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「#寄せ文庫」推しふみnote

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ふみぐら社さんに届ける「#寄せ文庫」企画に寄せられたnoteマガジンです。https://note.com/nekonosara/n/n1b9e159e6140 (告知や読書感想…
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#note感想文

#寄せ文庫 異世界への扉

※企画参加作品です、詳細はコチラ ◆ 思考・感情もろとも、ぐぅわんと、持って行かれる。超短編1058文字。 「短くて」「不思議で」「印象的な結末がある」それが「ショートショート」の定義。 「不思議」「時空の歪み」がするりと入ってくるには、そもそも文章に違和感がないのが絶対条件だ。下手にひっかかると異世界に飛べない。 作品を改めて読み返すとその洗練度合が迫ってくる。 「ん?」と思わせるタイトル。 「猫が詰まった雨どい」だと、雨どいが主題だし、先に「詰まった雨どい」を

祈りの所作 #寄せ文庫

■ 食べる行為が生きることにつながる。遊びは充実につながる。文字を書いて、思考を深める。記録する。行為は目的につながる。意図しても、意図しなくても。なにかを続けるということ、それが同時に意味するのは、置かれ続ける目的があるということ。 けれども、飯を食べる時、それが「生」へ繋がる糸なのだと意識している人はほとんどいない。はじめた頃は、暮らしから浮き出ていたはずの行為。続ければ続けるほど、背景に同化して見えなくなる。当初あったはずの目的が透明になって、むしろ行為そのものの光

見覚えのある顔 #寄せ文庫

■ はじめに こちらの企画に参加します。 入院しているお友だちに、千羽鶴と一緒に「寄せ書き」持って行きますよね。クラスで色紙まわして。ひとことメッセージ書くやつ。 あれの「文庫本バージョン」を作ります。(猫野サラさんより)  とのこと。実は、この入院されている方はお友達ではありません。  私は何者か。「ファン」です。  ただ、相互フォローでたまにスキも頂くので、ここは「ファン」であっても突っ込んでよいだろう。  「え、なんか知らないヤツいるんだけど」  そんなこと

あの日から #寄せ文庫

猫野サラさんのこちらの企画に参加します。 入院しているふみぐらさんへの #寄せ文庫 。 ぜひぜひ、冒頭のふみぐらさんのページを読んでから、また戻ってご覧になってくださいませ。 * とくん、とくん、と母の命の音をきいた どうして行きたくないの?って だってそれはね 空にも、風にも、緑にも ぼくをとりまく宇宙の音がききたくて ぼくの命もきいてほしくて 命と宇宙をずっと眺めていたくって きっと、あのときの気持ちが 人生という名前なのだろう がっこう? 今ぼくは生きるのに

彼が眺めているもの #寄せ文庫

ああ、ちょっとまた何言ってるかわからないなんて言われそうだけど、ちゃんと説明するので少しだけ。 そう、彼はそうしていつも街に座り込んでいる。それはときに舗道の上だったり土の上だったりするけど、そうしていつも街に座り込んでは、ただ眺めている。行き交う人々のそれぞれの歩き方や、目線の先にあるものを。 いったいどういう思考回路をしているのかいまいち掴めないけど、彼はそこから何かを「取り出して形にする」のが得意なようだ。本人に訊いたわけではないから本当のところはわからないけど、こ