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これから何年も生きて、思い出と今と未来の話をしよう


季節は移り変わって、今年も梅雨がきました。

年々、低気圧に弱くなってきたのでまた気持ちが落ちてしまうかな…と思っていたのですが、梅雨に入ってしまうと案外大丈夫なものです。
(と言いながらも、明日も雨だから仕事に行くの面倒くさいなあなんて考えながら、この文を書いています)

お日様のことが恋しくなってしまうのは、相も変わらず。次に出会うときには、仲のいい人と数ヶ月ぶりに会うみたいにぎこちないかもしれない。

みなさんの調子はいかがですか、季節の変わり目に風邪を引いていませんか。また少し肌寒くなってきたので、半袖Tシャツの上にカーディガンを羽織るみたいに、少しだけ変な格好をして、元気でいてください。もし元気が出なくても、穏やかであることを願っています。

この間、久しぶりに友人と会いました。

彼の家に行く前にスーパーで揚げ物やお菓子をたくさん買い込んで、缶に入ったお酒もいくつか買って、真夜中までたくさんの話をして。

なんだか学生時代に戻ったような時間で、かれこれもう10年近い付き合いになるのでしょうか。まさか不登校だった二人がこんな風になるとはねえ、なんて話をしながら懐かしい気持ちになっていました。

お互いにこの何年でいろんなことがあって、それは話していることも話していないことも含めて、きっとそれでいいんです。二人とも今を生きているのだから、たまに会って話をするそのくらいでちょうどいい。

これまで出会ってきた人も、お付き合いしていた人も、みんなどこかのタイミングで離れていったので、数少ない思い出話のできる友人がいてくれることはとても嬉しく思います。

同じ高校に通っていた頃、いつも食べに行っていたラーメン屋でわたしの分の替え玉を、たくさん食べる彼にあげていた話とか、人の少ない電車に揺られながらその陽だまりの中で二人眠っていた話とか、そんな何でもないことがわたしにとって、生きていたというとても大切な記憶なので。

すごく楽しかったとか悲しかった記憶よりも、そんなぼんやりとした記憶ってすぐに忘れてしまうので、たまに少し思い出してあげるとあの頃も案外悪くなかったなって思います。不安はたくさんあったけど、お試し期間みたいにちょっとだけ戻りたい。

また数年が経った後、二人はどんな話をしているんだろう。もしかしたら友人は結婚しているかもしれないし、二人とも仕事が変わっているかも。なんにせよ、生きてまた思い出と今と未来の話ができたらいいなと思います。

いつか二人がおじさんになった頃、お酒を飲みながら「あの頃は若かったねえ」なんて話すことが憧れだったりします。体重が増えているかも、髪の毛が薄くなっているかも、そんなことを考え出すとちょっと憂鬱になりますが…。

まあ、それも生きている証拠ですから。

死のうと思った日のことをそんな話で笑い飛ばせたらそれでいい、どんなにバカにされた過去があったって、生きているもん勝ちです。しっかりご飯食べてこんなに歳食ってやったぜ、と笑って話せればそれで。

朝、目が覚めてまだ眠い目を擦りながら、服を着替えて顔を洗って髪を整えて、友人の運転する車で家まで送ってもらう途中。

美味しいよと奢ってくれたラーメン屋さんで、高校時代に食べたラーメンの味を思い出しながら、あの頃に戻りたいと思ったけど今も案外悪くないなと思いました。

大人になること、大変なことばかりだけれどそれもいい。できることはたくさん増えているから。

「またね」

また会うまでにいろんな記憶をつくって、次に会えたときにはそれを見せ合おう。また会えるという確信をもって言うその言葉は、とてもやわらかい感触がしました。

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