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映画『マスカレード・ホテル』の感想

初めて見ました!

長澤まさみさん、ホテルマンがすごくよく似合いますね。予告された事件が起こるまでがとても長くて、焦らされる感じがありました。

感想を項目ごとに分けて書こうと思います。

1.クレーマー怖すぎ

クレーマー・・・。部屋のグレードアップ狙いもあれば、ホテルマンを侮辱したいだけの場合もあるようですね。

特に印象的だったのが、英語教師を目指していた栗原という人物です。演じていたのは生瀬勝久さん。
栗原は、教育実習生として赴任した学校で帰国子女である新田(木村拓哉さん)と英語の発音を比較され、侮辱されたことがきっかけで英語教師の夢を断念しました。新田は当時、栗原の生徒で、教科書の例文を読み上げただけでした。栗原を侮辱したのは新田ではなく、別の生徒です。

栗原はその後、職を点々とし、自暴自棄になって高級ホテル(ホテル・コルテシア東京)に宿泊しようとした結果、そこで潜入捜査をしていた新田に遭遇します。夢破れた原因と認識している人物が目の前に現れたことで歪んだ怒りが爆発します。

お金を払っているという優位性を得て膨れ上がった自我と、積年の恨みから来る栗原のめちゃくちゃな言動に、腹が立って仕方がありませんでした。理屈では説明のしようのない屈折した思いに対処しなければならないホテルマン(接客業に従事する人々)の苦労を垣間見た気がしました。

2.運命の分かれ道

劇中では、ストーカーの被害者を装い宿泊する女性客(菜々緒さん)が登場します。夫(宇梶剛士さん)の浮気現場を押さえるために、山岸(長澤まさみさん)をはじめとするホテルの従業員たちに夫をストーカーだと思いこませ、彼が宿泊している部屋の番号を入手するという算段だったのです。

結果として、この計画は成功します。山岸たちは肝を冷やしますが、夫婦が対面したことで一件落着。血を見ることなく冷静な運びとなりました。

これと対照的なのが、松たか子さん演じる長倉という女性。
物語の舞台となるホテル(ホテル・コルテシア東京)で山岸を殺害しようとした人物です。つまり、この作品における「犯人」です。

彼女は年下の交際相手の子を身ごもりましたが、彼に捨てられ、ストーカーとなってしまいます。ホテル・コルテシア東京に宿泊していた交際相手に会おうと試みますが、ホテル側からストーカーと判断されていたため、会うことができませんでした。

この時、フロントで長倉に対応したのが山岸だったのです(山岸の対応は礼儀正しく、適切なものでした)。
山岸に追い返されても諦めない長倉は、身重の体で雨の中交際相手がホテルから出てくるのを待ちます。しかし、この無理が祟り、長倉は流産。交際相手に会うことも、我が子に会うこともできなくなったのです。

この出来事がきっかけで、長倉は交際相手と山岸の殺害を決意します。

経緯はめちゃくちゃでも、相手と会えたこと(対面できたこと)で問題に向き合い前進できた女性と、相手に会えなかったことで心が歪み、犯罪に手を染める女性の対比が切なかったです。

会えるか、会えないか。それがこの女性たちの運命の分かれ道だったような気がします。


今日は以上です。
お読みくださり、ありがとうございました。