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【臨床生理】「血圧測定」が意味するものを理解する①

ども!ねこのてです!

 今回は「血圧」について記事にします。生理学ですね!
血圧という測定値はものすごく身近なものですが、その測定値が意味するものをご存知でしょうか。
「血液が流れる時の圧力に決まってんじゃん」と思っている方は、それだけでは少し足りません。

 今日はこの記事を通して、「血圧」の意味をしっかりマスターしましょう!

はじめに

 以前、「転写と翻訳」の記事で細胞の機能の話に触れました。
細胞にはそれぞれ役割があって、それを日々担ってくれています。そして、その細胞に能力を発揮してもらうには、栄養である酸素が必要です。この酸素は血液に乗ってどんぶらこ〜っと細胞の元に運ばれてきますが、このとき細胞は、細胞内で生じたいらない代謝物などのゴミを血液に返します。捨てといて!って。
ミクロの視点では、こういったやり取りがされています。

ってことは、
細胞が活動をするためには、当たり前ですが血液が流れている状態が必要不可欠です。

さてさて、細胞付近にこの血流が存在していることはどうしたらわかるでしょうか。

 血液に流れを生じさせるためには圧力(血圧)が大切です。ある報告によると、「細胞が活動するための血流を保つ条件として、毛細血管動脈側の血圧が33mHg、静脈側の血圧が23mmHgあればよい」とされていますが、こんなミクロな世界の測定は日常では不可能です。

 そこで大事になってくるのが、単位時間あたりにどれだけの量の血液が流れたかを表現する「flow rate」という考え方。これが保たれていれば細胞は活動していると言えるし、逆にこの値が下がっていれば細胞の機能が落ちている状態といえます。
ミクロな状態は測れないんだから、毛細血管に血流が「流れている」ということが間接的にでも言えればいいのです。

ここで使うか「オームの法則」

みなさん、
V:電圧、I:電流、R:抵抗値とした時

V=IR

の関係が成り立つことはどこかで習ったことがあるはずです。そう、オームの法則。

電流とは「短時間あたりの電荷の移動」なので、細胞の活動にとって重要なflow rateと考え方が同じです。
よってflow rateは、この式に当てはめると「血圧値」から推定することが可能ということになります。

電圧:血圧、電流:血流(flow rate)、抵抗値:血管抵抗として上記の式を表現すると、

血圧 = ( flow rate ) ×( 血管抵抗値 )

となるわけです。この式には1つ注意点があります。

「血圧の値だけ見てはいけない」ということ。

血圧値の高い低いがわかっても、その値は実は「flow rate」と「血管抵抗値」それぞれに依存していて、その内容によってそれぞれの臨床的意義が異なるからです。

もう少し詳しく見ていきましょう!

flow rateが変化すると何が起こるか

 flow rateが上がる時は、運動後とか、入浴後とかでしょうか。たくさん水分をとった時も上がりますね。この値の変化で注意すべきは「低下」の時です。細胞に行き渡る血液が足りない可能性があるということですから、細胞機能の低下によりさまざまな症状が出てきます!

例えば、細胞が酸素を十分に受け取れない時、「乳酸」という物質が出てきますから、血中の乳酸値が上昇します。
脳などの重要な機能を司る神経細胞の機能落ちれば、「意識消失」が起こります。また心臓などの細胞の機能が落ちれば、心臓のポンプ機能が落ちたり不整脈が起こります。

血管抵抗値が変わると何が起こるか

血管は「交感神経系の支配」を受けています。

 この交感神経は、強いストレス下に置かれたり、闘争・逃走といったような他のことを考えてる暇はない!!って時に優位になる神経なんです。体にとっては「今」を乗り越えることに意識が向いているので、末梢の細い血管に血流を送っている暇はありません。(緊張したら手足が冷たくなりますよね?)その結果、皮膚の温度も下がります。
目も実は色んな情報を過敏に取れるように散瞳しています。心臓もいつもよりドキドキする。
 手足が冷たくなることからもわかるように、この「交感神経の動き」と「血管抵抗」は同じ動きを示します。つまり、「交感神経が優位(優位ではない)=血管抵抗上昇(低下)」が成立します。

また、血管抵抗値は血管自身の硬さにも依存します。
 血管が硬いと血液は流れにくい(抵抗値が高い)ことは容易に想像できますよね。いわゆる動脈硬化症でも血管抵抗値は上昇します。

血圧測定の目的

 血圧値の変動は、上記の理由によって左右されることがわかったと思います。

なので、血圧値だけ見ていては体内で何が起こっているか判断がつきません。

臨床的に危険な「ショック」という状態は「cell functionを保てないほど血流量が低下した状態」を言いますが、血圧の値だけでは正確に判断できないことになりますよね。

では、血圧を測定する本当の目的はなんでしょうか?
元々、血圧はflow rateを推定するために測定されていました。flow rateが下がると細胞の機能、つまり「cell  function」が低下します。

よって、血圧を測るということは

血流量からcell functionの推定を行う

という行為なのです。


血圧値が高いとは、低いとは、どういう状態か?
cell functionは正常と考えて良いのか?

 血圧はただの「血液の圧力だ」という観点から一歩踏み込んだ視点を持つと、病態について多くの気づきがあります。

次回はcell functionの低下からくる体の症状を詳しく見ていきます!!


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