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ドーパミンの過剰な分泌が快楽とストレスのバランスを崩していた!?

こんにちわ、ねこまねきです。
前回の記事ではドーパミンの働きと分泌場所について書きました。

ギャンブル依存症について調べれば調べるほど、世間で言われる「快楽を得ることがやめられなくてギャンブルをする病気」というのがなんか違う気がするんですよね。

自分もそうだし、他のギャンブル依存症の方に話を聞いても、あまり気持ちよくギャンブルをしている人っていないんです。
どちらかというと、痛みを抱えながらやっている。

もしかしたら、そもそも「快楽を得るため」という前提自体が間違っているんじゃないか、と思いました。

そこで自分なりに仮説を立てて、ギャンブル依存症のことを再考してみたいと思います。

ただ、どうしても脳の説明になると、小難しい言葉が多くなります。
自分でもよくわからん、な部分が多いんです。(ただの勉強不足!)

そこで今回は、身近なものに例えてドーパミンが依存症を引き起こす原因を考えてみたいと思います。

(なお、この記事の内容は私個人が自身の依存症者としての経験を踏まえ、一番納得できそうな理由を考えた思考実験です。ド素人の仮説ですので、脳の働きとしては間違っている部分が多いかもしれませんが、ご容赦ください。)


ギャンブルで勝った経験はゲームのセーブデータのようなもの


まず、人生を一つのゲームだと考えてみてください。

この人生ゲームを進めていると、時々強い刺激データが入ってきます。
ここでは「ギャンブルで大きく勝つこと」が始まりの刺激データだとします。

目や耳から入ったこのデータを受け取ると、脳の扁桃体というところで「これは体にとって有益かどうか」とジャッジします。

もし「有益だ」と判断すると側坐核(そくざかく)というところが「セーブデータ」として学習・記憶・繰り返させる手続きに入ります。

ボスを倒したときの戦闘データみたいなものですね。
こうやって戦ったら、ボスに勝ってアイテムいっぱいゲットできた!みたいな感じかな


ドーパミンが刺激データを運ぶが、うまく届かなくなる

側坐核:おーい、良いデータが来たぞ~。このデータ届けてくれや~
中脳:あいよ、ドーパミン君たちを派遣するわ。行先は?
側坐核:高速で前頭前野までな。快楽に変換してほしーんだわ
中脳:了解!おい、ドーパミン君たち向かっておくれ。
ドーパミン:はーい。高速道路突っ走りまーす。

彼らの乗った車は脳の高速道路を走り、途中で「料金所」(レセプター)を通過して前頭前野にデータを届けなければなりません。

レセプターはドーパミン専用のものがあるので、そこでしか受け付けはしてもらえません。

しかし、ここである問題が起こります。
大量のドーパミン車が一度に高速道路を走り始めると、料金所の担当者が妙な行動を取るのです。

レセプター:おいおいおい、なんか急にドーパミン増えたじゃねーか
レセプター:2つくらい閉鎖するか

この料金所の担当者は大量のドーパミンを確認すると、料金所をいくつか封鎖する癖があるのです。

ゴールデンウィークに料金所が故障して、5つあった入り口が3つ閉鎖されてしまったような状態だと考えてください。
通常ならすんなり通過するはずのドーパミン車も、入り口が減ることで大渋滞を起こします。

ドーパミン:あれ、急に料金所が閉鎖されたぞ
ドーパミン:これじゃ、データを届けられないじゃないか。

レセプターを通ってデータを届けない限り、「快楽」という感情は発生しません

通常ならドーパミンを出している「派遣係」は、快楽の発生を確認するとドーパミンの派遣を止めます。
しかし快楽が確認されないと、まだ足りないのかと思ってさらに派遣するのです。

中脳派遣係:おいおい、これだけドーパミン送ってるのに快楽信号こないぞ?
中脳派遣係:ドーパミン足りてないんじゃね?もっと送っちゃえよ

ドーパミンは増える。料金所はさらに閉鎖される。快楽は届かない。
という状況になります。

ドーパミンが増えすぎると別の回路が反応する


ここで、さらに別の問題が生じます。高速道路にはドーパミン監視係がいて、渋滞がひどくなると
「これだけ大量のドーパミン車が溜まっているのは、快楽が行き過ぎているサインだ」と判断します。
彼の仕事は身体のバランスを取ろうとすることです。

