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僕の最推し企業。『スイーツパラダイス』は飲食の大乱闘スマッシュブラザーズ。

スイーツパラダイス(通称:スイパラ)という店舗をご存じだろうか?
その名の通り、スイーツが食べ放題で、女子中高生に大人気の飲食店だ。
女子ならスイーツパラダイスで盛大な女子会を楽しみ、男子なら「しょうがねぇな…」と文句をこぼしながらも、結局は女子と一緒に行くことにほくそ笑んでいたはずだ。

しかし、皆さんは本当にスイパラの魅力を理解しているだろうか?
もちろん、スイーツが食べ放題という夢のような世界はたしかに魅力的だ。しかし、その裏側にはもうひとつ、混沌とした世界観が広がっているのだ。

その裏とは、ずばりコラボ企画だ。

スイーツパラダイスのコラボ企画は、実に頻度が高い。年に数回、あるいは週替わりで、ありとあらゆるエンターテインメントとタッグを組んでいる。コラボ企画は、通常料金とは別に専用コースを頼むという形で提供される。

掲載時点でのコラボ企画一覧。頻度が高く、企業努力を感じる。 

近年は明らかに女性や中・高校生向けであり、戦略的なコラボ企画が遂行されている。
しかし、2020年より前のスイパラは、突如として狂気のコラボラッシュを巻き起こしていたのだ。あまりにも異質なコラボ企画に、僕は衝撃を隠せず、あの企画部にガチで就職したいと思ったほど。

ここでは、僕が特に衝撃を受けたコラボ企画をいくつか紹介し、その魅力に皆さんにも触れてほしいと思う。


女性でなく、男性をターゲットにした企画

まずは、スイパラで男性も食べてほしいと願って実施したであろうコラボを紹介する。

2019年4月26日(金) ~ 2019年5月31日(金) コラボカフェ『PUBG × SWEETS PARADISE』4月26日~東京・兵庫で同時開催

写真を一目見ただけでそのインパクトが伝わってくるのは、有名戦争ゲームPUBGとのコラボだ。男女比に偏りがあるユーザー層を狙って男子を取り込もうとしたのかもしれないが、結果的には女子からはドン勝は得られず、おそらくドン引きされてる可能性がある。胃もたれするもん…これ…。

勝った!勝った!のキャッチフレーズは逸材

しかも、メニューはスイーツとはまるでかけ離れた、まるでケンタッキーを彷彿とさせる内容に。まさにコラボ看板メニューが「スイーツ」とは無縁な企画だが、これこそがスイパラの狂気の一部といえるのではないだろうか…。

しかし、これより狂気的なコラボが過去に実施されていた。

2017年10月28日(土) ~ 2017年11月12日(日) 「新日本プロレス展」開催記念!! 『プロレス喫茶 ライオン』の開催大決定!!

「新日本プロレス」とのコラボ。
男子狙いにしてもニッチすぎない?

コラボの一部メニュー。スイーツもあったが、世界観を壊さないコラボ魂は尊敬

メインターゲットである中高校生が、果たしてオカダ・カズチカが「レインメーカー」と呼ばれていることを知っているのか、とても疑問である。

ケガはあると思いますよ、プロレスですから。でも、怖かったらできない。その怖さに打ち勝つために練習してますから。

オカダ・カズチカの言葉。メニュー開発の会議とかで出てそう。

新日本プロレスらしく新スイーツパラダイスを目指したっぽいが、一般層には理解されにくい。

こうした、あえてニッチな世界へ踏み込む挑戦的な姿勢に、僕は次第に心を奪われていった。

有名企業と謎のコラボ。マジでなんで?

今までは、ゲームやアニメ、まぁプロレスもあったけど、様々なエンタメとコラボしていた。しかし、スイパラは僕らの常識など、遥かに超えてくる。

2017年4月27日(木) ~ 「永谷園監修 お茶づけ かに玉 あさげケーキ」スイーツパラダイスケーキショップ発売決定

まさかの永谷園とのコラボ。
どういう発想したら、お茶づけをケーキにしようと思うの?
いや、お茶づけは美味しいし、きっと誰でも食べるけど、永谷園とコラボしてるスイパラに行こう!!ってなるかなぁ…。どういう戦略?

これスイパラ企画部で呑んでいて、締めでお茶づけを食べてるときに「これいけんじゃね? いけるっすよ! お茶づけケーキ!」みたいなノリで決めたとしか思えない。

永谷園側も「え? 弊社ですか?間違いでは…?」ってなったって…。
※永谷園側からオファーした可能性も否めないが、あるかなぁ…。

あと、無駄にクオリティが高いのが、ちょっと笑える。
これ、どんな会議だったのだろうか本当に気になるところだ。

◆株式会社永谷園とは◆
1953年(昭和28年)の創業以来、「味ひとすじ」の精神で、お客様に喜んでいただける商品の提供に努めてまいりました。企業理念である「味ひとすじ」は、創意と工夫でお客様においしさを提供し続ける姿勢でいます。

