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バックスファン、リッツカールトン日光へ行く【後編】   

 【前編】と【中編】も読んでね。
ついにリッツ・カールトン日光に入ることができたバックスファンの庶民の猫夫婦(雑種=ミックス)。ブルジョア階級のおもてなしを体験しつつ、部屋でのアイスホッケージャージ撮影会を終えて、夕食の時間となった。
 今回タダでスポンサー様の超高級ホテルに泊まる身の上のため、ここは夕飯の一つでも頼まないと「バックスファン」として「アイスホッケーファン」としてのシケた客に思われないよう、沽券に関わるというわけですたい(がくぶる)。
 というわけで、レストランのディナーに向かうところから話を再開する。

縦か横かわからないビフテキを食べたわけでないが、気分は星野鉄郎に

カードキーの外見は木製

 実は泊まる部屋のゴミ箱と言うものが小さい。ブルジョワジーはゴミを捨てないのだろうか。ここにカップ麺の丼を捨てる勇気はない。 
 ドレスコードが、スマートカジュアルだったが、とりあえず来た時の格好で、離れにあるレストラン「レークハウス」に向かう。 
 庭と中禅寺湖が見える長い通路を歩くが、とにかく照明は暖色系で控えめである。はっきり言えば「暗い」のだが、趣は素晴らしい。写真を撮りまくろうかとも思ったが、それは体験ブロガーの仕事であろう。 
 ようやくたどり着いた扉を勇気を出して開くと、すかさず男女4人ほどのスタッフに待ち構えられていた。 
 夜の部の開店時間17時に入ったのは我々1組だけであった(後から来たのは中華系の女性2人組のみ)。 
 これまた照明が暗い店内ではあるが、必要最低限の照明で落ち着いた雰囲気、おごそかな雰囲気を出しているのであろう。 
 スマホで店内や料理をバシバシ写真撮ろうかと考えていたが、そんな下品な行動は到底できない。すべては自分の目、舌、頭で覚えるしかないのだ。
 主任級の先輩と、今年入社したという新人ウェイターがついた。
 案内された席から、あいにくの曇り空だが、すでに夕暮れが近い中禅寺湖が見える。 
 テーブルに置かれたお手紙のようなメニューは、「例」の本日の24,000円のコースの挑戦状である。 
 涼しい顔をした振りをしながらメニューに目を通した後、お飲み物のメニューを渡され「お食事前にお飲み物はいかがされますか?」という右ストレートが飛んできた。 
 ワインなのかウェスキーなのか日本酒なのかルービーなのかもさっぱりわからない銘柄が並んでいる(よく読めば多分わかる)。 
 とりあえず漢字で書かれた酒を選んだ。
 「強い酒ですので氷をいれることお勧めいたしております」 
 「(はあそうですか)」 
 かみさんは「なんちゃらのぶどうジュース」を頼んだが2,200円だかの記憶。ちなみにペプシは1,200円だかで(ようはすべて当社比10倍価格)。 
 価格についての庶民猫夫婦の記憶は、すでに飛んでいたのでご容赦ください。

海原雄山でもないのに、素人に料理の解説とは片腹痛い

 季節でメニューと言うよりテーマが変わるコース料理。今回は日光や栃木のお野菜中心のコース料理である。
 一品目ごとに主任級から料理のご説明があり、食べ終わった頃に感想を毎回聞かれる(食べながら考えなければならない)。
 野菜は、指定農家から「農家が選んだその日最高の野菜を何キロ」ということで毎日運んで来てもらうという。ようはミスター味っ子のリアル中江兵太だ。また、肥料や水を最低にして、土の力だけで育てたという野菜は、当然小ぶりというより極小の大きさにしかならないが、味がその分凝縮されるという。 
 コースの中で一番気に入ったのは、二品目に登場した
 「栃木県産野菜 日光霧降高原牛 温度卵 穀物」

