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バルセロナ、プレシーズンシリーズ第2弾:ハンジ・フリックの憂鬱/新生バルサのゲーゲンプレス

U・S・A!! U・S・A!!



バルサのアメリカツアー第2戦!

2年後のワールドカップ決勝の舞台でもあるメットライフスタジアムで退治するはレアル・マドリード!!去年に引き続いてアメリカでクラシコ実現!!




バルサの新たな武器


■もともとゲーゲンプレスなんてやってない!?

バルサの守備って「即時奪還」というイメージが強いですけど、即時奪還=ゲーゲンプレスってわけではないですからね!!

そもそもゲーゲンプレスとは何ぞや?ですが、知ってます?

そもそも「ゲーゲンプレス」を遂語的に翻訳すれば、「反プレッシング」あるいは「カウンター・プレス」という意味になる。ここで決定的に重要なのは、単なるプレッシング戦術や、カウンター戦術ではないという点だ。ゲーゲンプレスとは「カウンターを狙って、プレッシングを展開してくる相手への対抗措置」なのである。

戦術の教科書  サッカーの進化を読み解く思想史
著者ジョナサン・ウィルソンwith田邊雅之
発行株式会社カンゼン
47項より引用

意味合いでは、相手が繰り出すカウンターをカウンターで返すという意味になるので、間違ってるわけではない。ただ、ペップがクロップのゲーゲンプレスを引用したのがバイエルン時代からであって、それまでのクライフイズムを踏まえると、ゲーゲンプレスの本質的なところとは異なります。


3年前になりますが、僕がfootballistaさんに書かせてもらった記事になりますが


ゲーゲンプレスも、クロップにペップにシメオネとアプローチが異なりますが、一般的ともいえる「ドイツ系」のストーミング流儀に伴うゲーゲンプレスは、カオスを伴うプレッシングです。ただバルサはそのカオスという局面から最も遠い局地にあるチームです。バルサの守備とは

「2人のFWで、4人のDFを(バルサの)攻撃ゾーンから出てこられないようにする」
方法は意外と簡単だった。2人のFWは、原則的に相手のサイドバックをマークするのだ。相手のセンターバックがボールを保持しているとき、バルサのFWは両サイドバックをマークする。あるいは、サイドバックにボールが入った時に前進させないようにプレッシャーをかける。
(中略)
もう1つ、相手のセンターバックが全身をしにくい理由がある。バルサは攻撃ゾーンでは2対4の数的不利になっていると書いたが、後方の中盤と守備ゾーンに目を移せば、8対6の数的優位になっている。相手センターバックとすれば、安全なパスコースを探しにくい状況になっているわけだ。一番安全と思われるサイドバックへの展開は、バルサの両ウイングによって封じられている。センターバックがパスコースを探しているうちに、バルサは2人の数的優位を活かして縦にマークを受け渡しながら、プレッシャーをかけてくる。そうなると、センターバックの選択肢は多くの場合、バルサの中盤ゾーンに侵入する手前でロングボールを蹴ることに落ち着く。

バルセロナ戦術アナライズ 最強チームのセオリーを読み解く
著者 西部謙司
発行株式会社カンゼン
145項より引用

バルサの守備は、闇雲にカオスを引き起こすのではなく、マークを見定めて相手に持たせてプレスを仕掛け、ロングボールを蹴らせて回収する。だからドイツ流のゲーゲンプレスとは仕組みや方向性が全く異なるのです。



■フリック式ネガトラ=ゲーゲンプレス?

クラシコを見ていきます。

あっ!ファール獲らんかった!!
バスケス拾う。バルサのネガトラ始動。

モドリッチへ。これはちょっとヤバい。

ここでモドリッチ包囲網を築く。カサドが中央を封鎖。パウ・ビクトルが右から左ウイングへ展開されないように絞る。SBはOK。左からは左ウイングのウナイ・エルナンデスが。ここに両ウイングが絡んでプレスしているのが、これまでのバルサっぽくはないですね。特にウイング重要視しているバルサがカオスを起こしてまでポジション移動することなんてあり得ないので。

SBへ展開。ここにプレスを仕掛けるは右SB。中央はガチガチに固める代わりにサイドはガンガン前から行く。

左SBのフランは縦へ。モドリッチにはカサド、ウナイが中央に配置されているので中には選択肢がなく。大外であれば縦パス入れられるは許容範囲内。

ここにプレスするは右CBのクリステンセン。クリステンセン!?CBがここまでくるとは!?

カサド、ディレイ

なんとかカサドで止めることができた。

中央を固めて大外へ誘導する。ここまではそこそこできてきたけど、大外のプレスに関してはカオス強度強いので、クリステンセンがSBのカバーとしてここまで出てきてかわされてしまうというのはチームとしてあってはならないこと。だから結構ヤバかったよ!!



■バルサになかった"もたらされるカオス"

ゲーゲンプレス、いわゆるストーミング流儀におけるスターティングポジションより、優先順位から基づいて動いていくポジション無法地帯カオスによって相手を混乱させていくという手法。バルサとは正反対のプレッシング戦術であり、ウイングのプレッシングにおける立ち位置や誰に対してのプレスなのかを計算していくと新しい文化だなと。

レアルのビルドアップから。バルサのプレッシング。

トップ下のパブロがここ。縦の楔は入れさせたくないですよね~。

レアルは大外へ。ここにプレスかけるはSB。中央にはウナイ・ベルナル・カサドのブロックが敷かれている。

中央に入れさせない。パブロが絞る。

モドリッチへ。レヴァがターンされないように背後からプレス。ここでバルサがラインを上げ、ウナイが元の左ウイングへ。

レアルは再び右SBのバスケスへ。今度はウナイが行く。さっきまで4-4-1-1で組んでいたブロックは、一度レアルがバックパスを選択したことで4-2-3-1へ。本格的に仕掛けに行く。

レヴァとウナイで慎重にプレスに行く。中突かれたら元も子もないから。

またバックパス。1度体制を整え直す。

大外と最終ラインはある程度は持たれることは許容。とにかく中には絶対に入れさせない。大外のファーストプレスが真っ先にSBなんで、ここを逆手に取られると一気にヤバくなりますが、まだプレシーズンなんで徐々に作っていくことでしょう。
この大外のみはカオス強度高く積極的に前から抑えに行く。ただこれができるのも中央が封鎖されているから。危なっかしいけど、今後は何とかなるっしょ。




■フリックの挑戦

ネガトラに関しては、ここ数年のバルサで1番の問題になってましたが、チャビでも質的優位でなんとかしようだったのを、フリックはゲーゲンプレスという異世界文化を持ち込んで、ちょっとずつなじませているところ。ポゼッションのところは元々の文化でなんとかできるんで、頑張っていただけたら。





NEXT

バルセロナ、プレシーズンシリーズ第3弾!!


Thanks for watching!!


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