ここにいるよ(台本バージョン)
私が所属しているHEARシナリオ部で書いた作品です。
月に一度テーマを決めて、部員で作品を書き合います。
フリーで朗読・声劇で使用できる物語です。
配信などでご利用される場合は文末の規約に従ってご利用ください。
■HEARシナリオ部公式(他の部員の作品も読めます。現在、150本以上)
■その他の ねこつうが書いたHEARシナリオ部投稿作品
■エッセイも含めたその他の ねこつうの作品の目次へ
※この作品はフィクションです。
登場人物
◎警察官
◎男
(パトカーから降りて、 民間人から 「あそこに車が止まっているんだ」 と聞き、そちらに向かう様子で)
警察官 :
……あの車ですね?
教えてくださり、ありがとうございます。
(歩きながら、ガラス越しに身分証を見せて、
そして車の窓を覗き込む)
(止まっている車の窓叩く)
警察官 :
……すみません、長時間止まっておられるようですが
どうかなされましたー?
(パワーウィンドウ下がる)
男 :
ぁ、ぁあ
なんでもないですよ。ちょっと故障したようでして。
警察官 :
故障?
男 :
突然……動かなくなってしまって。
(挙動不審な感じの声色で。)
警察官 :
あらら、それは大変でしたねー
一応、免許証を見せてもらっていいですか?
すみませんねー
こういうルールなもので……
男 :
……(バツが悪そうに免許証を出す)
警察官 :
(免許証と男を交互に見ながら)
なぜ、ロードサービスを呼ばないんですか?
男 :
ぃや、
自分で……なんとかなるかと…
警察官 :
(呆れたように)
自分でなんとかって……
もう、ここで長時間いるようですが。
ほら
迷惑になりますし……
……レッカー呼びますね……
男 :
待てッ……
そんなもの呼ばなくていい
…あと少し待ってくれ!
警察官 :
……あなたねぇ
(突然、スマホが振動・または音を発しだす)
警察官 :
……?
男 :
(男はスマホを手に取り画面を見る
「アヤカ」と表示されている。)
アヤ…ヵ…
(男はスマホ落とし、顔が青ざめ、震える呼吸)
警察官 :
(コールし続けているスマホ。不審そうな顔をしながら)
……落としましたよ?
なぜ拾いもせず、出ないんです?
……ちょっと、失礼(スマホを取る)。
警察官 :
アヤカ?
……あれ? 切れた……
男 :
(男 震える呼吸。死にそうな顔)
ぁ、あやヵ…
あやちゃん…アヤ…
(感情が零れでた様に呼びつつ
次第に目に涙が浮かんでくる)
警察官 :
…………なんなんですか……一体……
男 :
(泣きながら)アヤカ………アャ、ごめん……
ごめ…ん
警察官 :
……アヤカって……さっきの着信の…?
警察官 :
…………
ちょっと、車内を改めさせてもらいます。
(車内を見たあと)
トランクも開けて。
男 :
(泣いている)
警察官 :
トランクを開けなさい!
男 :
…………
(男、泣きながらトランクを開けるボタンを押す。ガチャ
警察官トランクをガーッと開く。
スーツケースが入っていた。それを開けようとする。
カチャカチャ
しかし、スーツケースに鍵がかかっている。運転席に戻って)
警察官 :
スーツケースの鍵も出しなさい!!
男 :
(泣いている)
こ、こんなつもりじゃ…
警察官 :
(男が泣いていて、らちが明かないので苛立って)
早く!!(車を叩く)
男 :
…………(男が涙と鼻水をすすりながら鍵を渡す)
愛していた、愛して……
警察官 :
(警官また、後ろに行って、スーツケースを開ける。
女性の遺体が入っていた)
………………………(ため息)
(警官。運転席の方へ戻る)
警察官 :
………………彼女がアヤカさん?
男 :
(しゃくりあげている)
……はぃ(聴き取れるか微妙な位で。)
(警官。無線で連絡)
警察官 :
(ノイズ)―――― はい。カシワギです。
通報がありスタンド通りで
立ち往生していた車にいる男に職質したところ、
様子がおかしく会話にはならず。
その後、車内を調べるとスーツケースに入った女性の遺体を発見。
至急、応援願います。
場所はスタンド通り2―1。
F不動産と第5歩道橋の中間あたりです。
(無線の相手。「大丈夫か?」)
警察官 :
はい?
(無線の相手。「逃亡の恐れなどはないか?」)
逃亡も自殺も心配ありません
経験からの勘でしかありませんが。
大丈夫です。
(至急応援に向かう。待機していてくれ)
はい
……了解。
警察官 :
(ため息)……警官をしてると
ときどきあるんですよね
こういう不思議なことが……
……車が止まったのも、
さっきの妙な着信も……
アヤカさんの………あなたへの本当の想いが…
いぇ、代弁などできるわけもないですから
やめておきますか(嘆息)
…………詳しくは、署でお話を、伺います
Spesial Thanks ! 人外薙魔 様
■作品のご利用に関して
・この作品は朗読、配信などで、無料にて利用していただけますが著作権は放棄しておりません。テキストの著作権は、ねこつうに帰属します。
・配信の際は、概要欄または、サムネイルなどに、作品タイトル、作者名、掲載URLのクレジットをお願いいたします。
・語尾や接続詞、物語の内容や意味を改変しない程度に、言いやすい言い回しに変える事は、構いません。
・配信の際の物語の内容改変をご希望される場合は、ねこつうまでご相談ください。
・また、本規約は予告なく変更できるものとします。当テキストを用いた際のトラブルには如何なる場合もご対応いたしかねますので、自己責任にてお願いいたします。
■HEARシナリオ部公式(他の部員の作品も読めます。現在、150本以上)
■その他の ねこつうが書いたHEARシナリオ部投稿作品
■エッセイも含めたその他の ねこつうの作品の目次へ