他人の手でしかイケない領域がある
あまり自分の会社のことを悪く言いたくないんだけど、近年あきらかにおかしくなってきている。
ある事件があってから、おかしな方向に行き始めた。
それ以降、何となく存在していた経営陣に対する「シラケ」が確定的なものとして認識され始めた気がする。
そして、使い物にならないポンカスを生み出し始めた。
悪癖が、組織に蔓延している。
その名は、「自己主張」だ。
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確か6年ほど前だったと思うが、人事異動で事件が起こった。
一度発出された人事異動が、取り消しになったのだ。
JTCに勤務している人、特に金融機関に勤務している人には理解していただけると思うが、これは異例中の異例だ。僕は20年以上勤務しているけど、こんなことは初めてだった。
取り消されたのは、ある中年女性社員(役席)の異動だった。
彼女は、自宅から遠くの支店に異動を命じられたのだ。
確かに遠い支店ではあるが、車で1時間だから通えない距離ではない。同じくらいの距離を通勤している社員は他にいくらでもいる。配慮するほどのことじゃない。
聞くところによると、家族の介護などがあり、遠くの支店での勤務は支障が出るという。
気の毒だと思うが、同じような事情の社員はいる。何もオンリーワンの理由じゃない。
おそらくその他の要因もあるだろうが、とにかく彼女は人事に異議申し立てを行った。異動を取り消さなければ辞めると迫ったのだそうだ。
じゃあ辞めればいい。それで終わりだ。
ところが、会社が折れた。
特段の能力もない、ただ長く勤務しているだけの資格試験もろくに取っていない、凡庸な中年女性社員の主張を全面的に受け入れ、例外中の例外である異動取消の通達が出た。
あり得ないことが、起こってしまった。
そして、会社はたった一人の社員の主張を受け入れたことで、大きな代償を支払うことになった。
人事異動に異を唱える社員が増加したのだ。
「退職を振りかざして要求すれば、会社はいうことを聞いてくれる」
そんな考えを持っていたかはわからないが、会社に対し自分の都合や思いを真っ直ぐに伝える社員が増えた。そして、会社は前例があるため、柔軟に応え始めた。
その結果、人事は常に人員配置に対し大きなコストを払うようになってしまった。
会社は、人事において明らかに統率が取れなくなってきた。
特に若い社員は、こう考えたのかもしれない。
「自分の意向は強気で会社にアピールしなければ損をする。なぜなら、自分以外がアピールしたら、その皺寄せが自分に来てしまうから。」
全くもって合理的な話である。その通りという他ない。
しかし、世の中そんな上手い話ばかりではない。
自分の意向を通すことで、失うものはちゃんとあるのだ。
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人事異動は社員にとってはギャンブルみたいなもので、不本意な部署やクソ上司のもとで働くことになったら絶望しかない。
僕は30代の頃、当時「絶対一緒に働きたくない四天王」と謳われていた4名のうち3名と連続して働くという凶運を引き当てたことがある。
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