのは作中に登場するサウナが非常によく取材されたものであり、ある程度有名サウナに行ったことがあれば元ネタがわかるほどのものだということです。プレイ中も終始にやにやが止まりませんでした。
シナリオライターに敬意を表し、かつそのサウナへの愛がどれほど深いかを皆さんにお伝えするために、『サウナ怪人』ことライオンマスクが元ネタと思われる部分をお伝えします。
スクショが大量にあるので、見づらかったらごめんなさい。時系列順にいきます。
第1話 そよ風の湯
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ホームサウナ:サウナーは自分がよく通うサウナをホームサウナと称します。ライオンマスクのホームサウナは『改良湯』です。
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偶然:マンガ・ドラマ『サ道』(タナカカツキ著)のキャラクター、偶然さんの口癖。作中に登場したサウナ「北欧」に行くと、役者の人のサインにも「偶然偶然!」と書かれている(たしか)。ちなみに、そよ風の湯名物のカレーは、『北欧』のカレーを元ネタにしているとおもいます。
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サウナマット:サウナによっては、座るときにお尻にしくビート板のようなマットを提供しているところもある。一人一枚とって、出るときに返す。これがあると衛生的でちょっと安心。最近は自前でサウナマットを持ち歩くサウナーもいる。
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水風呂に身を任せる:これはマジでそう。力を抜いて深呼吸しながら入ると良いです。
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水風呂に入る前には汗を流す:サウナで重要なマナー。ちなみに、錦糸町の『ニューウィング』では「かけず小僧」として手配書の高札のようなものが掲げられている。
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外気浴の前に水分を拭く:これもサウナサイクルで有用なテクニックのひとつ。理由はイングヴェイが語っているとおり(これ初めて知った)以外にも、外気浴中に気化熱が奪われすぐに寒くなってしまうことを防ぐためでもある。
第2話 バルツ健康センター
全体:名前と後述する「薬草風呂」の記述、及び「温泉」「乗り合いバスで行く」「イベントがよく行われている」あたりから、おそらく『草加健康センター』が元ネタです。有名なサウナで、以前レポ記事を書いています。
また、「滝」「マーボー豆腐」のあたりは、もしかしたら熊本『湯らっくす』を元ネタにしているかもしれません。(追記:よく考えたら熊本って火の国だし、バルツにぴったりかもですね)
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薬草湯:局部がピリピリするほどの濃さの薬草湯は、『草加健康センター』にもあります。褐色のお湯で、マジでピリピリしたのであまり長く入っていられませんでした。
ほかにも、スクショまではしませんでしたが「温泉」「高濃度炭酸泉」も『草加健康センター』にあります。あと、ビンゴ大会なんかのイベントもよく行われているので、そのあたりも元ネタにしていると思います。
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氷の入った箱:サウナ室の前に氷が置いてあって、口に含んで水分補給しながら入れるサウナもあります。たしか、錦糸町『ニューウィング』と神戸『神戸サウナ&スパ』にはあったとおもいます。サウナの出入り口付近に冷水機とか、部活の合宿みたいなジャー(グラブルでは「巨大な水筒」になっていましたが)があるとホスピタリティのランクが上なのを感じますね。
なお、元ネタになっている『草加健康センター』では、冷水機はもちろんながら、巨大なクーラーボックスに氷が敷き詰められていて、利用者が飲み物のペットボトルを冷やしておけるシステムもあります。取材に行った時にはなかったのか、あるいはペットボトルがグラブルにないからオミットしたのかはわかりませんが、ともかく「氷での水分補給」はかなりいろいろなサウナに行っていないと出てこないリアルな描写です。
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15度:一般的に適温とされる17度~16度よりも低いので、低めの温度設定といえます。オイゲンやソリッズみたいな年配の人にはこっちのほうが好まれるかもしれません。なお、『草加健康センター』の水風呂も15度以下、かつバイブラまであり相当冷たいです。本編中に水風呂の度数自体が数字で出てくるのはここだけなんですが、そこで「15度」をチョイスするのはかなりリアリティがあります。(つめためだなあ、と思う数字のため)
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テントサウナ:そこまでやるの?!って思った描写がテントサウナです。テント型のサウナですが、これは実在し、10万円ぐらいします。サウナ施設のなかには、作中のように屋外にテントサウナが体験できるスペースが設けられているところもありますが、かなりレアです。いいなあ。
このくだりではテントサウナでロウリュしてメチャクチャアツい、みたいな描写がありますが、テントサウナは普通のサウナより空間が狭く、かつストーブまでの距離が近いため、強めにロウリュするとメチャクチャアツくなります。体験していないとでてこない描写だとおもいます。
