【封印】
友達から貰った
キラキラした折り紙を
大事にしまっておくように
ただただ
大事に
心の奥底に畳んでしまっておきたい
キャラクターの絵柄の
香り付きのティッシュと一緒に
あの子が大事にしてた
キン消しと一緒に
どこにしまったかすら
忘れてしまっても構わない
大事にしまっておいたら
安心していられる
悪いことだと分かっていて
悪いことでも止められず
傷つけて
傷ついて
じゃあどうして?
ねえどうして?
問いにならない問いが
空を切る
ラメの入った
使いかけのマニキュア
四つ葉のクローバーの栞
ドアが開く黄色のミニカー
ドッジボール大会の金メダル
ゼンマイの壊れたオルゴール
二人で行った映画の半券
書きかけのラブレター
捨てられないんだ
大切だから
捨てられないんだ
どうしても
誰かにとっては
何の価値がなくても
捨てられないんだ
愛してるから
捨てられないんだ
失うかもと思って
追い縋るのも違う
ちゃんと大事に出来ている
などと微塵も思えない
いっそ遠ざけてしまいたい
いいえ
いいえ
そんな風に簡単に
千切れるものならとっくに
だから
宝箱にそっとしまって
封印してしまいたい
刻が解決すると人は言う
傘も役に立たない嵐の中で
嵐が過ぎ去るのを待つ
風化してしまえば
穏やかで凪いだ海原を
輝く夕陽を
柔らかな暖かい光の中で
ふと立ち止まって
来た道を振り返る
昨日と思った出来事が
あんなに遠くに見えて
腕についた筋肉が
その年月を語っていて
隣には
笑いかける人がいて
急に一人じゃない事に気がついて
ああ
でも
行く先の道は険しくて
その道の先に
こちらにおいでと
呼ぶ声が聴こえる
止まったり
迷ったりしながらも
歩を進める
そうするしかないのだ
今はまだ道の途中
荷物を抱えて
まだ見ぬ未来へと