文体の舵をとれ 2

  一段落 ~ 一 ページ( 三 〇〇~ 七 〇 〇 文字) で、 句読点 の ない 語り を 執筆 する こと( 段落 など ほか の 区切り も 使用 禁止)。 テーマ 案: 革命 や 事故 現場、 一日 限定 セール の 開始 直後 といった 緊迫・熱狂・混沌 と し た 動き の さなか に 身 を 投じ て いる 人 たち の 群衆 描写。

アーシュラ・K・ル=グウィン. 文体の舵をとれ (pp.38-39). 株式会社フィルムアート社. Kindle 版.

 起こってしまったそれはあとは文字通り濁流のように黒くてどろどろした得体のしれないものが溢れ出て街を押しつぶし飲み込んでいくだけで人も建物も道路も何もかもを友達とよく中身のない話をした公園もあまりコーヒーはおいしくなかったけどおじさんが好きだった喫茶店も学校も彼と初めてキスをしたアパートも私の家も両親の墓も嫌だった職場も好きだったものも嫌いだったものもないまぜにしてまるでそれらがぜんぶまるきりなんの価値も意味もなかったかのようにただの黒い平面へと塗りつぶして私はたった一人で高台からその様子をながめて逃げ遅れる人が黒いものに溶けていくのを見て何もできないでただながめているだけでその時には止めようとか助けようとかそんなこと一切思わないよだってそうでしょムリなんだよ絶対にだからこんな力なんて欲しくなかったんだよそれって私ならなんとかできたってことじゃんそんなこと知りたくなかったよ!


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獅子吼れお
サウナに行きたいです!