ミラン戦から見るバルセロナのビルドアップ:ハンジ・フリックの憂鬱/その男、マルク・ベルナル
ビルドアップとは
USAツアー最終戦!そして気付けば週末リーガ開幕!!
最後に退治するはミラン!!バルサ!!バルサ!!バルサ!!
新バルサのビルドアップ
■変動するトライアングル
な~んて、"トライアングル"なんてカッコイイ言葉使いましたが、中盤の3人のことです。バルサの伝統となってますが、4番という数字が重要視されるほどアンカーに拘るチームなんです。つまり形式上は逆三角形。
しかしフリックはトップ下を設ける正三角形を基本布陣としています。この形にしている一番の狙いは守備です。4-4の2ラインを形成してブロックを作りたいということですが、それはあくまで守備のときの布陣であって、オフェンスはまた別です。たぶん。
ミラン戦を見ていきましょう。20分のシーンから。
この配置ですね。ボールを持つは左CBのラングレ。アンカーとしてクリステンセン。トップ下配置のギュンドアンが下がってくる。
ギュンドアンへ。
ギュンドアンが中に持ち運ぶ。ボランチの一角であるカサドがポジションを上げる。これで、
右CBのセルジ・ドミンゲスが空く。カサドが上げたことでここにスペースが生まれ、セルジが持ち運べる空間がある。プッシュアップ。ギュンドアンも上がる。布陣はクリステンセンが下がって3バック化。
セルジがクリステンセンへ。これでギュンドアンを空けるためにミランDF陣をズラす。
ギュンドアンへ。この時の中盤の布陣は2ボランチではなく、クリステンセンをアンカー化した布陣。カサドは初戦からbox to boxとして幅広く動いてましたからね。
ギュンドアンへ。この時のバルサ中盤はウイングのパウとラフィーニャが中に絞って中央オーバーロード。そうすれば大外にはSBが上がれる。
初陣のシティ戦でも大外を空けるための中央オーバーロードっとか言って詳しいことは省きましたけど、その詳しい経緯はこういうことです。大外はSBのエリアです。これを前提に、次へ。
■オーバーロード
フリックがやりたいことがなんとな~くですけど見えてきた感じですし、それと同時に、中盤の人選によってはかなり苦戦するんじゃないかということも。ドイツ代表時のこととか。ギュンドアンがバルサ以上に負担大だったということも証明できそう。
中盤の布陣の変化についてですが、
中盤3人に関しては、誰がトップ下誰がアンカーというのがハッキリはしない。流動性が高いです。今回の画像の例ではクリステンセンがアンカーっぽかったですが、別シーンではギュンドアンが完璧なアンカーやってたので。
中盤は基本的にポジション落とします。そしてSBを上げるためにCBが開く。フリックの本音としては左CBには左利きを置きたいんだろうな。もしかしたらラングレ残留あるか。ボール運べるという意味でアラバをコンバートをしたのがフリック本人だし。
中盤を落とす、SB上げるでウイングはどうなるかというと
ウイングが中盤に入る。中央オーバーロード完成。
実質的な3-2-4-1の完成。または2-3-4-1なところも。
ビルドアップで重要なのが中盤3人とCBの5人。仕上げのパンチ役としてウイング。ビルドアップに絡む人数や配置がチャビバルサとは大きく異なります。
チャビバルサは綺麗な4-3-3でした。まぁ偽ウイングもやってましたが、中盤の3人の関係性がフレキシブルに変動することはなかった。CBだとあれだけ運べたクリステンセンがアンカーに入ると別人のようにビルドアップから避けていく様を見れば、バルサにおける4番は特別すぎる。どれだけスペックが高くても、バルサの4番は簡単に務まるポジションじゃないです。
フリック式のビルドアップを見ると、そのバルサの4番というポジションがないですよね。この日はアンカーに入ったクリステンセンがビルドアップから避けていく場面は変わらずとも、ギュンドアンが制約内で下りてきてボールを受けるので、特にクリステンセンアンカーだと実質数的不利になる、なんてことは今のところは見られないか。
■バルサの新生、ベルナル
後半のシーンへ。50分になります。
セルジから後半に投入されたベルナルが下がる。
相手を2人釘付けにする。コンドゥクシオンというプレーですね。これをやることで
セルジがフリーでボールを受ける。ベルナルがこのまま前へ出る。
ベルナルが相手を引きつけたことでソコにスペースができる。カサドが今度は下りてくる。
ビックリするぐらいドフリーです。簡単にターンできます。
出口となる左SBのマルティンへ。この時点でウイングのラフィーニャが中に絞っている。配置は完璧。
ドイツ代表に話をズラせると、このシーンでベルナルとカサドがやったような個人戦術におけるビルドアップをやれたのがギュンドアンしかいなかった。それじゃあギュンドアン潰されたら終わりですよね。
引きつけてリリース。そしてこの引きつけがパスの受け手に対しての開放やスペースメイク。アンカーでもありインサイドハーフとしても有能な部分は流石カンテラ産。カサドとは役割が異なるので、ビルドアップの部分ではフリックの信用度はかなり上がったんじゃないかと。このワンプレーだけでベルナルのクオリティは感じますね。
■4番無き新ビルドアップ
バルサとは本当に無縁の人生を送っていたフリックなので、4番の重要性とは違う哲学を持ってはいますが、ブスケツがラ・マシアから定期的に輩出されるわけないし、ブスケツはあまりにも特別すぎたわけで4番無きにビルドアップにトライするのにも悪くはない。ベルナルは全然ブスケツではないので、またカサドもブスケツとはタイプが全く異なるから4番アリのビルドアップ自体ができないです。
とりあえずもうリーガ開幕なのでアメリカツアー終了しましたけど、新シーズンを楽しみましょう。
NEXT
ちょうどビルドアップについてやりましたが、せっかくなのでバルサDF陣のビルドアップ術についてそれぞれ見ていこうかな。
バルセロナプレシーズン:ハンジ・フリックの憂鬱シリーズ
Thanks for watching!!