「快楽が実際に発生しているかどうか」は、彼には関係ないのです。
彼にとって重要なのはドーパミン車の台数だけです。

ドーパミン車の数を確認した彼は、バランスを取るためにストレス系の車、つまりノルアドレナリンやコルチゾールといったストレス物質を出すために伝達係を反対車線に走らせ始めます。
これにより、体は不安や緊張感を感じ、ストレス状態に陥るのです。


快楽と不安をシーソーにのせて考えてみた

快楽を発生させるはずの行為が、いつのまにかストレスを発生させていく、という過程を考えてみました。

次に、この過程で発生する「快楽」と「不安」のバランスを考えていきます。

ここからはシーソーをイメージしてください。

まず通常の状態です。
快楽が乗るとシーソーが下がります。(これをプラス方向だと思ってください)

次にこの快楽に対抗するための同じくらいの大きさのストレスが乗ります(反動をつけるので一時的にマイナスになります)

通常なら行ったり来たりしながら、ゆっくりとフラットな状態に戻ります。
フラットな状態に戻るのに、ある程度時間がかかります。

こうやってフラットな状態に戻そうとする身体の働きを恒常性(ホメオスタシス)と言います。
興奮した後に急に醒めることがありますよね。
あれはこの恒常性が働いている状態です。

料金所が閉鎖されるとどうなるのか?


まず、ドーパミンの数とストレス系物質の数が同数出る、と仮定します。
同数で打ち消しあう、というイメージです。

ドーパミンの数=ストレス系物質の数

本来なら
ドーパミンがもたらす「快楽」の量とストレス系物質がもたらす「不安」の量
この2つは拮抗している、とします。

快楽=不安

ドーパミン1つで快楽1  ストレス物質1で不安1 だとします。

通常状態で
ドーパミンは10通れるものとします。当然、ストレス物資も10。
快楽10:不安10 で釣り合っているものとします。

ここで、料金所が閉鎖されるとどうなるか?

ドーパミンは通れる数が減っていきます。
今まで10通れたのに、5に減ってしまいます。
そうなると、生じる快楽は 5になりますよね。

では不安はどうでしょうか?
料金所を通れたドーパミンの数ではなく、高速道路を走っている数に対応するので
ストレスストレス物質は10 不安は10 です。

快楽5<不安10

という形になりますね。

これは言い換えると、快楽の価値が不安の価値に対して軽くなってしまった、とも言えます。

私がはまったFXで考えると、ドル円が1ドル80円から1ドル160円になってしまったようなものです。(円の価値が下がる=円安)
つまり不安が1個1ドルだとしたら、その1ドルの不安を1個買うのに必要なお金が最初は80円だったのに、気が付いたら160円と倍の金額を出さなければ買えなくなった、ということです。

このときのシーソーはこんな感じ。快楽1個と不安1個が釣り合わなくなっています。

不安と釣り合う(フラットにする)には倍の数の快楽が必要です。

快楽2個と不安1個がやっと釣り合う状態。
このときシーソーはマイナスからフラットに戻っているだけです。
つまり「不安を打ち消しただけ」
ということですよね。

この状態だとプラスのときの「嬉しい、気持ちいい、快感」という「快楽」ではなく、
不安がなくなったことへの「安心、ほっとした」というような「安心感の気持ち良さ」しかないということです。

今年のような猛暑の中で、熱中症になりかけている時に水を飲むとほっとしますよね。あのような安心感です。
危機から脱したという安心感もある意味で「快楽」なんですよね。


まとめ:強すぎる刺激が「快楽」の価値を下げていた。

通常の刺激なら、快楽とストレスで身体はうまくバランスをとっている。
でもギャンブルの強すぎる刺激が、ドーパミンの大量放出を引き起こし
やがて「快楽」の価値が下がる、ということにつながっていました。

ですが、これだけでは依存症とはいえません。

次の記事では
保存されたセーブデータがどうやって依存症を引き起こすのか、
というメカニズムについて考えていきたいと思います。










       




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