これだから遠征はやめられない。

※現在開催中のツアー、スキマスイッチ TOUR 2022 "café au lait"のネタバレ(アンコール)を含みますのでご注意ください!


スキマスイッチは、昨年発売したアルバムを引っ提げたツアーを今年2月から行なっている。
しかもほぼ一年をかけて約50公演、かつ47都道府県を制覇する大規模なツアーだ。


スケジュールも前半戦、後半戦と分かれており、今回は各2公演ずつ行くことを目標に応募をかけていたのだが、後半戦の東京公演が一向に当選しない。
私はついにしびれを切らし、前半戦の新潟県上越市に、公演日10日前に行くことを決めた。
結婚して首都圏に住み始めてからは、遠征は近場で各1公演だけにしよう、と決めていたのにこれを自ら打ち破ってしまった。恐ろしい推しの力。


今これを書いているのは高崎駅近くの某カフェ。実は上越公演からはや1ヶ月経ってしまい、高崎公演の日を迎えてしまっているのだが、今回は上越遠征旅の記録をここに記しておきたい。


6月25日、6月とは思えない猛暑に見舞われたこの日。
朝早めに起床し、東京駅に向かい、朝ごはんを購入して新幹線の改札をくぐる。

実は東海道・山陽以外の新幹線に乗るのは、今回が初めてだった。


自分が乗る予定の新幹線のホームを確認しようと掲示板を眺める。
色んな新幹線が一つの改札に乗り入れるため、同じ掲示板に金沢だの新函館北斗だの新潟だの長野だの様々な目的地が表示されている。目的地は上越妙高駅。いやこれどれに乗ればいいのか行き先を見ただけでは全く判別できないじゃん!
さらに「とき」だの「あさま」だの「かがやき」だの鳥なのか地名なのかなんかよくわからない愛称も並んでいる。
愛称については東海道新幹線の「のぞみ」や「こだま」みたいに停車駅で決まっているのだろうが、私はまだそこまで把握しきれていない。目眩がした。

そもそも上越新幹線が上越市に止まらないのは結構なトラップだと思うんだが。
新潟駅方面に向かえば上越市も行けると思うじゃんか!

なんてブツクサ言いながら、予定の金沢新幹線に乗り込んだ。
現地に着いた後は在来線やバスが1時間に1本ペースなので、乗り過ごすと色々と詰む。大丈夫だろうかこの旅。不安しかない。



朝ごはんを食べ、爆睡。上越妙高駅に到着するアナウンスが流れ、少し早めにデッキへ向かい、ドアの前立つ。
トンネルをくぐり抜け、目の前に広がった景色に私は釘付けとなった。

なんと綺麗な田園風景なんだ。

私の地元にも山と田んぼあるけど、ここまで綺麗な緑じゃない。
都会にはない光景にめちゃテンションが上がった。


そして上越妙高駅に降り立ち、次の目的地に向かうバスまで時間があったので少し駅周辺を散策してみた。
駅を挟んでそびえ立つのは新幹線停車駅おなじみのアパホテルと東横イン、そしてスーパーホテル。3つもホテルがあるということはかなり需要があるのだろうか。周囲に高い建物がないのでかなり目立っていた。
そして名古屋でお馴染みコメダ珈琲店。駅周辺のカフェはここしかなさそうだったので完全独占状態である。



そしてバス停に戻ってバスを待っていたわけだが、ここでなんと!乗れないというハプニングが発生!やはり大丈夫ではなかったこの旅。
(詳細はバス会社さんを責めたいわけではないので割愛しますが、自分が都会慣れしちゃったのかな、と思ってちょっと悲しくなった)

とっさに電車に切り替え、えちごトキめき鉄道に乗車。
ICカードは使用不可とのことで、久しぶりに切符を購入。そして降りる時は前の運賃箱に切符を投函するスタイル。
そういや桃が美味しい県に住んでる友達が家の近くにそんな電車があるって言ってたな。これか。

そして最寄駅から目的地までも広がるこの風景。緑が目に優しいよ。ブルーライトとは無縁だよもはや。
あとこういう一本道好きです...どこまでも歩きたくなっちゃうよね。

そして目的地とはこちら。
スキマスイッチ御用達、そしてテレビでもよく紹介されている「とん汁 たちばな」さん!



4月に「ハマスカ放送部」で常田さんがツアー飯として紹介していたこともあり、明らかに今日のライブに行くと思われる人が行列をなしていた。
名前を書きに店内に入ると、店員さん全員がツアーTシャツを着ていてびっくりした。
前日にスキマのお二人も来ていたようだが、その時にお渡ししたのだろうか。
地元のお店がライブを盛り上げようとしてくださっていて、そのあたたかさがとて嬉しかった。


小一時間待って、店内に入る。
そしてお目当てのとん汁定食。

今まで食べたとん汁の中でぶっりぎりの1位。とにかくたまねぎが甘い。味も濃すぎずめちゃくちゃ食べやすい。
しかもお米もめっちゃ甘くて美味しい。さすが生産シェアトップクラスの新潟県。
前日にお腹の調子を崩してしまったので並盛食べられなかったのが悔やまれる。
でもここで無理するとライブ中にトイレ駆け込むことになっちゃうからね。我慢我慢。



地元グルメを堪能したところで、会場へ向かう。
今回もうひとつのお目当てが、昨年開催されたsoundtrackの衣装展示!


