【ネタバレあり】映画「ピエロがお前を嘲笑う」の感想(その1)
このドイツ映画は、私の大のお気に入りです。何回見ても面白いです。ハリウッドリメイクも決定しているそうです。ベンヤミンという1人の冴えない青年が、サイバー犯罪(ハッキング)に手を染めていく中で起こる物語を描いています。
主人公が所属する(仲間とともに結成する)ハッカー集団の名前は、CLAY(クレイ)。メンバーは主人公のほか、マックス、シュテファン、パウルの3名。
この映画を見て色々思ったことがあるのですが、うまくまとまらないので、今日はこの映画の感想を「多重人格」という視点から書いていきたいと思います。
この映画では、主人公・ベンヤミンの亡き母親が、生前、精神を病んで多重人格だったことを逆手に取り、女捜査官(ハンネ・リンドベルグ)を騙します。
多重人格という病気は、脳という人間の内部にあるコンピューターに対するハッキングなのだと思いました。病気によって脳がハッキングされ、人格が書き換えられ、本人の知らないところでその別人格が起動するのです。
ハッキングと言うと、サイバー犯罪に関わるとても現代的な言葉だと思いがちですが、人間はもうずっと昔からハッキングに悩まされ続けてきたわけです。脳が書き換えられる、それがどんなに恐ろしいことか、人間はインターネットが誕生するずっと前から分かっていたのかもしれません。
この映画は、ハッキングというとても現代的なテーマを描いていると同時に、インターネットを介さない原始的なハッキング(多重人格)も描いているのが面白いと思いました。
ベンヤミンの母親が多重人格であったことは、ベンヤミンの悲劇性を増すためとか、ストーリー展開上必要だからという理由で設けられたのではなく、この映画のとても重要なテーマなのだと思いました。
以上です!