他人は自分の鏡①
1、他人は自分の鏡
「他人は自分の鏡」とよく言いますね。
たくさんの視点から考えうる言葉です。
「自分の前に現れる人間がどんな人間なのかを見て、自分の状態を判断せよ」
今回はこの視点からお話しようと思います。
2、脅威の乗り物、それは通勤電車
ねはんねこはサラリーマンです。
しばらくは車通勤でしたが、現在は電車通勤をしています。車の時はあまり他人に接触しないので気づきませんでしたが、電車とは摩訶不思議な乗り物だとしみじみ思います。
そこまでする??と思うぐらいに、いろんな鏡を見せてくるので、たまに本気で仰天いたします。
3、独り言おじさん
ある日、妙な声が聞こえてくるのに気づきました。はて?誰かと話をしている風でもないが・・・通勤列車内で電話している人がいるというのか。
声がする方向を見ると、外見はごく普通の会社員風のおじさんだが、なぜだか心の中の独白が全て外に漏れているという不思議を惜しみなく展開しているではないか。
これは一体どういうことなのか・・・?気づいていないのか、それともわざとなのか?
別に聞きたくもないのだが、あまりに珍妙でもあり、独白の中身もなかなかに毒が効いているため、耳に入ってしまう。
内容としては全て業務や世の中への不満への独り言なのだが、なぜこの人は心の中身を全て世間に暴露しているのだろうか・・・?
おそらく普通の会社員だと思うのだが、まともに働けているのだろうかと心配になる。
一体なんだというのか・・・?
これまでこんな奇妙な現象に出会ったことがない。この人が出現しなくなったと思ったら、次も不思議な人物があらわれた。
4、独り言(1人怒り)の会社員
ある日、さらにパンチの効いた独白系の人があらわれた。
先日出会ったおじさんは、不満だの困るだの、あいつらわかってないだのと電車を降りるまでずーっとつぶやいていただけだが、今回の人はそれにとどまらず、目を合わせたら危険な状態だと思われるぐらいに、いろんな事に対して激しく怒っているようだった。独白の内容はよく聞き取れないが、何かに怒っていて早口にまくし立てている。
一体何なのか?
これまで、こんな珍妙な人々は見たことがないが、何故急に現れたのか?
他人は自分の鏡だというが、一体この人は何を表しているのか・・・・?
5、それはあなたそのものです
当時受けていた個人セッションで、一体どういう現象なのか聞いてみたら、「あなたそのものを見せられているだけ。あなたにわからせる為にわかりやすく教えてくれたこと」という答えでした。
「えーーーーっ???」
えーっ、ここまでへんな人じゃないってば!と思ってみたけれども、確かに当時の私は、終始心の中で世の中に対する不平不満をつぶやいていたと認めるしかない。ほぼ無意識にそういったベースを持って生きていたと思う。
そうか・・・そういうことだったか・・・・
それに気づいて深く認めたらこの独白系の人々はあらわれなくなりました。もうこんなことはやめたいと本気で思えるような鏡を見せられ、さすがに自分の有様を認めるしかなくなったのでした。
6、一番苦しいのは自分に向き合い認めること
当時の私は、そういう自分に全く向き合うことができていませんでした。自分が苦しくて、何かを変えないといけないことはわかっている。でも、何がどう悪いのかわからない。ずっとこの自分で生きてきたから、他人の心の中身を見せあうことはなかったから、わからなかったんですね。
それを認めるには、客観的に自分の姿を見るしかなかったのでしょう。
7、悟りの第一歩は自分に向き合うこと。だからこそ他人を鏡とせよ
本当にこれが難しいのです。どうやってやったらいいのか、どのような状態であれば向き合っているといえるのか、全くわからない。だって、向き合ったことがないから。
仏教では「正しく見ること」「正しく考えること」といった悟りに至る為の八つの方法を教えています。この「正しく見る」ことを教えられたんだな・・・と思います。偏りなく、公平に正しく物事を見るのは非常に難しいことです。だからこそ、これができたら近道と教えているのですね。
「自分の前に現れる人間がどんな人間なのかを見て、自分の状態を判断せよ」
それで今の自分の状態がわかるから・・・
そう教えてもらい、「はあ~???なんじゃこりゃ??」ってことが起きたときほど、その状況が教えてくれることが何かをくみ取ろうとしております。
そもそもが、他人の言動に引っかかったとき、出くわした状況に引っかかった時、同じものが自分の中にあるからこそ異様に反応したくなるのです。自分の中にその要素がなかったら、そもそも引っかからないことが多いような気がします。
いやいや、修行中とはいえ、本当にお恥ずかしい次第です。こんなことでもなかったら絶対にわからなかったのだと思います。