旅ときのう

ひっそりのんびりと旅の記憶をノートしていきます。

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  • 旅ときのう

    思い出した旅の記憶を、パッと思いついた順に、ランダムに書き留めていきます。

  • ある日のニューヨーク

最近の記事

旅ときのう/シンガポール

「はじめてのシンガポールだなあ。」とおもって、そういえば自分は何カ国行った事があるのだろう?とおもって数えてみたら、32カ国だった。 ちょっと適当だからもしかしたら忘れている国があるかもしれないけれど推定そんな数だ。 正直おもったよりも多くて、随分いろんなところにいっているんだなあと、自分でも驚く。 これが都市の数だと何カ所なんだろうなあ。と思う。 私が子供の頃は、こんなにインターネットの上で自分の行動記録を人に発表したり、携帯電話で気軽に写真を撮ったりしなかったから

    • ある日のどこか/SNSと現実

      インスタグラムの投稿をみて、お互いの所在地を偶然知り、 「近くに来ているのでお茶でもしよう」、となる事は割と多い。 インターネット上のコミュニケーションが現実の関係を疎遠にしているとう意見もあるけれど 少なくとも私の場合は現実とLINKして、現実の関係を強めている感じさえするのだ。 そうでもなきゃ偶然東京やニューヨークに遊びにきたドイツや韓国や北欧の遠い場所に住む友人や、旅先で偶然同じような場所にいる友達と、気軽に連絡をとって思いつきで会う事や、毎日の様子を偶然的に知

      • ある日のトーキョー/お弁当とフルコース

        母に高級レストランに誘われたのだが、「仕事があるのでみんなで行ってきて」とお断りした。 「おいしいものを食べさせてあげたい」とのこと。「明日の予定は」ときかれ「とくにない」と答えると、すかさずコースの予約の電話をいれる母と姉。 とりあえずその場を離れ、 そっと別の場所に移動して仕事をしていると 母がお弁当をつくってくれたものを姉が届けてくれた。 小、中、高、とほぼ毎日食べても飽きなかった大好きな母のお弁当。 高級フルコースより、こっちのほうがずっとごちそうなのにな

        • ある日のニューヨーク5/他人の手のような自分の指と久々のパルティータ

          ひさびさにバイオリンを弾く。久しぶりの手の感覚が、他人の手みたいに動かない。 ある種の気持ち悪さを覚えつつも、やはり楽しいし落ち着く。 物心がついたときから人格形成される大人になるまで毎日一緒にいた存在だ。 たとえずっと弾いていなくて腕前が落ちていても、 弾いている自分のほうがよりノーマルに近い。 どんなに離れていても、弾いていない時期のほうがやはり不自然なのだなと思う。 とりあえずも目標がないのでバッハの無伴奏ソナタとパルティ−タの楽譜を適当にインターネットで探して印刷す

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        • 旅ときのう
          16本
        • ある日のニューヨーク
          6本

        記事

          旅ときのう / 27カ国め /スイス /バーゼル/階段の上のパイプオルガン

          階段の上のパイプオルガン 1段1段の段差が高い、角の取れた石の階段を登っていく。石のブロックの大きさはランダムで、平らではなくて、その坂道は急で不安定だ。 階段のみちは細くて、ぐにゃぐにゃまがっている。 慣れた足取りの友人の背中を急いで追うようにして、ようやく上までたどりつく。 「ここらへんは旧市街地なの。」 そういって教えてくれた時に通過した階段なったのか、 それとも彼女の学校へ行くまでの道だったのか、記憶が曖昧だが、 とにかく私はあの街で、そういう階段を登っ

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          ある日のニューヨーク4 世界最大のハロウィンパレードに小さな楽器の演奏者として参加したはなし

          ハロウィンパレードに演奏者として参加した。 観客としてではなく公式の出演者として、だ。 ニューヨークでは毎年世界最大のハロウィンパレードが毎年開催される。 私はAgogôという楽器を担当して、演奏グループの最前列だった。 偶然にも今年は私の所属する団体が、全体のパレードの先頭らしい。 そんなわけでお私はなぜか成り行き上、今年のパレード行列の一番前で演奏することになってしまった。指定のお揃いTシャツだけではとても寒いので、Tシャツの下にあたたかい服を着込む。 全員でそろえた

          ある日のニューヨーク4 世界最大のハロウィンパレードに小さな楽器の演奏者として参加したはなし

          旅ときのう / 26カ国め /ドバイ/早朝のモスクの床で一人寝転がって砂糖菓子のような天井を眺める

          朝の6時半だか7時に、私はひとりでモスクの中の床に寝転がって、カラフルな天井を見上げていた。パステル調のその色は、淡いピンクやマヨネーズのようなやわらかい黄色、イースターのお菓子を砂糖のコーティングを連想させる水色。 モスクの中には完全に私一人だった。 だれもいないモスクで、少し不安になりながらも、少しわくわくしながら、遠慮がちに建築を内側から眺める。 その日の予定は、友人が割と念入りに計画をたててくれた。ちなみに計画をたててくれた友人は一緒に旅行したわけではない。わた

