派遣会社概要:021 『すこやか債権回収会社』
【社名】
すこやか債権回収会社
【代表】
百地 貢税(ももち みつぎ)
【概要】
端的に言って、異能力者専門の借金取り集団。
残念ながら、派遣社員の中には任務の失敗や不採算、あるいは浪費、家庭の事情により借金を返せなくなってしまう者も一定数いる。
最近では派遣業界もセーフティネットの整備が進み、所持金がマイナスになっても仕事を続けることさえできれば早々放逐されることも少なくなったが、それでも返済を諦めてしまったり、あるいは最初から踏み倒して逃亡してしまうものもいる。
常人が異能を使い逃げ回る者たちから借金を取り立てることは極めて困難である。彼らに代わって債権回収を請け負う異能力者集団――それがすこやか債権機構である。
異能力者が相手、しかも死にものぐるいで抵抗してくるため、メンバーは追跡、戦闘に特化した優秀な人材のみで構成される。
業務上メンバーの情報は明らかになっていないが、大手派遣会社A級の武闘派が何人も転籍しているとの情報もあり、かかわり合いにならないのが一番。
なお、メンバーは社長の百地が作成した『相手の借金に応じて己にバフを、相手にデバフを与える』という特殊な呪符を所持している。これは相手の「借金を踏み倒している」という(無意識でも)後ろめたさに訴えかける呪術であり、『逃げ回っている』という時点でこれを完全に無効化することは出来ない。
メンバーの戦闘能力とこの呪符によって、実際の取り立ては戦闘にすらならず、一方的な制圧になることがほとんど。
やっぱりかかわり合いにならないのが一番。
【所在】
新宿西口、金融街の隅にある雑居ビルの一室
【業務】
借金を踏み倒して逃げ回っている異能力者たちの追跡、取り立て。
例えば、ある異能力者が飲み屋のツケ百万円を踏み倒した場合、その飲み屋から債権を二十万円で買取り、異能力者を追跡、確保。その所持金や金目の物を換金させて五十万円を回収。差額三十万円が会社とメンバーの報酬になる……と言った体。
債権の買取価格は、逃げ回っている異能力者の強さ、どのくらい金を回収できそうかによって計算される。
したがって、全財産スッてしまってそもそも取り立てる金がないような手合は債権に値段をつけられない。ただしその場合は業界イメージの維持につとめる派遣会社各社から報奨金が出ることも。