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「文章の書き方」本の文章が酷くて驚いた話

  ── もし、手にした「文章の書き方を教える本」が「読みにくい文章」なら、あなたはどうしますか?

 残念ながら、これまで何度か「文章の書き方の文章が酷い本」を経験しているのだけど、今回は”著者だけ見て有名本書いているから大丈夫”と思ったらヤバい本だったという話。

 ※ 私の読解力が無さ過ぎてそういった感想なのかも知れないけど

20歳の自分に受けさせたい文章講義
著者で有名な本だと「嫌われる勇気」だろうか。

えっ。「教える」と言っている本なのに!?

 人が文章を読むときにストレスを感じるパターンがある。

  1. <本文までが長い>何が言いたいか、はっきりしない。

  2. <リズムが悪い>不必要な話をぶった切って、突然の割り込みがある。

  3. <支離滅裂>いきなり著者が、誰かを侮辱しはじめる。なぜ?

  4. <スベってる>上手い事言ってるつもりの「例え話」や「文例」に必然性がなく全然イケていない。

  5. <独裁的>自信たっぷりに断言するが、客観的な事実やデータは提示されず、著者の思いこみじゃないの?という読後感が漂う

 こういった内容が続くとウンザリする人は多いと思う。

 仮にも教本だよ?本書でも「こういう文書を書いたらダメだ」と言ってるのに書籍内で実践しているとか嘘でしょ?とビックリして椅子から転げ落ちそうになった。

 ※読者にインパクトを与え印象に残せとも本書は指南しているが、その点では確かに印象に残った。

ネットがない時代の話を「若者向け講義」で語られても困惑する…。

 なぜ、こんなにも、この本は酷いと感じてしまうのか。一度読み終えた後も衝撃を咀嚼しきれず、結局2度ほど読み返して理由を考察した。

 本書で何度も引っ掛かるのは、「情報に対する概念」が、全体的に90年代のように感じるからだと思う。

 実際、著者自身が20代だった頃(90年代当時)に教えたかったことに焦点を当てた仮想講義の体裁らしい。
 だから90年代の舞台で講義している感じの雰囲気になるのは当然なのだが…令和の時代に昭和末期~平成元年ごろの話(とくに著者個人の思い出話)されてもキツイよね。
 昭和プロレスの話が1ページぐらい続く時には今それ必要ないでしょって思わず声が出そうになった。

起承転結の転を序文に持ってくる奇妙な文体

 本書は全体的に「こんな文章が見本って嘘でしょう」と絶句する見本文が大量に出現する。昭和時代の編集が下手なドラマなどによくある「脱線し余談が多く内容がまとまっていない」を久しぶりに味わった。結論は何だ!雑談はいいから早く要点を言ってくれ!という気になる。

 本書には、読書を苦しめる悪癖が頻繁に出現する。
 それは「起承転結」の「転」を序文にもってくるという著者特有の奇妙な悪癖だ。断言し、唐突に否定し、再び撤回する。どっちだ。という話になる文章が多い。(これ、なんと著者おすすめ技法らしい。嘘だろ…やべえ)

 本書は、大手出版の編集者さんも絶賛らしい…が、それ社交辞令じゃないの?と思った。よほど承認欲求に飢えているのだろうか。

 後半になると過去の自分の仕事ぶりを自賛する昔話も増えるのだが、筆者は「自分は文章力の点でよく褒められる」と書いているのが痛々しい。それ社交辞令だよ!オファー時に相手の機嫌損ねる奴いないよ!って思った。やべえ。

 こういう下らない情報ノイズ(筆者が社交辞令わからないヤバい人らしい情報とか)が多いと、要点がなかなかスッと頭に入ってこない。どうでもいい脱線話に意識が余計なところにもっていかれて、非常に読みにくい!

 どんなジャンルであれ、本題そっちのけで自分語りしている本は良くない。

何も教えず「手の内を書いちゃった」。筆者が自画自賛する衝撃のラスト

 本書は「技法は教えない、とにかく自分で考えて書けばいいよ」という感じの結論である。つまり教えない本だ。

 この教育放棄を言い放つまで270ページたっぷり、著者の昔話(文章の書き方と無関係なものも多い)や脱線話に振り回される。職場で著者が教育担当ならハラスメントの類で問題になると思う。

 「全く教えずに時間が解決する」と言い放つのと、「教えた上で習得には時間がかかるが焦らなくていい」と言うのではまるで違う。前者は精神論であり心構えでしかない。本書は精神論だけ唱えて唐突に終わる。

 何も教えない本なのに「手の内を書いてしまった」と自己満足して完結しちゃう衝撃のラストを迎える。おいおい、低予算映画の「最悪なバッドエンド」かよ。

余談:まともな文章作成の教本について

 酷い酷いと言いまくる書評してしまったが、じゃあ良い本あるのか?という話について。

 個人的には広告業界、とくにコピーライター出身者の本は「ハッとさせられる気づき」が多い傾向にある。
 ※ どんな業界出社者だろうと「老人の武勇伝」ばかりなダメ本はあるので一概には言えないのだが。

 翻訳家やラノベ作家でも参考になる指南書を読んだこともある。文章の書き方本の良書は沢山ある(全方位で完璧な本はない、ジャンルごとに最適解は違うから)。

 結局はどんな本でも、一番重要なのは、著者が教えようと真摯に書こうとしているか?に尽きる。少なくとも文章に関する教本で、自分の昔話や自画自賛は必要ない。これは文章を書く以前の問題である。そんなのも客観視できない本は不誠実である。本人の思いはどうあれ読み手置いてきぼりだ。

 ロクでもない本に貴重な本棚を食われる光景は、とても悲しい。

 時間を無駄にしたな。済んだことは仕方ない。それより未来のことだ。なるべく早めにさっさと中古屋へ売りに行こう、そう決意した。

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