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信念がある上司だと思っていたら、ただの空っぽの器だった話
長年、営業推進ばかりに従事していた上司がいた。
そこには、確固たる信念があると感じていたが、ある日、そんなものは微塵もなかったとわかってしまった。
彼とは過去に数回同じ店、同じ部署で働いたことがあり、その度に最悪の気分を味わうことになった。
出世の鬼であり、自分の上長に対して自分がどう映っているか、自分の実績がどう評価されているかばかりを気にしていた。
それだけならまだいいのだが、困ったことに部下をハメたり生贄にするなどの悪癖があった。
当然に部下からは蛇蝎の如く嫌われていたが、上の人たちからは一定の評価を得ていた。
彼は、支店での融資実績にこだわっていた。もちろん、それが最も役員から評価されるし、目立つからだ。
そして、本部に異動になり、営業推進部門に配属になった。そこでもまた、融資推進を中心に進めていた。
それは会社から与えられた明確なミッションであったから当然ではある。しかし、そのこだわりや執念からは、それだけでは説明できない彼の本質を感じていた。
融資することにより企業を助け、企業の未来を明るくする。それは地域に波及していく。
そんな、金融機関としての信念を感じさせた。
「人間的にクソだしどうしても受け入れられないけど、あの姿勢だけは認めざるを得ないな…」
大嫌いな奴ではあるが、その点はとても真似できない。自分が本気で取り組んだとしても、その地点まではいけないと感じていた。
何一つ認めたくないのが本心だが、その点だけは白旗だった。
そんな彼が、異動になった。
今度は、融資審査サイドに異動になった。つまり、推進とは正反対の、「門番」的ポジションに就いたのだ。
僕は最初、これで融資案件は通りやすくなると思った。
なにしろこれまでの彼の仕事ぶりを近くで見てきたのだから、間違いなく助力してくれるはずだ。それは疑いないと思っていた。
それは、まんまと裏切られた。
彼は、それまでと対応を180度変え、微妙な案件に後ろ向きの姿勢を見せ始めたのだ。
ガッカリというか、シンプルに驚きを隠せず、言葉が出なかった。
彼には、実はなんの信念もなかった。
例え薄汚かったとしても、バンカーとして確固たるものが詰まっているように見えたその姿は、ただの空っぽの器だったのだ。
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新社会人として入社するとき、揺るがない信念をもっている人などいないだろう。いるかもしれないが、極めてレアなはずだ。
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