ニールくん

個人投資家。 アナログレコード愛好家。 そして、歌詞探偵させて貰っています。

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最近の記事

Ol' '55 Tom Waits

今回から趣向を変えて洋楽を採りあげる。Tom Waitsの「Ol' '55」。 突然この曲について書きたくなったのである。 題名は「古い55年型の車」というわけで、リリース時20年前の型式ということになる。 以下、私の意訳になるが、歌詞を見ていこう。 俺が若かった時代は矢のように過ぎ去り いまやこのオンボロと同等 ゆっくり走り出すと、なんだか聖なる気分になったよ おお神よ、俺はまだ生きてるぜ 朝日が昇り始め、幸運の女神とドライブ フリーウェイには他の車とトラック ゆっくり

    • 感電 米津玄師

      映画「ラストマイル」の興奮冷めやらぬ中でこれを書いている。 推したいところは沢山あるが、物流の末端で汗を流す人々に焦点が当たっているのがシビれた。 TVドラマ「アンナチュラル」でも、蜂蜜ケーキ製造工場責任者の回が最も好きだった。 野木亜紀子の脚本からは、末端で職務を全うしようと奮闘する人への暖かい眼差しと、それに応えようとしない社会への怒りを感じる。 そして、それがエンタテインメントとして見事に昇華しているところがひとつの美点と思う。 先ずは見るべし「ラストマイル」である。

      • 丸ノ内サディスティック 椎名林檎

        丸ノ内サディスティック、厄介な曲である。 全編英語詞のデモ、日英混合詞のexpoバージョン、neetskillsリミックスと4つものバージョンがあるが、ここでは最も聴かれているであろうファーストアルバム収録のバージョンを材に採る。 タイトルの「丸ノ内」はJR東京駅前のエリア名ではなく、東京メトロ丸の内線を指す。 盛り場としての新宿、池袋、楽器店の多い御茶ノ水、国家の中枢である国会議事堂前、今昔バンドマンを惹きつけて止まない高円寺、阿佐ヶ谷と、カッコいい駅ばかりに停車する路線で

        • Hate tell a lie 華原朋美

          華原朋美の「Hate tell a lie」を採りあげる。 一連の小室ヒットの中では最も好きな曲。オケが抜群にカッコいい。 リリース当時、華原と小室は私生活でも交際しており、堂々と公言していた。 この曲について語る場合、そのことは避けて通れない。 なぜなら「Hate tell a lie」は、作り手から歌い手へのメッセージソングであるからだ。 歌詞を見ていこう。 以下、あなた=小室、わたし=華原と置き換えて欲しい。 「何から何まであなたがすべて、わたしをどうにか輝かせるため

        Ol' '55 Tom Waits

          カブトムシ aiko

          aikoの「カブトムシ」。 彼女の代名詞ともいえる人気曲である。 歌詞は詩的な表現が多く難解だが、曲名のおかげで可愛らしい印象を受ける。 自分がカブトムシで、彼が樹木、というわけで、彼の広い背中にチビのaikoがしがみついているようなイメージか。 ひとつ目の謎は、なぜカブトムシなのか、ということ。 私はそこに、性的なニュアンスを感じる。 なぜならカブトムシは「樹液をすすって生きる」存在だから。 自分と彼の関係を隠喩しているのだから、「彼の樹液をすする」というのが、どういう行

          カブトムシ aiko

          1/2 川本真琴

          リリース当初、ずいぶん長期間チャートインしているなあ、というだけの印象だったこの曲。 後になってフル尺MVを見てぶっ飛んだ。才気に圧倒された。 終始ジャカジャカいうアコギ、キュートな声質とルックス、なのにどこかパンキッシュ。 男の子が好きなもの全部載せだ。 やはりフル尺を聴かないと、その曲の真価は判断できない。 歌詞を見ていこう。 純情でプラトニックな恋愛ではない。 もっと言うと、ひとつになって溶け合うような経験が済んだ後の高揚感でいっぱいだ。 「かわりばんこでペダル」を漕

