疲れる日々と、毎月の給与は、合成ドラッグみたいなもんだよね
俺の親戚は温泉旅館やっててさ、子供のころからよく遊びに行ってた。大きな温泉旅館って子供にとっては巨大な遊具なわけで、めちゃ楽しかったのを覚えてる。
で、大学生になるとバイト人員としてあてにされて、夏休みの2ヶ月間ほどバイトしに行ってた。それも毎年。
夏休みは稼ぎどきだから、休みなんてない。2ヶ月間休みゼロ。完全に違法だけどアホな大学生だからよくわからなくて、そんなもんかと思って働いてた。
毎年の夏休みは、バイトで消えた。
朝5時に起きて、21時まで働くことを60回繰り返す。それで終わり。
その対価として、大学生としては目が眩むような現金を握りしめて帰る。
おかげで免許も取れたし、当時クソ高かったMacintoshも買えたし、足りない仕送りを補うことができた。
そう感じていた。そこには確かな充足感があったんだよね。
求められ、献身し、対価を受領する。
そんなサイクルの中にいられることに、どこか誇りを感じてたんだよな。
でもね、それって盛大に間違っていたんだよ。
なんとなく「そうかも?」と思って生きてきたけど、大学生になった長女を見て確信したわ。
安易な疲労と報酬ってのは、人間をダメにするヤバいクスリだ。
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今さ、長女が韓国に留学してるんだよね。
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