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(48)ヤブコウジ
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このシリーズは散歩中に見た300種くらいの植物を紹介していくシリーズです。
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ヤブコウジ
丘陵地や林の内の木陰にふつうに自生する。
地下茎を伸ばしてふえ、群生していることが多い。
高さは10 ~30cmになる。
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正月の縁起物ともされ、センリョウ(千両)や、マンリョウ(万両)、ヒャクリョウ(百両はカラタチバナという正式な名前もあるのだが)――と並べて「十両」とも呼ばれる。
日陰や寒さにも強く栽培がしやすい上、冬に赤い美しい実をつけるので、観賞用の植物としても利用され、大きくならないので、寄せ植えの素材などとしても使われる。
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現在は、そんなに特別扱いされる植物ではないが、過去 江戸時代より選別されて、古典園芸植物の一つとして熱心に栽培された経緯がある。そちらは斑入りなどの変異株。
品種名もつけられ珍重された。
また
明治年間にも異常な大流行があった。そのような珍しい変異株を四反の田畑、坪に直すと1200坪もの広さの田畑を売って買う者がいたり、現代の金額で1000万円もの高値で取り引きされることもあったという。
1898年(明治31年)に投機的な売買のエスカレートを見かねた新潟県知事が販売を禁じる命令を出すほどで、ブームは大正後期まで続いた。
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鳥が糞と一緒に種を落として増えたりもするのだろう。
いつの間にかヤブコウジが小さなコロニーを作っていたなんてこともある。
本当に、その程度で増えてしまうような植物なのだ。
赤い実はどの季節でも目をひく不思議さをもち
現在も我々を楽しませてくれている。
★Special Thanks!
ナレーション台本化協力
人外薙魔様