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クラシコ直前!!進化するレアル・マドリードの強さと対抗策/Barca is not dead yet

エル・クラシコ直前



今季最後のエル・クラシコを週末に迎えます。舞台は新サンティアゴ・ベルナベウ。

今季最初のクラシコは、モンジュイックでベリンガムの2ゴールによりレアルが逆転勝ち。2回目は1月のサウジアラビアにて、スーペル・コパ決勝で4-1のレアル完勝。レアルの2戦全勝で最終決戦です。





LAST MATCH


■ベリンガムと2トップ。配置的変化

開幕したての頃のレアルなんですが、ベリンガムを頂点に配置した中盤がダイヤモンドになるシステムを採用していました。

ベリンガムと前にいる2トップによる攻撃。ただこの2トップがヴィニシウスにロドリゴと生粋のストライカーではないタイプを配置しているので、実質ベリンガムは「ゼロトップ」も兼ねているタスクがありました。


そこから時を経てと言いますか、中盤との連携やCBの怪我人続出によるディフェンスの戦術変更などあり、また前線も変わってますからね。今はどうなっているのか。



レアルの基本布陣ですが、ボール保持、非保持、ポジトラ、ネガトラの4局面において布陣が異なる。

だいぶ極端なんですよね。布陣だけなら、まず非保持。

ベリンガムを左に出して4-4-2の守備ブロックを作る。基本的なベリンガムの立ち位置って左なんですよね。これは前回のレアル回においても説明しましたが、アンチェロッティの基本的システムはこの4-4-2にあります。

一般論として言えば、4-4-2は現在もなお、守備に関しては最良のシステムであると私は考えている。それは、サイドと中央の両方をバランスよくカバーすることができるからだ。実際私自身、「クリスマスツリー」をはじめとする他のシステムにおいても守備の局面にはこのシステムを採用することが少なくない。10人のフィールドプレーヤーを3つのラインに配置するこの布陣は、陣形をコンパクトに保ちやすく、したがって敵陣においてもバランスを崩さず相手に効果的なプレッシャーをかけることを可能にする。

アンチェロッティの完全戦術論
著者カルロ・アンチェロッティ、ジョルジョ・チャスキーニ
訳片野道郎
発行 河出書房新社
69項

アンチェロッティの布陣は全てが4-4-2の派生版です。BBCの時もベイルを中盤に下げて4-4-2に変更。昨シーズンもバルベルデをウイングに配置しましたが、疑似的な4-4-2からの変化という前提がありました。

イタリア出身監督らしく、まずは守備から考えます。これがポジトラに移るときは

ベリンガムが中央に。そして2トップがサイドに広がる。疑似的3トップに変更。ベリンガムが実質の9.5番ですね。
ヴィニシウスとロドリゴに関してはCFよりウイングの方はやりやすいでしょうから、アンチェロッティも基本布陣を2トップにしたからといって2トップに留めるようなことはしない。

2人のトップ下のうち一方は敵サイドバック背後のスペースに流れることが求められる。これはパスを呼び込むことよりもむしろ、センターバックを外に引き出すことを目的とした動きだ。これによって敵最終ラインの中央にギャップが生まれ、センターフォワードが裏のスペースに抜けだすことが容易になる。

アンチェロッティの完全戦術論
著者カルロ・アンチェロッティ、ジョルジョ・チャスキーニ
訳片野道郎
発行 河出書房新社
140項

これはミラン時代についてのことですが、ここで言う2人のトップ下はヴィニシウスとロドリゴ。センターフォワードはベリンガムです。ベリンガムが前半戦に点を獲りまくっていたことは合理的に仕組み上の話で進めれば理由は言語化できるんですね。

仕組みとしてはかつてのバルサっぽいんですよね。メッシがゼロトップやってた時なんですけど、仕組みとして似てるのはペップというよりその後のティトやタタが率いていた時のバルサ。
攻撃時にはメッシが極端に中盤に引いてくるけど、ウイングにアレクシスやビジャ、そしてネイマールが一気に裏に抜ける。縦に速い速攻にウイングを利用する。ウイングにはゴールゲッターとしての役割他、サイドのチャンスメイク。ヴィニシウスやロドリゴ以外でも、最近ではブラヒムが出てきました。

ブラヒム・ディアス

現在のレアルスカッドでストライカーと言えるのはホセルくらいなので、それぞれ多重タスクを課されているということですね。



■クロースの存在と「バルベルデ=ガットゥーゾ」

ポゼッション時の布陣がコチラ。

以前の記事で解説した通り、両サイドにおいてそれぞれトライアングルを作る。
ただ、現在のレアルのビルドアップにおいてカギになるのがクロース。左SBのメンディを上げてそこにクロースを落とす。メンディをウイング化させることでヴィニシウスをハーフスペースに開放する。

ビルドアップの中心はクロース。左に落ちるここのエリアを起点に配給する。左に落としている理由は、左から右への展開するうえで両足で正確に展開できるクロース以上の人材がいない(世界的に見てもいない)ことと、右のビルドアップでリュディガーを開放するなら左しか置き所がない、ヴィニシウスへの配給源の確保などなど。
しかし当然、ドイツ代表に復帰したとはいえ34歳になるクロースの守備負担はどうにかしなくてはならない。かつてのミランにおけるピルロのように、チームをオーガナイズさせるには闘犬が必要。

私は局面に寄って2つのシステムを併用するという解決策を考えた。守備の局面では4-4-2、攻撃の局面では4-3-2-1に転じるという対応だ。
(中略)
セードルフが中盤左サイドに下がり、中央にアンブロジーニとピルロ、ガットゥーゾは中盤右サイドに置く。