          1/2 川本真琴

          Pretender Official髭男dism

          いつものように「Pretender 歌詞」と検索しようとすると、候補に「ひどい」と出て驚いた。今を時めくOfficial髭男dismをスターダムへ押し上げたヒット曲なのに、である。 何がひどいのか見ると、みな「君は綺麗だ」の部分でずっコケるらしい。 その部分までは、いつもの髭男らしい歌詞世界なのだが、「君は綺麗だ」だけが唐突であり、頓珍漢な気がする、というのである。 髭男はアテ書きを好むアーティストだ。 Pretenderと同様、コンフィデンスマンJPの主題歌「ノーダウト」

          Pretender Official髭男dism

          会いに行くのに あいみょん

          今回は、あいみょん「会いに行くのに」を採りあげたい。 ドラマ「アンメット」の主題歌であり、ドラマの世界観を踏襲している。 歌詞は登場人物である脳外科医、三瓶友治が語り部となっている。 つまりはアテ書きだ。 アテ書きに名曲あり。 先ずは冒頭「冷蔵庫の中には食べ損ねたラブレター」とある。 ネットでは「これはバレンタインチョコのことでは?」という秀逸な意見もあった。 後続の歌詞「ひとつづつ白くなる」「もう四月」とあるから、チョコレートのブルーム現象による白化を表しているという説で

          会いに行くのに あいみょん

          あなたに会えてよかった 小泉今日子

          予告通り、小泉今日子の「あなたに会えてよかった」を採りあげる。 当初はこの歌を「別れちゃったけど、一番の思い出だよ」という普通の恋愛ソングと受け止め、聴き手の失恋の痛みを癒すような、いい曲だと思っていた。 しかし2017年、自分の父親を念頭に作詞したものだと小泉自身がラジオ番組で告白。 この「あなた=父親説」は一気に広まったのである。 それを知った頭で歌詞を見ると、特に娘がいる父親にとっては実に心に沁みるだろう。 しかも「サヨナラさえ上手に言えなかった」とか「思い出が星にな

          あなたに会えてよかった 小泉今日子

          タイミング ブラックビスケッツ

          当初は小泉今日子を採り上げるつもりだったが、ブラックビスケッツ「タイミング」のことが書きたくなってしまったので、本能の赴くままに書く。 この曲、一聴してブラビの一員、ビビアン・スーのことを歌っているのだなと分かるだろう。 そして「ビビアンのことを歌詞にしたらいいじゃない」と言い出したのは南原である。 ここがポイント。 この二人、単なる共演者以上の関係だったのでは、と私は思っている。 まず冒頭。 「急に冷たくなって そっぽ向かれたり なんでなんでなんで」がビビアン目線。 「

          タイミング ブラックビスケッツ

          祭りのあと 桑田佳祐

          今回は桑田佳祐の「祭りのあと」を採り上げる。 出色の出来となったソロ作「孤独の太陽」から1か月後のリリースとなった名曲である。 そして、妻を持つ身でありながら、好きな女ができてしまった男の歌である。 普通の恋愛を歌っていないことは歌詞から読み取れる。 女への想いを「底なしの海に沈め」なければならないのは何故か。それが道ならぬ恋だからだ。 普通の恋であれば、たとえ別れることになっても、胸の奥に想い出としてしまっておけばよいが、不倫の恋は二度と浮かび上がってこないよう、底なしの

          祭りのあと 桑田佳祐

          空と君のあいだに 中島みゆき

          中島みゆきの「空と君のあいだに」が、犬の目線で書かれているというのは有名な話だ。何せグーグルで「空と君のあいだに△」と打つと、「犬」という候補が上がるほどなのである。 しかしこの曲は歌詞謎解きの面白さに満ちており、敢えて採り上げる。 安達祐実主演のドラマ「家なき子」の主題歌であり、安達扮する少女すずの飼い犬リュウの想いを歌った曲である。 つまりはアテ書きである。 アテ書きに名曲あり。 この曲を聴いた当初は、歌詞に腑に落ちない部分があったが、犬の目線で書かれていると知るとス

          空と君のあいだに 中島みゆき