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shinobuwada
ふりかえるとよみがえる② / 毎週ショートショートnote
一歩づつゆっくり。
初めて美桜が歩いたのは一歳だったかな。ほんの一歩でぺたりと尻餅をついたんだ。
すぐにリレーの選手になるほど早く走れるようになって…いつからか私と手を繋がなくなった。
「やっぱりまだ早いんじゃないか。」
ウエディングドレスを着て私と歩く美桜は眉をピクリと動かした。
「今ならまだー」
「やめてよ、お父さん。私もう25よ?早くないってば。」
「まだ二十代じゃないか。」
すぐ先で私達を待つ男。こいつに美桜を渡すのか…いや気に入らない訳じゃ無い。いい青年だ。
「五年くらい延期しないかね?」
私の提案に青年は目を丸くする。
「やっぱりー」
言いながら振り返ると妻と目が合った。眉を吊り上げ怒っている顔を見て過去の記憶が蘇る。
そうだ。俺達の結婚式もお義父さんがごねて妻が怒っていたっけ。今はお義父さんの気持ちも、この新しい息子の気持ちも分かる。
私は軽く頭を下げた。
絶対に美桜を幸せにしてくれよ。泣かせたらすぐ離婚させるからな。
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