(追記:中庭でテントサウナ、というのはドラマ「サ道」でとりあげられていた『湘南ひらつか太古の湯 グリーンサウナ』(現在は閉館)ではないか、という言及がありました。実際他の元ネタが「サ道」で取り上げられていたのもあったので、そうかもとも思いましたが、テントサウナを体験できるイベントは『スパジアムジャポン』などでも行われているので、明確にそこが元ネタとは絞れませんでした。スパジアムいってみたいなあ)
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ロウリュ・セルフロウリュ:まず「水をかけて蒸発させる行為をロウリュと呼ぶ」でもう100点。あとで出てくるタオルであおぐ行為はアウフグースというのですが、日本ではロウリュと称されることも多いためです。ここを明確にしているのはちゃんとしてる。セルフロウリュができるというのが特筆すべきこと、というのも描写としてリアリティがあります。ここではテントサウナなので自分でやるしかないのですが、一般のサウナ室でセルフロウリュができるところは限られていて、できると楽しいです。おすすめは笹塚『マルシンスパ』です。
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耳が痛い:サウナで強烈な熱波を浴びると、まず耳から痛くなる。これはサウナーあるあるです。なんででしょうね。ちなみに、熱波やロウリュを受けるときにはこうした痛みを防ぎたければ、身をかがめて背中で熱気を受けるのが良いです。
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マーボー豆腐:『草加健康センター』にはマーボー豆腐があったかどうか覚えていませんが、似た施設でマーボー豆腐を看板にしているのは熊本『湯らっくす』です。辛くておいしい。また、ソイヤの圧でスクショはしわすれていましたが、『湯らっくす』には上から滝のように水がふってくる水風呂もあるので、滝でソイヤしているシーンはそれが元ネタかもしれません。
第3話、第4話 スパ・ザ・ブルー
全体:名前、ロケーション、水着で入る、アイスサウナ、端の見えないプール、パノラマサウナ、というところから総合して、大磯プリンスホテルの『THERMAL SPA S.WAVE』が元ネタだと思います。ここも以前レポをしています。ちなみに、元ネタのほうはそれなりに年配の人や、同性どうしの利用者も多かったです。
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端まで水があるプール:いわゆるインフィニティプールです。元ネタのサウナにもあり、たいへん景色がいいです。
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こんな感じ。これは「落ちないのか?」と心配になるのもうなずける。
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ジャグジー:もちろん元ネタにもあります。バーカウンターでお酒を買ってジャグジーで飲めます。金持ち気分。ただ、数が少ないのでカップル同士で奪い合いになりますが。イシュミールちゃん……えっちだ……
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アイスサウナ:これの描写が出た時、マジのやつじゃん!!!!と手を叩いてしまったアイスサウナ。存在します。雪が降ってます。ちなみに、アイススサウナというかクールダウン用の部屋というのは岩盤浴系の施設に多いです。雪が降ってるのはめったにないけど。
追記:ちなみに、アイスサウナというと一般的には冷却室のことを指す場合が多いです。水風呂のかわりにめっちゃ冷たい部屋で体を冷やすタイプのものですね。「サウナラボ」系列にありがち。先日閉店した「祖師谷温泉21」にもあったなあ。
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パノラマサウナ:存在します。大磯の良い景色をみながら、低い温度でゆっくり過ごせる場所です。これ完全にいったことある人が書いてるでしょ。
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(画像は公式サイトより)
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熱波師:アウフグースを行う人のことを熱波師と呼びます。ちなみにアギエルバの「暁の熱波」というのは前述した『草加健康センター』で朝方行われるアウフグースイベントの名前にもなっています。また、掛け声の「1,2,サウナ!」というのはうるさい系のアウフグースでよく使われる掛け声です。僕は静かな方がいいです。
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バトル画面:なんだこの作り込み???????上級者のカリオストロが上段、初心者のデリフォードが下段にいるのはそれらしくていいですね。(上段のほうが熱いです)また、背景にはしっかりサウナストーブとヴィヒタの束があるのも良いです。ちなみに、温度計は80度をさしていますが、熱波により体感温度はそれよりもかなり高くなります。
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水がうまいからご飯もうまい:これは良い水を使っているサウナ施設でのあるあるで、他にも味噌汁がうまかったりします。代表的なところでは『サウナしきじ』でしょうか。
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ハンスポ:元ネタはオロナミンCとポカリスエットをわったもの、通称オロポです。サウナの後に飲むと良い。なんかこの下りで女の子がゴリラのマネをするニッチな性癖を見せられた気がするんですが。
