一切皆苦って納得いかない
1、「なぜ?」という疑問だらけの人生
私はずっと疑問がありました。
「なぜ、生きているんだろう」
「なぜ、生きなければならないんだろう」
「なぜ、世の中はこんな所なんだろう」
「なぜ、人はこんなくだらない生き物なんだろう」
「なんでそんなこと言うんだろう?」
「なんでそんなことするんだろう?」
「なんで?」
ずっとずっと思ってきました。
なんだか納得いかない。
こんなのは嫌だ。
すごい波乱万丈な人生だった訳ではなく、物語になりそうな事件も起きていないし、
親は大嫌いだったけれど、お酒を飲んでは暴力をふるうとか、家にお金を入れないとか、絵に描いたような困った親だった訳でもなく、学校も仕事も普通にこなしてきましたが、苦しいかどうかはわかりませんでした。きっと、苦しいと認識してしまったら終わりだと思っていたので、あえて感じないようにしてきたのだと思います。
でも、なにかはおかしいと思っていたので、どこかに答えがないかと、いろんな本を読んだりしてみました。
大学を選ぶときも、仏教・東洋思想系か、西洋哲学か心理学かで悩みました。いろんな事情を考慮して西洋哲学に決めましたが、哲学とは非常に深く難しいものなので、こういう学問なんだよというオリエンテーションだけで四年間なんて終わってしまいました。
私の感想としては、「ここには求める答えはなかった」というものでした。
もっと深く学んだらあったのかもしれませんが、論理学とか神の存在証明とかにはあまり興味を持てませんでしたし、とにかく難解でよくわかりませんでしたし、どこに自分の求める答えがあるんだろうかと毎日考えていました。
どうしたらいいのかわからないままに(今思えば問題に一切向き合うことはせずに)、仕事や人生をなんとかやり過ごしてきましたが、30代後半あたりから本格的に何かがおかしいと思うようになりました。
夢の内容を覚えていないのに、目が覚めたときに筆舌に尽くしがたい怒りや焦燥のような感情が湧いていてどうしようもない、ということが増えました。
週末はその週にあったいろんなイライラを反芻しているだけで一向にスッキリすることもなく、だんだんと追い詰められていきました。
一体これはなんなのか?とにかくおかしい、とにかくなんとかしなければならないと思うようになりました。
つまり、ずーっと「なんで?」という疑問符で一杯だった・・・ということになります。
おかしい・・・私はそんなに不幸な境遇にあるわけではないはずなのに、なぜこんなに苦しいのか?なにがおかしくてこうなっているのか?わからない、理解できない、どこかに答えはあるはずなのに手が届かない・・・という感じだったのだと思います。
物語を読んだり、ゲームに没頭したり、いきなり園芸にはまったり、いろんな現実逃避をしてみて一時的に気を紛らわし続けてきたけれど、一向に問題は解決しませんでした。
2、一切皆苦の意味とは
「一切皆苦(いっさいかいく)」という意味は「世の中とはそもそも苦しみばかりである」という意味だと思っていました。実際、ネットで調べてもそういった意味を押し出しているサイトも数多く存在します。
これを聞いたとき、「え~そんなの納得いかない。そんなのおかしい」と思いました。実際、自分は全てが苦しいと思って生きているのに、なぜこんな感想になるのかといえば、人生とはそういう側面があるという真実を受け入れることができなかったからだと思います。
全く受け入れていなくて、どこかに本来のあるべき苦しくない自分の人生があるはず、自分の中にある間違った要素をなんとかすれば、その本来の人生に戻れるはず。その方法を知ってる人はいるはずなんだ、だれかなんとかして!私にはどうにもできない!という感覚だったと思います。
こうやって書いてみるとなかなかひどいもんです。
ですから、当時は仏教の教えなど全く耳に入りませんでした。でも、色々な学びがあった今、
改めて一切皆苦の意味を聞く機会があり、とても納得できたような気がしました。
一切皆苦とは「人生は自分の思い通りにならないもの」
仏教で言う「苦」とは「自分の思い通りにならない」という意味なんだそうです。
思い通りにならないからこそ、苦しみが湧くんですね。
妙に納得した覚えがあります。
3、まとめ デフォルトは「苦」と思えば見方が変わる
そもそも苦しい、そもそも思い通りにならないもの、そもそも修行である・・・。
その観点がなくて、苦しいのは嫌だ、そんなのは納得いかない、と抵抗するのは、ただの時間の無駄だったんですね。
どうせやらなきゃいけないのであれば、
ちゃっちゃとやってちゃっちゃと終わらせる!
どうしたら1番早く終わらせることができるのか?
そこに集中して向き合って克服していくこと。
それが1番なんですね。
私はそれが理解できるまでにだいぶ時間がかかりました。
R6年3月7日 苦しみの本質をみつめる おかもん法話