コラボのホームページでの永谷園の紹介文章。確かに創意と工夫は崩さない姿勢が感じられる。

君の膵臓を食べたい(そのまま)

そして、最後にご紹介するのは2018年に実施した『君の膵臓をたべたい』とのコラボだ。

『君の膵臓をたべたい』は、膵臓という一見不気味なモチーフを用いながらも、病を患うヒロインへの切ない恋心を描いた感動作。実写映画とアニメでメディア展開されている。実際、実写映画を観たときに僕も少し涙を流したほどだ。

正直なところ、人気映画やアニメとのコラボならば、特にツッコむところもないだろうと安心していた。しかし、スイパラの攻めの姿勢は変わらない。

パッと見て普通に見えるが…

なんでだよ!
劇中にでてたかもしんないけど、これ勘違いするって!

タイトル通り「膵臓をたべたい」といった、文字通りの意味でメニューが反映されている衝撃に、正直言って食欲どころか心底驚かされた。
キッチン側も「え?大丈夫ですか?これ…」ってなってるって。

あと、このドリンク名も地味に嫌だ
もうちょい良いメニュー名無かったのだろうか…
君の膵臓を食べたくなるドリンクって、何?
え? 鬼専用の飲み物? 猗窩座が勧めてきそうなんだけど…

漫画『鬼滅の刃』単行本8巻から。鬼は人を食べる設定。きっと膵臓も大好き。

ただ、こちらには恐らく企画部が苦労した理由がある。
こちらを見てほしい。

2017年7月24日(月) ~ 2017年8月20日(日) 『君の膵臓をたべたい』×スイパラコラボカフェ! 6店舗での開催決定!!

アニメ映画1年前に、実写映画版でコラボを既に実施していたのだ。
この時のコラボは普通のメニューなので理解できるが、どうしてこうもアニメ版では逸脱してしまったのか。

これは、恐らくスイパラ企画部の矜持だろう。
前回とは違うメニューにする意気込みを僕は感じた。
そこから、苦渋の決断にて生まれたのが『君ともつ煮込み』『君の膵臓をたべたいドリンク』という狂気のメニューが爆誕したのだと思う。

別に、この2品が無くてもコラボメニューとして成立していると思うのだが、さすがスイパラ。この果敢な攻めは尊敬せざる得ない。

スイパラは常に『挑戦』を選択している。

スイパラさんへ

色々な書き方をしたが、僕はスイパラの狂気のコラボ企画が大好きだ。

僕は、社会人として日々の業務に追われる中、あのような奇抜な企画が通る自信はなかなか持てない。普通の企業では、面白いからといってそれだけで通用するものではないのだ。

コラボレーションカフェ分野で1番を目指し邁進していきます。 その為にも“様々なアイディアを発信できる方”と、今後のスイーツパラダイスや各コラボレーションカフェを盛り上げていきたいと思っています。

https://www.careermap.jp/corporations/96982

スイパラの運営会社「井上商事株式会社」の代表取締役の言葉だ。企業はPRのために、体裁上は良い言葉を吐くが、ここまで様々なアイディアが本当に採用されている企業は珍しいのではないだろうか。効果が明確に見えなくとも、あの法則性のなさ、予測不能な熱量にこそ、本当の魅力があったと感じている。

しかし、最近のスイーツパラダイスは、より「安全策」をとった理解しやすいコラボが目立つ。人気アニメやVtuber、歌手などとの安定的なコラボだ。

確かに、それは企業戦略としては堅実で正しいかもしれない。
ただ…、僕はあの狂気じみた、誰も予想しなかった企画に挑戦する熱意を、もう一度感じたいのだ。原作や商品の良さを大切にしながらも、思い切って常識をぶち壊すようなあの熱意。スイーツに関係なく、ケンタッキーっぽいのや、もつ煮込みなど出していたが、それこそ自身よりも原作の世界観を重んじてのことだろう。そこにプロの魂を感じる。

僕は、スイパラの予想できないコラボを見ると、大乱闘スマッシュブラザーズを思い出すのだ。スマブラの「え?このファイターが参戦するの!?」という感覚に似ている。

スマブラでは、他社からの参戦で驚きっぱなし。まさに「大乱闘」に相応しく、ワクワクを提供してくれてる。


2020年より前のスイパラは、PUBG? 新日本プロレス? そして、永谷園!?
とのあの突拍子もないコラボに、僕は熱狂した。

今ならSNSも成熟しているので、無茶苦茶な企画が何かしらの形でバズり、評価され、スイパラの企画担当者が果敢に挑戦できる環境が整うことを、心から願っている。なんなら、企画会議の見学にはお金を払ってもいい。てか、普通に企画書見たい。そこで、マネタイズしても構わないから…。あの混沌としたコラボのトップランナーとして、再び大胆な挑戦に挑んでほしい。

あのカオスなスイーツパラダイスをもう一度。
飲食業界の大乱闘スマッシュブラザーズを目指してほしい。
あの頃の熱狂と混沌が甦る日が来ることを、僕は信じてやまない。

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