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          ある日のニューヨーク3

          イングランドの人たちと1週間毎日話していたので、 なんだか頭で考える英語のアクセントが、イングランドっぽくなっている。 という事に彼らと別れてから気づく。 ちなみに私は時代小説などを読んでいる期間は、 頭で考える言葉が江戸っ子口調である。 日本語訳した英語のファンタジー小説では、 翻訳特有の言語っぽい口調になっている。 村上春樹風のときもあれば、天声人語風の時もある。 とにかく読んでいる文体に影響されやすい。 ただし実際に自分が人と話すときは、 いつもと変

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          旅ときのう / 25カ国め /ドイツ01ベルリンから少しはなれた街

          その時私は、湖に浮かぶ奇妙な白いヨットのような、小さな島のような、体育の運動マットのような、豆腐のような、5m四方くらいの不思議な物体の上に乗って縫い物をしていた。 縫っていたのは、その白い真四角の「島」みたいな物体だ。 ボートの上には縫い物をはじめた上には私以外に4人ほどのドイツ人が、同じように真剣な顔をして、その白い「島」もしくは「豆腐」のような物体のふちを白い糸と針をつかって真剣に縫っている。 縫っているのは水にうかんだ四角い物体のふちにあたる部分なので、全員うつ

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          旅ときのう/24カ国め/デンマーク01/世界一細長い冷蔵庫

          一番最初にこの国を訪れたのは、陶器をつくる友人がレジデンシーをしている田舎の工房を訪ねていったときだ。その工房のまわりは森でかこわれていて、小さな池がいくつかあったようなきがする。池といってもサイズはおおきめのみずたまりくらいだ。 工房の共同キッチンにはものすごく背の高くて細長い冷蔵庫があったきがする。 いままでいった国のどの場所でみたどの冷蔵庫よりも、幅がせまくて縦に高い大変珍しい冷蔵庫だったきがする。 今考えると不思議だ。背の高いヨーロッパの天井に合わせたような高さ

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          旅ときのう/番外編01

          New York, Paris, Milan, Tokyo, Berlin, Beijing, SanFrancisco, Las Vegas, Detroit, Stockholm, Amsterdam, New Delhi, Seoul,Oslo, Copenhagen, London, Brussels, Lisbon, Hongkong, Barcelona, Frankfurt, Munich, Zurich アイフォンのワールドクロッックに現在入っている都市の時

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          旅ときのう/23日目/チェコ01

          修道院にある美しい図書館に行こうと思い立ってドイツを出たのはその日の朝だった。思いつきで隣の国に行ける、というのはすごいことである。と、日本生まれの私は感じてしまう。 気がつけば私は図書館を後にして、広々とした景色の広がる街を丘のような地点から見下ろしていた。街は明るい茶色とオレンジのような屋根がならんでいて、とても気持ちがよい。 旅行にでかけて楽しい事の一つに家の屋根の形をみる、というのがある。 たとえば長距離電車にのって、外をぼんやりとながめていると、途中に点々とし

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          旅ときのう/22日目/オランダ02/ Eindhoven01

          昔すんでいたこの街に日本人の友人が旅行に行っているらしい。そういえば 別な日本の友人がオランダに旅行に行っているときも同じような事をしていたな、と思ったりもする。自分もそうだったのかな、と思ったりもする。 よく知っている街を、知り合いが旅行客として訪れているときの視点というのはなんだか変な感じで面白い。特に過去に住んでいた街だとなおさらだ。 ヨーロッパ圏の友人が見る視点と日本人の友人が見る視点というのはあきらかに別で、私たち日本人がどれだけヨーロッパから距離があるのか考

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          ある日のニューヨーク2

          サムソンとデリラの第四幕目の後半にあらわれたのは、舞台の天井くらいまでそびえたつ、巨大な人間の形をした舞台セットだった。金色に輝くその姿の中から、光やダンサーが垣間見える。圧倒的な存在感に人々は息をのみ、思わず演奏の前に、拍手が鳴り響いた。 Metropolitan Opera, Samson et Dalila, Oct 18

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          旅ときのう/21日目/モンゴル

          生の羊の心臓を食べた。 さっきまで目の前で生きていた羊が殺されて、その心臓が今私の口の中にある。例えば東京やニューヨークでの生活の中では残酷とさえ言われてしまう状況なのかもしれないが、その時あの場所で起きた出来事は不思議とすんなりうけいれられた。 モンゴルの草原のど真ん中で、地平線と雲の影にぐるりとかこまれた広い場所。大自然の空と地面の真ん中に佇んで、目の前の出来事を直視する。 随分前の記憶なので当時の感情は曖昧だ。もしかして怖い気持ちや、可哀想、という身勝手な感情も含

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          旅ときのう/20日目/韓国

          鳥かごがたくさんあって、鳥が飛んでいるカフェがあったのを見た記憶があるのだが、 同じ国へ行ったことがあるという人へ、「あの街にはそんなかんじのカフェがあったきがする」と話しても、あまりそピンとくる人がいない。そんなわけで、だんだんと自分が見た気になっているものが、事実だったのか、想像だったのか、よくわからなくなってくるのだ。 人はあとから都合良く記憶を塗り替えてしまう事があるそうだ。もちろん嘘をついている訳ではなくて、本当にそんなことがあったんだ、と脳が解釈してしまっているら

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