音声燻製 ２　/毎週ショートショートnote

赤ワインと白ワイン、ビールに缶チューハイ、バーボンをロックで、梅酒とカルアミルク…。
みんなそれぞれ飲みたいものを持ってきたからマナと私の部屋はお酒と笑い声で溢れていた。
「ちょっとおつまみ買い足しに行ってくるね。」
「あ、私も行く！アイス食べたい。」
「私も！日本酒とか、飲んでみない？」
「もう飲み過ぎだよー。」
笑いながらみんなが買い出しに行った後、マナと私は少しだけ片付ける。マナとの共同生活もあと数ヶ月。大学卒業を機にそれぞれ一人暮らしする。
私は音声燻製器を持ってきた。
「それ…中学の時のでしょ？食べる気？」
「もういいんだ。一緒に食べよ。」
箱の中のハートはあの時のままだ。
「付き合った途端に恥ずかしくて何も喋れなくなるなんてね。」
「仕方ないよ。中学生の初恋だもん。ま、アイツに包容力とか足りなかったんだよ。」
「彼だって中学生だったもの。」
二つに割って食べた燻製チョコレートはサクッとして、ほろ苦かった。

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