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トンチキを重ねるな。ところで女の子の館内着かわいいですね。
第5話 最果ての白銀(追記あり)
全体:これは名前とシチュエーションからして北海道にある『白銀荘』が元ネタだとおもいます。ここだけは行ったことがなくてリアルに実情を知らない……ドラマ「サ道」スペシャルでも取り上げられた場所で、水風呂がわりに雪にダイブするのがいいらしいです。でも、冬の北海道とか気軽にいけるわけないじゃん。また、湖にダイブとか、ヴィヒタで叩きあうとかは本場フィンランドのサウナ小屋のイメージだと思います。
追記:夏ですが白銀荘に行ってきました。
実際にいった感じからすると、グラブルのほうはどちらかというと本場フィンランド、という描写だと思います。
白銀荘、ログハウスみたいな大きなサウナで、しかもかなり設備がこだわってはいたのですが、ここまで秘境という感じではなかったです。(アクセスが非常に厳しい場所にはあるんですが)
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神聖:『サウナに入るときは教会に入るようにせよ』という言葉があります。
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温度と湿度:「ライター、理解(わか)ってんなーーー!」とおもったのは、サウナ室内の温度と湿度についての言及です。サウナ室内では温度と同じぐらい湿度が重要で、組み合わせが体感温度に影響します。(なのでロウリュをすると、実際の温度が上がらなくても湿度が上がることで体感温度が上昇する)。日本でよくあるドライサウナは温度が高く湿度が低いですが、フィンランドサウナは湿度が高く温度が低いです。僕は後者のほうが好きです。
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アヴァント:凍った湖に穴をあけてダイブする行為を「アヴァント」といいます。これは僕も知りませんでした。本場フィンランドの水風呂です。やってみたいなあーーーーー。ちなみに、後述する『かるまる』にはアクリルアヴァントという、透明なアクリルでできた筒型の水風呂があります。
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追記:虚無僧:こんな格好でサウナ入るやつおらへんやろ!と思いましたか?実はいます。サウナハット専門店「ベストサウナハット」には虚無僧のように顔全体を覆うタイプのサウナハットがあり、けっこう流行っているみたいです。
ヴィヒタ:白樺の葉の束で、水にひたして香りをたのしんだり、体を叩いて「ウィスキング」したりします。装備の分類は「剣」らしいです。実は日本でも買うことができます。ちなみに、作者は偶然サウナで出会ったフィンランド大使館の人にヴィヒタでベシベシしてもらったことがあります。
第6話 再訪 そよ風の湯
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神狂:バカ!お前本当のバカ!!温度一桁代の水風呂を「シングル」といい、バイブラや水流、「雷撃」という描写から元ネタはおそらく池袋『かるまる』の「サンダートルネード」です。
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(画像はサイトより)
温度一桁代はこうして「シングル」と名前で呼ばれるほどレアな存在で、東京では『かるまる』と赤坂『サウナリゾートオリエンタル』ぐらいでしか体感できない代物です。
実際のサンダートルネードはマジで冷たく、水流がつねに羽衣をはがしてくるので長居はできません。ただし、隣により温度の高い水風呂や不感温浴の風呂があり、それらと組み合わせることで全体で楽しめます。
羽衣:そういえばスクショしわすれていましたが、水風呂に入っていると体の周りの水がぬるくなっていい感じになる「羽衣」というのがあります。だからといってそれをバフにするんじゃあないよ。
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手足の先を出す:水風呂に入っていると手足など体の先端から冷えてきて、そこが痛くなって出てしまうということがあります。なので、水風呂から手足を出すというのは有用でサウナあるあるなのですが……何??ちなみに、作者はよく冷えすぎてしまった手を顔の前で合わせる「合掌」や、顔の体温で手をあっためる「ラッコ」などの技を使っています。
追記:ちなみに、最近オープンした渋谷「SAUNAS」では、水風呂が寝湯みたいな状態になっていて、普通につかると手足が出る構造になっています。すごい。SAUNASはすごいんだ。
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ととのい:水風呂からあがると、マジで血流が流れる音が聞こえるんですよね。やっぱりこれ書いた人サウナ好きだろうな……。
(追記:サウナ→水風呂→外気浴を繰り返していい気分になることをととのう、といいます。語源についてはこちらの記事など。あまりに普通に使いすぎて特殊用語だというのをすっかり忘れていた)
追記:称号その他
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ひさしぶりにグラブルをやったので、称号のことをすっかり忘れていました。
パネッパ:なんかアウフグース関係でよく聞く言葉。元ネタはよく知らなかったのですが有名な熱波師さんとかが言ってる言葉だそうです。(実際のところ、一人静かにととのうタイプなので熱波師には疎いのです)
落雷にでも~:前述のサンダートルネードについて、公式サイトにあったフレーバーテキストですね。水風呂のフレーバーテキストって何???