アンチェロッティの完全戦術論
著者カルロ・アンチェロッティ、ジョルジョ・チャスキーニ
訳片野道郎
発行 河出書房新社
149項

問題のネガトラです。
ここにおける布陣は、実はカオスなところもあり、可変システムにおける最大のデメリットですよね。ネガトラにおいて守備時の正しいポジショニングに着くのに時間がかかる。

左サイドにおけるポジションの移動はかなりあるので、メンディが確実に戻るまではクロースが保持している。代わりに中盤はバルベルデが中に絞る。アンチェロッティのシステムを完璧にするためには高精度なbox to boxが必要。サイド⇔中央を縦横無尽にカバーできるバルベルデの存在は、レアルのネガトラにおいて手綱です。



■アンチェロッティの危険な綱渡りとバルサの勝ち筋

アンチェロッティの作り出すシステムは完璧な構造ではありますが、実はかなり危うい綱渡りで、絶妙にバランスを取っているんですね。

守備に関しては、このシステムはスタートの段階で多少の困難を抱える。
・インサイドハーフが敵サイドバックをマークしなければならないため、サイドのスペースをカバーしにくい
・インサイドハーフと敵サイドバックの距離が離れているため、ハイラインプレッシングが行いにくい

最も大きな問題は、敵サイドバックの攻撃への対応だ。
・もし敵の両サイドバックが積極的に攻め上がってくる場合、インサイドハーフが対応する。ただし、プレッシャーに出るときには全体のバランスを崩さないようタイミングを計ってから飛び出す。この場合、トップ下2りは中盤に下がって敵のミッドフィルダーをマークする。これによって、ボール奪取に成功したときには、センターフォワードを使って素早いカウンターアタックに転じることができる
・敵の両サイドバックがあまり攻め上がらず、ハイラインプレッシングを行いたい場合は、トップ下が開き気味のポジションをとってサイドバックにプレッシャーをかけ、インサイドハーフは絞ったポジションから敵ミッドフィルダーにプレッシャーをかける形をとる。この場合、敵サイドバックがハーフウェイラインを越えて攻め上がってきたところで、マークをトップ下からインサイドハーフに受け渡す。これによって、守備で体力を消耗するのを抑えると同時に、ボール奪取後のカウンターアタックに備えることができる

アンチェロッティの完全戦術論
著者カルロ・アンチェロッティ、ジョルジョ・チャスキーニ
訳片野道郎
発行 河出書房新社
143項

これはミラン時代のクリスマスツリーについてですが、仕組みはこの時のクリスマスツリーと同じなので、弱点も一緒です。スムーズなネガトラに進んだところで可変システムにおける4-4-2へのシステム変更はどうしても時間がかかってしまうので、SBへのプレスは遅れてしまう。ヴィニシウスにロドリゴは、ネガトラでは内側に絞るので、仮にSBに張り付いていたらCB→ボランチへの展開を楽に許してしまう。だからSBに関しては割り切っています。

バルサがレアルから勝ち点3を奪うためには、確実にレアルの穴を攻めなければなりません。となれば、このSBを起点にゲームを組み立てる必要がある。


カギになるのはこの2人じゃ!!

クンデさん
クバルシ君(17)


バルサのポゼッションは5トップ化するので、恐らくクロースがネガトラで引っ張られて5バック化になりそう。中盤ではクリステンセン・ギュンドアンvsベリンガム・チュアメニ・バルベルデでレアル優位ですけど、後方は3バックvsヴィニ・ロドリゴなので数的不利。そして何よりもアンチェロッティが危惧する敵SBへのプレスが遅れてしまうという現象。バルサ側からしたらクンデorクバルシのどちらかが絶対空くので、対面するはずのバルベルデにベリンガムがそれぞれのプレスに時間がかかってしまう。アンチェロッティも認めざるを得ないネガトラにおける空白の時間が生まれるので、バルサとしてはそこを的確に突いていきたい。バルサとしては、ここでイニシアチブを握れなければ中盤を制することはまずないです。なぜならクリステンセンが中盤の1枚に入ることが濃厚なので、彼は守備専なのでポゼッションからは積極的にアグレッシブに逃げます。実質フレンキー1枚です。ヘルプで左ウイングが左ハーフスペースにひょっこりはんと顔を出しますが、フェリックスならなんとかなるかもしれませんが、ここ最近好調のラフィーニャが出てくる可能性もあるので読めん。今回はボールを受けに来れるという意味でフェリックスの方が良さげな気もするけど、果たしてチャビの人選は如何に。




■二度あることは三度あるか、三度目の正直か

正直に言えば、バルサの勝ち筋はこのクンデとクバルシのエリアで起点になれなければ無理ゲー。これしかない。

レアルの最終ラインが怪我人ばかりでまともなローテーションを組めていないという人材的事情を突くというのもありますが、シティなどを抑えられている現実を考えたら難しいでしょ。


レアルの歴史上、穴という穴は複数存在しています。これはレアルの歴史上常にそうです。完璧になったことがないのがレアル。それでもアンチェロッティが絶妙過ぎるバランスで蛇口を閉めているので高いレベルでインテンシティをキープできている。だからこそ狙う首は1本に絞るべき。今のバルサはこれ出来なければアレ!とか、そんな器用なマネできないから!!



3回目のバトル。力を見せつけるか、リベンジを果たすか。





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チャビバルサ、最後の決戦




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