当時は黒い衣装になんか書いてあるなくらいに思っていたが、よく見るとたくさんの楽曲の歌詞だった。フォントも凝っててめちゃおしゃれ。
これ1回限りでお蔵入りになっちゃうのかな。なんかもったいない。


そして開演5分前に着席。
今回はソールドアウトギリギリのタイミングでチケットを購入したため、1番後ろの席で会場全体の雰囲気を堪能することとなった。

上越でスキマが公演するのは初めてなのだが、毎回恒例の質問コーナー?「初めてスキマスイッチのライブに来た人」のときに、私の視界からステージが遮られるくらい手が挙がっていた(特に後方エリア)。
常田さんが前日某サウナに行った話した時、会場かなりどよめいてたもんね。それだけ上越の人が多かったということでもあり、自分ぼ地元に来てくれたんだ!という感覚を持っていただけたのかな。


また、会場全体から「なんか有名なアーティスト来るのか、暇だし行ってみるか」というよりも「今日のライブを心待ちにしていた」という雰囲気がものすごく出ていた。
私の斜め前には我が子に、ステージを指差してなにかを語りかけるお母さん。私の3列ほど前には終始座ってゆっくりしつつ、一曲が終わるごとに笑顔で会話している老夫婦。何度もライブに足を運んでいる人は、この曲のあのパートの手のフリとか、ここでタオルを投げるとか、そういった暗黙のルールみたいなものが分かっているけど、初めての人は自分のペースで楽しんでいて。でもその二つが反発することのない、すごくあったかい時間が流れていた。



それが如実に出ていたのが、アンコールの時間帯だった。

まず、アンコールを求める手拍子のボルテージが高い。みんな手を痛めちゃうよ、ってこっちが心配になってしまった。
そしてメンバーが出てくると、割れんばかりの拍手がステージに降り注ぐ。そして鳴り止まないのだ。
スキマスイッチは、この日も素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。お客さん一人一人に真剣に向き合って、音楽を届けてくれた。それにお客さんが呼応したのだ。
「会いたかった」「ありがとう」「まだ終わらないで」、たくさんの心の声が、そこに載せられていたような気がした。

そして演奏されたのは「奏」。
ワンマンライブ、フェス、テレビ番組で何度も何度も歌われてきた、スキマスイッチの代表曲。

あのピアノのイントロが鳴った瞬間、会場のわっという驚きとともに、拍手が起こった。
この瞬間、私の目から自然と涙が溢れた。
だって、だって歌い終わりではなく、イントロで拍手が起こったのは、私がライブに行った中ではじめての出来事だったから。
そして拍手が起きたのは、みんながあの曲を「求めていたから」だ。

以前、何かのインタビューで「奏や全力少年を超える楽曲を生み出せないことがもどかしい」といった趣旨の発言をしているのを見た。
そのときは、「誰もが知っているような楽曲をひとつ生み出せるだけでもすごいじゃん」と思いつつも、「音楽を続ける以上、向上心を持ち続けるというか、もっともっとそういった楽曲を生み出したい、と思う気持ちを持つのも当然だよな」とも感じていた。
でも、どんなにその楽曲が過去のものになっても、「名曲」であることに変わりはなくて、名曲であるからこそ「求められる」。
ましてや初めて彼らのライブに行く人にとって、「奏」や「全力少年」を生で聴けたという事実は、かなりのインパクトを持つし、深く記憶に残るはずなのだ。

私にとっては「聴き慣れた」奏。
でもあの場にいた多くの人にとっては「地元で聴けるのを待ち望んでいた」奏。

みんなの想いは大橋さんにも伝わったのだろう、歌い始め少し声が揺れているように感じて、私はそこでまた泣いてしまった。

そして歌い終わり。
「僕らは何処にいたとしても つながっていける」

今日ほど、この歌詞を実感したことはなかった。
声は出せなくても、ステージのみんなと、会場のみんなの心がつながる。会場を出てバラバラになっても、思い出は消えない。この曲を通じて、あの日に心をまたつないでいける。

そしてまた拍手に会場全体が包まれた。いつまでも、いつまでも鳴り止まない。
上越の人のあたたかさはもちろんスキマスイッチに向けられたものだけど、もはや私が救われてしまっていた。


帰りの電車の便が限られているので、余韻も冷めやらぬままいそいそと会場を後にしてしまったけど、北陸エリアの他公演のチケットを販売しているコーナーには長蛇の行列ができていて、また泣きそうになった。たくさんもらったものを落っことさないように抱き抱えて、この日は家に帰った。



距離によるけれど、遠征にはお金がかかる。遠征をやめればそのお金を貯金や、他に必要なことにまわせると、私自身が1番よくわかっている。
でも、遠征して初めて、見える景色もあるのだ。
今回も、私の知らない土地に、スキマスイッチを待ち望んでいる人がたくさんいるのだと、知れてよかった。

今日も私は遠征先にいる。高崎駅周辺、適度な規模感ですごく気に入った。
今日はどんな景色が見えるかな。楽しみだな。
これだから遠征はやめられない。行ける時に、色んなところへ行こう。色んなものを見て感じよう。そのたに頑張って仕事しよう。そうやってこれからも私は趣味に生きていくのだ。






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