ディープリラックス:ととのい状態のことをディープリラックスともいいます。
サウナを信じるな:前述の「サ道」に出てくるキャラクターのセリフです。実際、ここでいろいろ話したような手順とか、どこのサウナがいいとか、水風呂が何度がととのうとか、そういうのって個人の脳内でしか起こらない反応なので、この記事も含めて他人のととのいってアテにならないことも多いんですよね。僕もよく「サウナを信じるな」といっています。含蓄ですね。
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サウナハット:サウナに入るときにかぶる帽子です。化学繊維や布、フェルトなんかでできています。通常、サウナは上にいくほど熱いので、頭が一番熱くなってしまうのですが、それをやわらげるための装備です。また、頭髪を熱のダメージから守る効果もあります。サウナ室のわきには、よくサウナハットをひっかけるフックがあります。複数種族がかぶれるようなデザインになっているのに、デザイナーのこだわりを感じますね。…短剣?
ストーリー全体について
ストーリーは全体を通して、身体的にも精神的にも人生の節目に至り、身の振り方を考えている中年・デリフォードが、サウナをきっかけに己と向き合い、コミュニティを得て前に進む、という内容。これが本当に良くて、ライターはサウナと紳士に向き合っているなと感じました。
ストーリーの中で、真面目すぎるデリフォードは、サウナをきっかけにして、少しずつ己のやりたいことや欲望、自分の気持ちを表に出すようになってきます。
サウナの中で仲間に悩みを打ち明けたり、サウナ施設を楽しむことに積極的になったりと、大人という役割・中年という年齢・騎空士という職業……そういったものを理由に抑え込んでいた心の動きがあらわれるようになっていくのです。
最終的に大きな決断を迎えるにあたり、自分の心と向き合って、デリフォードは一歩踏み出すことができました。
サウナは、最近いろいろと取り沙汰されてこそいますが、別に傷が回復するわけでもなければ、病気が治るわけでもありません。
ただ、自分の心と身体と向き合う場であり、なにも飾らずに楽しむ場であり、リフレッシュして「明日からがんばろう」と思わせてくれる場、ほんとうにただそれだけなのです。そして、それはまさしくデリフォードに必要なものだったのです。
サウナの入り方を紹介しつつ、多様なサウナ施設のあり方を見せるシナリオ自体も大変楽しく、元ネタへのリスペクトを感じましたが、それ以上に、『サウナに入ること』『ととのうこと』をただの流行り物や、奇異なものとしてとりあげるのではなく、その本質を抽出し、やさしいシナリオに落としこんでおり、いちサウナーとしては大変素晴らしいものだと思いました。
このイベントをきっかけに、元ネタのサウナに触れ、そしてサウナ文化に親しむ人が増えてくれればいいですね。
それではまたサウナで。
ちなみに、このイベントが発表されるより先に連載開始していた拙作『異世界で追放されても、サウナさえあれば幸せです ーできれば水風呂と外気浴スペースもつけてくださいー』通称 #異世界サウナ も連載中ですので、サウナに興味のある方はぜひ読んでみてください。
サイゲームスがまたやった!サウナイベント第二弾解説記事はこちら↓
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