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退職する人に「からのぉ〜???」と言いたくなった話

元役員が、退職した。

役員を解任されていたのに、よくわからない水面下の交渉で居残っていた人で、最後はほとんど仕事をせず、周りから不満を集めていた。

噂によると、下からの要望(というか苦情)でトップが直々に引導を渡したらしい。もし、それがなければまだ居座るつもりだったのだ。


人物的には、強引を絵に描いたような人で、支店長時代はめちゃくちゃな交渉を会社の力をバックに押し通していた。その一方で、自分が好かれたい先には、本部に圧力をかけて特段の条件を提示するなど、金融機関らしい悪しき習慣を体現している人だった。

それは部下に対しても同じで、気に入らない部下は徹底的に冷遇し、精神を破壊することも気にしなかった。

彼は、「絶対に上司にしたくない」リストのトップ3に常時ランクインしていた。それなのに、役員になってしまった。社員は少なからず会社の決定に失望したと思う。

僕は、数年間彼の部下だったことがある。もちろん、僕は気に入られていた。
自慢ではないが、僕は先ほどの「絶対に上司にしたくないトップ3」全員の部下だったことがあり、全員から信頼を得ていた。パワハラなど皆無であり、相手がこっちのご機嫌を伺うくらいだった。正直、上司から信頼を得ることはさほど難しいことではない。

間近で仕事を見ていても「クソだなこいつは」としか感想が出てこなかった。

確かに結果は出す。でも、その過程であまりにも周りが犠牲になりすぎる。とても「プラマイゼロ」になっているように見えない。短期的にも、長期的にもマイナスだった。

周りを焼き尽くしながら、役員にいいところを見せ続け、念願の役員になる。彼のプランは、見事に達成された。

役員になると、その自己中さは加速した。まさに王様のような振る舞いだった。しかし、物語もここまで。代表権を持つ役員へと上り詰めることはできなかった。

そして、役員を下ろされ、嘱託社員になった。もはや正社員でもない。

「俺はどこへでも行ける。○○社や△△社から声がかかっている」

役員を下ろされる前はそう言っていたが、どうも声はかかっていないらしい。退職後の職は決まっていないという。噂では、金もないらしい。


彼のキャリアは、誰かを犠牲にすることで成り立っていた。誰かの犠牲で、彼は役員まで上り詰めた。

だが、最後は無価値な無職となって、会社を去る。

「これまで、ありがとうございました!」

と、夕礼で挨拶した彼に、僕は大声でこう言いたかった。


「からのぉ〜????」



人生は退職では終わらない。

あなたは、それを勘定に入れて生きているだろうか?


+++++++

退職後の人生。これほど想像しづらいものはない。

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