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バーチャルクリエイトにおけるリアリティとバーチャリティ(xRAM012登壇プレゼン)
2022/06/18にclusterで行われた「xR with Anything Meetup #012」にて、プレゼン登壇させていただきました。
その内容をまとめます。
使用したスライドとトーク内容を記します。(自己紹介は省略してます)
バーチャルにおけるリアリティ
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タイトルは「バーチャルクリエイトにおけるリアリティとバーチャリティ」。
ここでの「バーチャルクリエイト」とはワールド、アバター、演出など色々な創作を指しますが、一番説明しやすいのがワールドなので、今回は主にワールドを例としてあげていきます。
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突然ですが、こんな事を思ったことはありませんか?
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「色々創れるバーチャルなのにリアルにあるものを再現したワールドが多い。そしてそういうワールドは人気である。」
例えば夕日が見えるワールド、森、海など。
バーチャルなのでリアルにないものも作れるはずなのに、何故かそういうワールドがとても多いと感じています。
また、リアルにあるものはリアルでも体験できるはずなのに、なぜバーチャル世界で人気なんでしょうか。
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私は人気の理由として「思い入れの心」があるからだと思っています。
人は思い入れがあるものに対して興味関心を持ちやすく、また、ひいき目で見やすかったり、感動したり心が動きやすいです。
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例えば、リアルで「夕日」を見て感動した経験は、多くの人があると思います。
その経験が「夕日」に対して思い入れを持たせます。
また、「夕日」と「感動できるもの」がイコールで結びつきます。
その状態でバーチャル世界で「夕日」を見ると、「感動の再体験」が起こります。
こういった流れができるため、「多くの人が思い入れを持っているもの」が存在するワールドに人が集まるのだと思っています。
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しかし、それは「感動の再体験」はできますが、「新しい感動や体験」は生まれにくいのではないかと思っています。
そして、せっかく色々なことができるバーチャルでの創作なので、リアルで体験したことのないものを創りたいと考えています。
(これはリアル系ワールドを否定する意図はなく、あくまで私個人としては自分で創るならそういったものを創りたい、という話です)
リアリティからバーチャリティへ
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ここから少し別の話になります。
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人気あるなしの前に、そもそもリアルを再現したワールドは数が多いです。
その理由も同じなのかというと、それはまた別の理由があると思っています。
人はリアル世界で膨大な時間を過ごしてきました。
例外は映画やゲームなどの創作物ですが、それらもリアルベースのものが多いですし、リアルにないものが登場するのはごく一部です。リアルで過ごしてきた何十年という時間に比べたら圧倒的に時間量の差があると思います。
そのリアルでの膨大な経験というのは、言い換えると膨大なインプットになります。
しかし人が何かを発想する時は、自分の中にあるストックからになるので、自分が今までインプットしてきたもののみになります。
そのインプットがリアルでのものが多いので、発想で出てくるのもリアル系のものが多くなる為、結果的にリアリティ重視のワールドが多いのだと思います。
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しかし、リアルにあるものは、リアル世界のルールに対して最適化されているのであって、それはバーチャル世界においても最適とは限らないと思います。
例えばリアルで2階にあがるには、物理や質量のルールにより「階段」にせざるをえません。
しかしバーチャルでは「ワープ」にすればいいと思います。そうすることで場所もとらないし一瞬で移動できるので、これがバーチャルにとって最適だと思います。
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このようにリアルにはない新しいもの=バーチャリティの高いもの(これをイコールとしていいか迷いますが、一旦そう言い換えます)を創るには…
発想で出てきたもの、思いついたものは「リアルらしいものである」事を大前提としておく。それを念頭に置いた上で発想したものを否定したり改変すればよいと思います。
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これは私の作ったものですが、左のライブではステージ含め全てが浮いています。リアルには全てが重力に縛られますが、それを否定してみました。
また、右のねこワールドについては、「ねこはこれぐらいの大きさでこういう形で地面を歩いてて…」というねこを構成する概念がありますが、これをどんどん改変していき、巨大なねこがいたり飛んでいたり潰れたねこがいたり…という風にしています。
他にも、現実では相反する挙動や不可能なものを合わせる方法もあります。
例えば燃やすものと燃えるものを合わせて、マグマと森。
また、夏と冬と合わせてセミと雪、などです。
このように「思いついた」時点ではリアルらしいものでも、リアルの挙動や概念を否定・改変していくことで、リアルにはない新しいものに繋がっていくと思います。
しかし、何でもかんでもこうすればすぐに面白いものが生み出せるわけではありません。
新しいものは理解不能ということでもあるので、基本的には「意味が分からない」で終わってしまいます。
しかしこれらを頻繁に、また、繰り返しどんどん行っていくことで、「本当に新しくて面白いもの」に発展する可能性があります。
まとめ
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以上のことを全てまとめると…
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こういう図になります。
赤い部分がリアリティの高いもの、青い部分がバーチャリティの高いものです。
しかし両方に最適なものもあると思うので、それが真ん中の紫です。
発想で出てくるのは緑で囲まれた部分(赤と紫)がほとんどなので、それを否定・改変することでバーチャリティの高いものに寄せれます。
しかしただバーチャリティ側に寄せればいいというわけではありません。
今まで話してきたようにリアリティとバーチャリティはそれぞれにメリット・デメリットがあるため、目的…コンテストに出したいとか、趣味全開のものを創りたいのかなどの創作の目的に応じて、どちらに寄せるべきなのか考える事が大事だと思います。
なのでこの図を常に頭に入れておく必要があります。
そして思いついたものを動かして、目的に合わせていきつつ、これからも色々なものを創っていこうと思います。
以上です。