旅ときのう / 25カ国め /ドイツ01ベルリンから少しはなれた街

その時私は、湖に浮かぶ奇妙な白いヨットのような、小さな島のような、体育の運動マットのような、豆腐のような、5m四方くらいの不思議な物体の上に乗って縫い物をしていた。

縫っていたのは、その白い真四角の「島」みたいな物体だ。

ボートの上には縫い物をはじめた上には私以外に4人ほどのドイツ人が、同じように真剣な顔をして、その白い「島」もしくは「豆腐」のような物体のふちを白い糸と針をつかって真剣に縫っている。

縫っているのは水にうかんだ四角い物体のふちにあたる部分なので、全員うつぶせ、もしくは身を乗り出して水面をかがむような体制だ。

それは奇妙な光景だった。

正方形の白い「島」と

黙々と作業する5人の人間と、

濃い青い湖と、

それをぐるりとかこむ明るい緑の葉の影と。


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