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「脱社畜」を訴えたかつてのインフルエンサーは、正しかったのかもしれない

「いまどきイケハヤみたいなことを言ってる人がいるw」

そう煽られて最初はイラッとしたのだが、すぐに冷静になった。

確かにそうだ。俺はかつてのイケハヤ氏みたいなことを言っている。


「イケハヤ」ことイケダハヤト氏は、2010年代に「いつまで東京で消耗してるの?」というキラーワードと共に登場し、ネット界でポジションを確立していた。「脱社畜サロン」を立ち上げるなどして、経済的にも成功していたと思う。

芸能人でもない一個人が実名顔出し居住地も半公開するというのは、当時としては暴挙以外の何者でもなく、プライベートの切り売りで成功しているように見えた。僕も「自爆行為だな」と思っていた。

しかし、当時の僕は会社がホトホト嫌になっていて、自分と家族の将来にも不安を抱いていた。

どこかに突破口はないかと、ぼんやりと考えるばかりで行動しない日々の中で、イケハヤ氏の「脱社畜」というフレーズは無視できないものだった。

氏の書籍も買って読んでみた。なるほど、とは思ったが、内容は覚えていない。覚えているのは、その後の彼の生き様や行動だけだ。

情弱向けのビジネス。彼がやっていたのはまさにそれだ。「ブログ書け!」から「動画やれ!」に移行し、そのノウハウを有料で販売する。そのあとはビットコインなどの暗号通貨にシフトしていった。今は何をされているのかわからない。

僕はサロンに入ることもなく(爆散したらしい)、結局は副業で自分の文章を売っていく選択をし、いまにいたっている。

イケハヤ氏から大きな影響を受けることはなく、自分なりのスタイルを確立し、いまはある程度の安定した状態を得ている。

それなのに、いまでは他者から見れば「かつてのイケハヤ」と同じことを言っていると見られている。


考えてみれば、それは仕方のないことだ。

アラフィフは、「脱社畜」を意識しない方がどうかしているのだから。


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僕は金融機関に勤務していて、現在は本部で働いている。金融機関の本部とは、簡単に言えば街にある支店の大元であり、そこには支店機能以外の全てがある。

僕の職務はコンサルティング部門の課長であり、支店では対応できないコンサル系の業務を一手に引き受けている。よって、部下たちのレベルは高く、比較的若い。そもそも、48歳の僕が本部フロアでは若い方なのだ。

本部の平均年齢は50代後半に差し掛かっていると思う。もはや中年の園とすら言えなくなっているが、これは仕方ない。日本全体で発生している現象だし、「若い人はまずは現場」がセオリーになっているからだ。

なので、支店とはまるで世界が違う。とにかく、若い人がいない。そして、定年間際、役職定年間際の人ばかりが席に座っている。

そうなると、当然に未来ばかり見るようになる。

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