エレベーターまでの長い廊下

 これが最も美味しかったのは、夫婦で一致した。 野菜が水っぽいことはなく、野菜の一つ一つに確かにしっかりとした味がする。これに牛肉と温泉卵に穀物(本当に雑穀)を混ぜあわせて食べるのだ、などと海原雄山的なコメントを庶民猫が語ること自体が片腹痛い。 
 茄子は自分苦手なのだが、三品目のズッキーニのステーキの上に茄子を敷いた「茄子 ズッキーニ」はズッキーニの味が濃く、完食することができた。
 四品目の「白いんげん豆 オリーブオイル ペンネ」を豆の自然な甘みを、軽い塩味のついたペンネで食す。量が見た目より多い。 
 まだコースの半分なのに、この時点ですでに結構腹パンになった。 
 五品目、六品目「日光頂鱒(いただきます)」「HIMITSU豚」を味わったのは良いが、少量をゆっくりと長時間かけて夕食を味わうだけに、満腹感はものすごい。
 さらにグラスを空にしたら「おかわりはいかがされますか?」と来るわけで。 
 本日?のシェフが終盤挨拶に現れたが、若い30代のシェフに驚いたし、言動も振る舞いもはっきり言えば普通の兄さんだった(雰囲気はフォロワーのTさん)。 
 デザートの頃、主任級の方とは、料理の感想や、日光那須と他の観光地と比較、差別化の話をしていた。 
 ここで満を持して、ついに自分が「栃木日光アイスバックス」のファンで、「リッツカールトン日光」までなぜ?どうして?泊まりに来たのかを「白状」する。 
 結果として、バックス戦のマッチデーに参加したというスタッフとはこの先も会うことはできなかった。 
 どうやって宿泊券を引き当てたかについては、大いにウケたことはウケた。ただ、リッツ・カールトン日光がアイスバックスのスポンサーというのは、スタッフの皆さんも伝え聞いた話程度で、スポンサーチケが回ってきてはいるが土日は仕事ですよねえ、と言うオチ。 
 機会があれば一度霧降に来てください!で終わろうとしたが、ポソっと
「親がアイスホッケーの経験者でして…」と、店を出る間際に言われた(そういうことはもっと早く言って!)。 
 お会計は2名あわせて58,800円であった。

ほとんど部屋から動けない猫夫婦

洗面台(2箇所ある)と新緑が見える部屋風呂

「このあとはぜひBARにも行って見てくださいね!」
 「もちろんこの後ぜひ寄りたいです!!!」
とは言ったものの、二人とも完全に腹パンで、ベッドに横たわるしかない。
 時計はすでに20時近く。
 部屋は食事の間にベッドメイキングしていったらしく、追加で無料のミネラルウオーターのステンレスボトルとアイスペールが置かれている。
 とりあえず動けないので、氷水を飲んでしばらく寝ているだけである。
 かみさんはすでにお腹が許容オーバーであり、BARに行くのをパス。
 自分も22時近くまで判断迷ったが、腹パンのままかつ一人で一杯2~3,000円のカクテル(←まあホテルならそんなもんだ)や一杯数千円から数万円のワインを飲もうとは思えない。結局自分も諦めた。
 だが、やっとこ「温泉には行こう」と言うことになった。
 温泉へ行くには、浴衣と羽織姿は許される。
 別棟に入り、道のりの途中にリッツカールトン日光名物?「スポーツジム」がある(詳しくはHPを見よう)。
 ジムで汗を流す、どんな意識高い系ブルショアジーが居るのかと、恐る恐る中を覗いたが、幸いなことに誰とも鉢合わせしなかった(ホッとした)。
 無料とはいえ、さすがにランニングマシンが並ぶ部屋の中を見回るだけで、恐ろしくてジムマシンに触ることなぞできない。部屋にはミネラルウオーターのボトルと白いふかふかの高級タオルが積みあがっていた。
 浴室前で分かれて、男湯の脱衣所に入る。ここにもミネラルウオーターと高級タオル、高級バスタオルが積みあがっている。
 ロッカーのカギのかけ方が暗証番号式でよくわからない(風呂上りにメガネかけて説明文をきちんと読んだら理解できた)。スマホや財布を持ってきたわけではないし、ブルジョワジーがプロレタリアートのパンツなんか盗るわけもないので、鍵をかけるのは諦めて放っておいた。
 リッツカールトン系列では初の試みらしい大浴場は、これまた照明が暗い。時間も遅いのでほんの数人しか客が来ず、露天風呂も含めてほとんど貸切状態で快適であった。今まで見たことが無いような洗い場の半個室感。高そうな石を使っているのはなんとなくわかる。
 中身としては、小綺麗な日帰り温泉と言ったところであろうか。混んでいたら評価は下がるかも知れない。
 山積みのミネラルウオーターを1本持って温泉から部屋に戻った。
 部屋に帰ってからは、再びベッドに寝転がり、アイスホッケーの世界選手権を見ながら寝るだけであった。

7,500円の朝食はこりゃ安い!?ブルジョワジーには、リッツカールトンはお得でしかないだろう

7500円?うん、ホテルは儲けてないな

 部屋の窓には遮光スクリーンが下りていて、朝になったのかもさっぱりわからないほど真っ暗な朝である。
 朝食は8時半。朝7時過ぎにスマホのタイマーで起きて準備を始める。
 遮光スクリーンを上げると、明るい曇り空だが大雨が降っているのが窓から見える。
 帰るだけの予定なしの身には雨の方が落ちつくし、「この後のご予定はどうされるのですか?」と聞かれにくいだろう(多分)。
 さて、高いホテルでよくある無料サービスの下野新聞が、ドア下に刺さっているだろうと思いきや、なんと届いていない。代わりにバカ丁寧な内容のお詫びの手紙が入っていた。
 そう、今日は月曜日で「新聞休刊日」だったのだ。でも日曜の下野新聞なら用意できると書いてあるので、ここは悪いが内線電話して届けてもらう。 
 小走りで、スタッフが非常に綺麗に折りたたまれた我らが下野新聞を届けてくれた。うむうむヨーシ。でも最初から日曜日の新聞を、お詫び文とともに突っ込んでおけば良かった気はする。
 8時半過ぎ、ノックが鳴る。映画で見るような朝食を運ぶカートから、和朝食と洋朝食をテーブルに並べ始める。
 蓋を開いて和朝食と洋朝食の説明が始まる。

