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(64)スミレ

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このシリーズは散歩中に見た300種くらいの植物を紹介していくシリーズです。

スミレ科 スミレ属 スミレは
道ばたで春に深い紫の花を咲かせる野草で、
日本の数あるスミレのなかまの代表格としても知られ、北海道から屋久島まで。
国外では朝鮮、中国からウスリーまで
日当たりのよい平地、山間部の道ばたから都会にといろいろな場所に生育している。

本種のスミレの種の鞘は、弾けるようにして飛んで広がる仕組みがあるのだが、それ以外にも、生息域を広げる変わった戦略を持つ。
それはどんなことかというと
種の端に、アリが好む物質がついていて、巣に持ち帰ろうとするために結果的に遠くに運んでもらえるというものだ。
アリがコンクリートの隙間に巣を作ることは、少なくない。
そのおかげか、スミレもコンクリートの割れ目などでも繁殖していることが結構ある。
コンクリートの狭い割れ目は、一度入り込めば、ほかの植物が侵入しにくい、かつ土の表面が乾燥しにくいので、有利な場所をしたたかに、おさえている策士とも言える。

話は変わるが、
歴史上の人物でもスミレが好きだった人たちがいる。
ナポレオン1世のスミレ好きは有名で、妻ジョセフィーヌの誕生日プレゼントに送っていたという話や
最後の戦いで敗れて島流しになった際も「スミレが咲く頃には戻ってくる」と言い残したとの話もある。

また
イギリスのヴィクトリア女王もスミレが好きで、日記にスミレについての記述が105回も登場するそうだ。

彼らのいうスミレはヨーロッパのもので
本種のスミレとは微妙に違う
ニオイスミレの仲間ではないかと思われるのだが…
それでも、小さくてとても華憐な花である。

彼らのように、大きな名声や権力を持っていた人たちが、なぜ、豪華な花ではなく、小さなスミレを好んだのか、不思議な気もする。

ヨーロッパでは、スミレはその姿から謙虚さや純粋な忠誠心の象徴ともされていたそうなので、
様々な興亡を見て来た彼らにとって、それらは、憧れ、求めて止まないものだったのかもだったのかもしれない。
もしくは
大きな存在でいる毎日にも辛い場面は当然あるだろう。
ゆえに
綺麗な野草にでもなりたかったのか。
なんにせよ
想像を掻き立ててくる植物でもある。

ナレーション台本化協力 人外薙魔様 Spetial Thanks!!

追記.

スミレは、食べられる野草のひとつとして知られ、若芽、若葉、つぼみ、花を利用する。
採取適期は暖地が4 - 5月、寒冷地では5 - 6月ごろとされ、若芽や若葉を葉柄ごと摘み取る。葉は灰汁は少なく、軽く茹でて水にとって冷まし、おひたしや和え物、酢の物、細かく刻んで混ぜご飯にした「スミレ飯」にしたり、生のまま天ぷら、汁の実、サラダにする。

食用に利用できるのは、本種スミレのほか、タチツボスミレ、オオバキスミレ、スミレサイシン、ノジスミレなどである。
ただし他のスミレ科植物、例えばパンジーやニオイスミレなど、有毒なものもあるため注意が必要である。

パンジーなどについては、エディブルフラワー用として売られているものを、きちんと処置して食べる分には問題無い。
食用ではなく観賞用で売られているパンジーは、使われえている農薬などの関係もあり、食べるのには適さない。

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