【臨床生理・病理】「がん」ってなんなの?⑤ 〜がんの特徴を知るために〜
こんばんは!ねこのてです!
こっからはいよいよ!「がん」について記事にしていきます。
日本人の2人に1人がなると言われていますよね。そういった意味でも身近な病気で、生命の根本的なものが原因となって起こる病気です。
実はタイトルにある、がんってなんなの?っていう疑問に対しては、これまでの記事でもう答えてしまっているんです。
そう、がんとは「セントラルドグマのどこかに異常が起こり、その異常が蓄積され、その結果生じてしまった異常な「機能」をもった細胞の増殖」です。
でも、それが理解出来ても、例えば下に挙げる様なたくさんの疑問があると思います。
・なんで、風邪と違ってほっといてもがんは治らないの?
・なんで、がんになると痩せて衰弱しちゃうの?
・どうして転移するの?
・良性腫瘍との違いは?
のように。
ですので、
ここからはがんの話の中でも、こういった疑問が解決できるように、「がんが持つ性質」のようなものを切り口として記事にします。多方向からがんを理解してもらうきっかけとなればと思います!!まずはいつも通り、ちゃんとした話に入る前に予備知識のおさらいをします!
はじまりはじまり〜〜〜!!
上皮細胞
みなさん、「上皮細胞」って言葉を聞いたことがありますか?
ご自身の腕を見てください。皮膚があります。そして、皮膚からは体毛が生えていますね。
さて、その皮膚と似たような皮膚はどこまで繋がっているでしょうか?
ほっぺたは似てる。唇は少し違う感じ。あれ、口の中に入った途端つるつる・・・。少なくとも体毛は生えてない。思い切って胃の中を考えてみると、胃液を出すから、明らかに腕の皮膚とは違う。そんな調子で、十二指腸、小腸、大腸、肛門と消化管は続きますが、きっと腕の皮膚とは違うはず。
ところで、口の中の皮膚は指で触れます。もし、指がめちゃくちゃ長くて柔らかければ、口から指を突っ込んでこれら深ーい消化管の壁を触れると思いませんか?
触れるんです。
思考実験ですが、指がすごく長ければ、口からいれた指がお尻の穴から出てくるはず。ってことは、消化管の壁も機能は違えど人の体を覆っている細胞から出来ているんです。そういった意味では、これらの細胞は外から触れるんだから腕の皮膚と同じ。でも、血管とか、体の内部にあるものは触れない。
うんうん・・一度まとめましょう!
腕の皮膚とこれら消化管の細胞が違うのは、細胞の持つ「機能」です。そして機能や働きはセントラルドグマによって決められていました。
腕の皮膚とこれらが同じなのは、人の「外と中」を区別する壁を構成する細胞だってこと。
この様に、人の中と外を区別する壁の表面にある細胞を「上皮細胞」と呼んでいて、場所によって色々な機能があります。
上皮細胞は日々、ウイルスや菌・口にしたもの・紫外線などさまざまなストレスにさらされています。その分傷つきやすい。傷つくと、セントラルドグマに沿って修復機能がはたらく。その回数はどうしても多いので、エラーが起きる可能性だって高くなりますよね。
がんのおよそ8〜9割は上皮細胞から起こるとされている理由はここにあります。
アポトーシス
「訪れるべき時がきた〜♪」の方じゃないですよ!学問的なアポトーシスの方!
正しいセントラルドグマによって出来た細胞はちゃんと寿命があります。たくさん働いてくれて、「そろそろかのぉ・・」ってなると細胞は自ら死ぬようにプログラムされています。これを「アポトーシス」または「プログラム死」と呼んでいます。
ちゃんと限界がきたら、それを悟って後世に道を譲るんですね、、、そして自らはまた新しく生まれ変わる。素敵や。
「がん」と「癌」、「肉腫」
さて、ここでひとつ雑学を!
上皮細胞から生まれるがんを「癌(腫)」と呼びます。上皮細胞でない細胞(要は、体の内側にあって「外」からは触れないものです。例えば骨とか、血管とか)から生まれるがんを「肉腫」と言います。まぁ、一部例外もありますが、ここでは触れません。
ちなみに、「がん」と記載された時は癌も肉腫も含まれます。だからねこのて、タイトルは「がん」にしてたんですね〜!!
はい!ということで、今回の記事でしっかり覚えていただきたいのは、
「上皮細胞は傷付けば修復され、寿命がくればアポトーシスにより細胞は自死する。そしてまた、正しいセントラルドグマによって新たな細胞に置き換わる」ってイメージです。また、上皮細胞と非上皮細胞のどこにがんが出来るかによって「癌」なのか「肉腫」なのか、呼び方が変わるってことですね。
「がん」はこれら正しいセントラルドグマの機構が狂ってしまうので、がんの特徴は本来の「正しい姿」と照らし合わせればイメージするのは簡単です。そのイメージが多くの方が抱く疑問を解決することと思います!
これから深くがんのことを紹介する前の前段階として、今回の記事が予備知識として伝わればとても嬉しいです!!!
では、また〜!!!!
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限られた時間の中で、体の中の話に詳しくなりたいのなら、「はたらく細胞」は最適解だと思います。
そして、私が中学校の頃からよく読んでいた科学雑誌「Newton」!
これもビジュアルが美しくて、理解しやすかったです!!!はたらく細胞揃えるより安いし!
はたらく細胞↓
バックナンバーになりますが、「Newton」も紹介しときますね。