リッツカールトンの焼き印入りのパン

 長々と流暢にお姉さんから説明を受けたがあんま覚えていない。
 オムレツには野菜も肉も入れてもらった以外はオススメ通り。
 洋朝食はオムレツ、ベーコン、パン、フルーツ、ヨーグルトなど。
 和朝食は上品な焼き魚、刺身、ローストビーフ、酢の物など、そして両方にサラダ。
 もちろんコーヒーに日光産のリンゴジュース付きである。
 当初のレストランに行って食べるのでなく、部屋食でかつ洋朝食と和朝食を一つずつ頼んで大正解であった。
 お姉さんが引き上げた後、すかさず撮影会を実施。さらに誰の目も気にせずに、猫夫婦で和洋全部をにゃごにゃご摘まむことができたのだ。
 とにかくうまい、うますぎる。
 さすが一人7500円と書かれているだけのボリュームと質である。はっきり言ってこれだけの品数と配膳の手間を考えたら儲けは無い。宿泊者側に取っては高いどころかリーズナブルであろう(ブルジョアに取っての話)。
 朝飯でこれだけ飲み食いして、再び腹パンになった。ホントにお腹は再び星野鉄郎である。
 この日、晩飯まで何も食べなくてもホントに平気だった。
 チェックアウト時間は12時。
 そりゃあギリギリまでゴロゴロするしかない、と言うよりも腹パンで動けない。
 それでも気合いを入れて最後に新緑が見える正方形の部屋風呂にお湯を溜める。。。長方形でなく正方形だから中々お湯が溜まらない、、、。
 そして、最初の案内でお姉さんから
 「ぜひ試してくださいね!」
と説明されていた、小壺に入ったヒマラヤだかの岩塩を適当に撒いておく。
 岩塩が溶けていく様子はわかったが、効用はなんだったのかよくわからない(ちなみにホテルで販売されている)。
 半分もお湯が溜まらないところで、我慢しきれずに湯船に浸かる。
 もう浸かるだけしかしなかった。
 「L字」に座ったが自分の足がへりに届くかどうかぐらいの広さで、部屋風呂と言うよりミニプールだった。 

 さらばリッツ・カールトン日光!またマッチデー開催してねお願い!?

 ついに、チェックアウトの時間が近づいた。
 忘れものが無いようかつ、持って帰るアメニティを選別(貧乏人と思われないように多すぎず少なすぎず)してリュックに詰める。
 リッツ・カールトンのお土産にミネラルウォーターを4本(2リットル)持ち帰ろうとしたため「ちゃぽん、ちゃぽん」とリュックから音がする。これはチェックアウトの時にお姉さんに気づかれたくない。
 指差し確認しながら、お世話になった部屋を出て1階のロビーに下りると、こんなに泊まっていたのかと思うくらい、日本人、中華系、欧米人などがバランスよくうろうろしていた。大雨で今日のご予定に困っているのだろう。 
 アジアンビューティーな、マレーシア系ぽいお姉さんに「チェックアウトですか?」と聞かれた。
 「残念ながらあいにくの雨でございますが、この後のご予定はいかがなされますか?」
 「え、徒歩ですか?タクシーをお呼びいたしましょうか?(真顔)」
 「何かお手伝いできることはございませんか?」
 「あ、いえ、そこのバスターミナルからバスで帰るだけですので歩きます(中禅寺湖にもタクシー居るのか!)」
 にゃごにゃごチェックアウトの説明は受けたが、支払いはデポジット=登録されたクレジットカードに飛んで来るだけらしい(中編参照)。後日しっかりディナー代だけクレジットの請求書に載ってきた。
 帰りは行きに比べてあっさりしたものだった。
 リュックのミネラルウォーターに気づかれないように、そそくさと自動ドアをくぐる。
 屋根の下では、駐車場スタッフがワゴンタクシー数台の中華系団体をお出迎えしていた。
 外は激しいどしゃ降りの雨だ。
 駅近くのコンビニで買った小さい折り畳み傘を差して外に歩みでる。

 声が聞こえた。

 (これからのご予定は?)
「霧降でお会いしましょう」(了)

水浸しの中禅寺湖バスターミナルから帰宅

 
  
 


 

   






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