あたしなんで抱きしめなかったんだろうー親が死ぬ前にしておきたいことー
父ちゃんに会えなくなって1年半が過ぎてしまった
いまでも心のどこかでは
そのうち父ちゃんは玄関の引き戸をガラッと開けて畑から帰ってくるんじないかって思ってるんだけど
でもどこかでもう二度と会えないんだなってわかってる部分もある
認めざるをえないというか
葬儀をして骨を拾って
四十九日と初盆を終えて
儀式を何度か執り行えばさすがに嫌でも
後悔、悲しみ、絶望、諦め
それを何度も何度も繰り返して
すこしずつ、本当にすこしずつだけど人は誰かの死を受け入れる
受け入れざるをえないのかなって
不在を思い知らされるというのかな
でもそれでもいつか、って諦められない気持ちもあるんだけど
私には父ちゃんが生きてるうちにしておけばよかったって
ずっとずーっと後悔してることがあって
父ちゃんを抱きしめたかった
ずっと健康で風邪もひかないくらい元気だった父ちゃんが60代で手術をしそれから坂道を転がるように体調を崩してしまった
ここ何年かは入退院を繰り返していて
お見舞いに行くたびに痩せ細っていった
ある日お見舞いの途中で看護師さんがシャワーの時間ですよ、と呼びに来てくれた
付き添われて浴室に向かう父ちゃんの背中があまりにも小さくて頼りなくて抱きしめたいって思った
子どもを親が抱きしめるみたいに
治療よくがんばってるねって、大変だよね、って
でも日本にはハグの習慣はないし
突然抱きついても父ちゃんもびっくりするだろうし
何より照れ臭くてできなかった
次に実家帰った時に、ってずっと先送りにしていたら
生きている父ちゃんを抱きしめることはもうできなくなってしまった
子どもの頃泣いたり落ち込んでいる時に母に抱きしめられて心強かった記憶
友達や恋人と抱き合った時の安心感、喜び、一体感
ハグには特別な力があると思う
だからもし親や友達、恋人、大切な人がいたら
言葉も大切だけど抱きしめてあげて欲しいなと思う
お金はかからないし特別な用意はなんもいりません
あの日に戻れるのなら父ちゃんの背中を思い切り抱きしめたい
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