寒空の下のポカポカな関係

あれは数年前、まだ高校生の時だった

同じクラスの子と話すようになった

しだいに距離が近づいた

気づくとその距離は普通の距離ではなくなっていて、お互いが意識するようになっていた

タマゴが先かニワトリが先か

その気持ちがいつからだったのかはわからなかった

まだまだ幼かったわたしたちはその感情がなんなのかわからないまま流されるように進展を遂げていた

毎朝のあいさつ、休み時間のおしゃべり、下校中は遠回りして、かけがえのない時間を過ごした

いつのまにか平日だけでは満足できなくなって

日曜日のデートを計画した

冷静になれば週5日もあっていて

帰宅後もSNSがあった

それでも会いたい気持ちはおさえられず

少し遠いショッピングモールに行くことにした

友達同士でも当たり前に行くところだった

買い物に行くんだ、遊びに行くんだ

それで周りは納得する

二人の間だけでは強い意味をもっていたけどね


前日の夜のワクワクとドキドキはなんともいえない心地だった


当日の朝は最寄駅で待ち合わせをした

あっ!と決めてから気づいた

私服で会うのははじめてだった

学校は制服だったから今まで気にしたことはなかった

自分の私服を見せる恥ずかしさと、相手がどんな格好で来るのか楽しみでドキドキした

駅までの道はニヤニヤしてしまわないように気をつける


待ち合わせ時間より少し早めに二人ともついていた

駅で会うと普段と違う感じに少し照れくさい

休日のデートはこんなにもドキドキするのだと思った

電車に乗る頃にはもういつもの調子で話をした

ショッピングモールに着くとお互いに欲しいものを見てまわった

戦利品がなくては親に説明がめんどうになるという気持ちもあった

あらかた見回るとお昼になった

昼食はフードコートでとることにした

そのショッピングモールは学校の子たちがいる可能性があったから二人とも少し緊張していた

別に見られたとしても問題はないはず?なのに

昼食を終えて、目をつけていた服や小物を買った

お互いのを選んだり、恋人らしい行動にまた笑ってしまう

この後どうしようか?

買い物は終わったけど、時間はまだある

併設の家具用品店に向かった

家具を見てはこんなところに住みたい

あれいいな、欲しいとか

二人して一緒に住む家まで想像してる??

バカップルもいいところだ

冗談のつもりで口にしながら半分は本気

きれいな未来を勝手に描きながらも心では諦めていた

そんなもんだよ

まだまだはじめてのお出かけだったのに詰め込みすぎたかもしれない

帰りの時間になって駅まで向かう

真冬の夕方はとても寒くて手足が凍えた

それでも一人じゃなかった

となりにあつい気持ちの相手がいた

人の目があるところでは触れることはしない

だけど時折偶然を装えばほんの少し手を触れさせることはできるんだよね

寒空の下、身体は凍えていたけれど心と自由に描いた未来だけはポカポカしていた




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