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タイミング ブラックビスケッツ
当初は小泉今日子を採り上げるつもりだったが、ブラックビスケッツ「タイミング」のことが書きたくなってしまったので、本能の赴くままに書く。
この曲、一聴してブラビの一員、ビビアン・スーのことを歌っているのだなと分かるだろう。
そして「ビビアンのことを歌詞にしたらいいじゃない」と言い出したのは南原である。
ここがポイント。
この二人、単なる共演者以上の関係だったのでは、と私は思っている。
まず冒頭。
「急に冷たくなって そっぽ向かれたり なんでなんでなんで」がビビアン目線。
「どんないいことだって 間が悪いとね カチンときたりで」が南原目線。
つまりは歌詞を使ってちょっとした痴話喧嘩の言い訳をしているのである。
2コーラス目、南原は一気に心情を吐露する。
「妙にセコセコ生きて 楽しくなくて
昨日と同じで
君と出会う前まで キモチ張りつめ
折れそうだったよ」
解釈の余地がないほどのストレートさだ。
台湾では芽が出ず、ポルノまがいの作品にまで出て、日本に活路を見出そうとしていたビビアン。
そんな可愛い子に「お兄ちゃん」などと全幅の信頼を寄せられ、奮い立たない男がいるだろうか。
女の噂ひとつ立たないカタブツとして有名だった南原の心も、次第に解けていく。
かくしてテレビで見ない日はないほど売れっ子となったビビアンだが、なぜか台湾に戻る決意をし、そして現地でスターとなり、富豪と結婚する。
彼女にとってブラビとして日本で活躍した日々は、ささやかで非日常な思い出なのだろうと思う。
少しばかりのロマンスくらい、あってもいいのではないか、と思うのである。