数学ダージリン / 毎週ショートショートnote
倒れそうなほど濃厚な香り。フォークを押し当てただけでジュワッと滲みでる様子はこのケーキが実は液体なのではと思わせる。
口の中から喉へと広がるブランデー…あぁ自転車で帰ったら飲酒運転になるかしら。
「私もちょっとだけ食べていい?」
五年生のカンナちゃんはフルーツタルトの皿からフォークを手に取った。
「ダメよ。数学で満点取ったらね。」
「えぇーっ!大人になっても無理じゃん。」
「大人になっても数学教えようかな。サヴァランが食べられるなら。」
おやつは家庭教師の醍醐味だ。
「ケーキがダメなら紅茶に挑戦したい!先生の凄く良い香り。」
「これはダージリン。うん、数学で学年10位までに入ったら飲んでもいいよ。」
「げーっ。あっそうだ!」
カンナちゃんはスプーンを私のカップに入れてひと匙すくい、自分の牛乳へと混ぜて飲んだ。
「数学ダージリン!…うーん、普通に牛乳だ。」
「32位の味だね。」
残念そうなカンナちゃんには悪いけど、私はサヴァランの続きを味わった。あぁ幸せ!
〈420字〉サヴァラン愛の分はみ出ました。
お題は「数学ダージリン」ですが…サヴァランです。
だって、りみっとさんの凄く美味しそうなサヴァランの記事を読んでから、食べたくて食べたくて…。
高校生くらい(大人じゃないけど時効ですよね)の時に一度食べたきり、二度と見つけられない幻のケーキ、サヴァラン。一度きりなのに忘れられない罪なケーキですね。
すごく食べたいけどサヴァランの為に飛行機乗って東京は遠いなぁ。
りみっとさんの美味しそうなサヴァランはこちら↓
りみっとさん、勝手に載せてごめんなさい。
ちなみに私も上の偽チョコ齧ると思います。
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