
役に立たない歩数計から学んだこと
私は32歳でUターン帰省して実家に舞い戻ったので、体力が有り余っていた。その体力をいかに安く効率よく使うか考えた結果、散歩を始めた。
最初に買った歩数計は、腰にクリップ止めするタイプ。トイレに行くたびに、外してはめてを繰り返したが、人間忘れることがある。運悪く便器に落ちた。水没すると、もう使えない。新しいものを数回買った。
そして、首からぶら下げるタイプの歩数計を使い始めた。歩くと揺れる。着替える時に外すのが面倒になり、壊れる前に使うのをやめた。
次は、エンタメ性を求めて、伊能忠敬の歩いたコースをたどる歩数計を買った。無事に日本一周できたことは覚えているが、その後の歩数計の行方を覚えていない。
私の人生に歩数計は必要みたいで、何年かすると買いたくなる。ポケットにいれたまま計測できるタイプを買ったら、ポケットに入れたまま洗濯機に入れてしまい、燃えないゴミになった。
懲りずに今年も欲しくなった。今までの失敗から学んだ結果、腕時計タイプを選んだ。これならば、トイレに落とすことも洗濯してしまう心配もない。なんて素晴らしい…と思ったのは届くまでだった。
アマゾンで一番安い2千円以下の商品には、時計と日付と歩数表示しかない。消費カロリーや歩行距離機能がついていない。その上、日付が替わってもゼロからカウントしてくれない。10万歩になるとゼロに戻った。これは、毎日10万歩必ず歩くための商品だった。
さらに、驚いたのは、腕を振ることで歩数を計測するので、荷物を抱えている時は、歩数が増えない。腕組みとか、ポケットに手をつっこんだり、自転車に乗っていても歩数は増えない。
安価で壊す心配がないことを優先したがために、一日ごとの計測ができない代償を払うことになった。その日の数値を日記に記録して、差引すればすむことだが、使い勝手が悪い。
世の中に、私の要望をすべて満たす万能な商品がないと気付かされた。安ければそれなりの商品であり、高ければ使いこなせない過剰な機能がついたものになる。
結論としては、欲を出すな、現状に満足しろということだろう。人間も同じで長所と同じくらい、欠点を持っているはず。これからは、モノでも人でも不満に思うことがあったら、同じ数だけ美徳を探し出す努力をしたい。