【小説】連綿と続け No.68
侑芽は航から返された指輪を握りしめたまま
悲しそうに笑って見せた。
侑芽)こんな風になるなら、出会わなければ良かったですね
航は抱きしめることも出来ず、
立ち上がって玄関に向かった。
そして背を向けたまま
航)勝手やと思われるんはわかっとる。けど俺は……これからもずっと、侑芽が好きや
そう言って出て行った。
部屋に残された侑芽は1人きりで咽び泣いた。
眠りもせず荷造りを終わらせて、
翌日、引っ越し業者に荷物を引き渡した。
自分は富樫の車で五箇山まで行くから、
僅かな荷物を持って部屋を出る。
アパートの前で立ち止まり、
そこから続く真っ直ぐな農道をぼんやり見つめた。
何度ここから航の車を見送ったのだろう。
見えなくなる手前で
いつもハザードランプが点滅していたあの景色を
もう見ることは無い。
侑芽)さよなら
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952字
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