営業プロセスのつくり方と5つの効果【営業マネージャーを楽にするKPIを使った予実管理】
前回は、「KPI を使った予実管理」を実現するために必要な8つのステップについて解説いたしました。
本日は、その1つ目のステップとなる「営業プロセスの策定」について解説していきます。
営業プロセスの作り方
営業プロセスは各企業によって異なることがほとんどです。
例えば法人営業の場合、ターゲットリストからアポイントを取り、初回訪問を行い、課題を確認し、提案書や見積書を提出し、決裁権者に会い、内諾をもらい、最終的に受注して売上計上をする、というようなプロセスに分かれるケースが多いと思います。
この場合大きく5つのプロセスに分かれていることになります。
初回訪問 ⇒ 提案見積 ⇒ 決裁者面談 ⇒ 内諾 ⇒ 受注
業種や取り扱っている商品・サービス、また企業規模の違いなどによって、「初回訪問」のところを細分化する場合もあるでしょうし、「決裁権者面談」ではなく「デモンストレーション実施」と言ったプロセスの方が合っている場合もあるかと思います。
ご自分の会社に合う営業プロセスを、まずはたたき台で構いませんので作っていただき、それを多くの営業部員に意見をもらいながらブラッシュアップしていくことが大事になります。
私の会社でも、何度も営業プロセスを変更してきた経緯があります。
現在使っている営業プロセスは、数年間ずっと同じものを使っていますので、定着しており、良いプロセスが出来上がったのかなと思っております。
営業プロセスの五つの効果
このように、四苦八苦して作った営業プロセスですが、これを策定することにより5つの効果があります。以下に詳しく解説していきます。
一つ目 共通言語化ができる
例えば、先ほどの5つの営業プロセスを例にとった場合、以下のようなランク分けをしたと想定します。
ランク5:初回訪問
ランク4:提案見積
ランク3:決裁者面談
ランク2:内諾
ランク1:受注
営業部員全員の頭の中に、このランク分けが入ってしまうと、共通言語化されます。
それによって、例えば上司と話をする時の会話が、以下のように明確化されます。
上司 「あのお客様の案件は現在どのランクになってる?」
部下 「はい、今の時点ではランク4です。」
上司 「今月中にランク2に上げられないのか?」
部下 「なかなか決裁者に会うことができません。」
上司 「それならうちの部長の予定を確認して、至急先方の役員と面談のアポイントを取るようにしよう。」
このように、ランクを上げることに対して、何らかの障害が発生している場合、営業マネージャーがその障害を取り除くために動くことが出来るようになります。
二つ目 数値化ができる
各営業ごとに、保有しているすべての案件を、営業プロセスのランクにそれぞれ当てはめていくことにより、現在、どのランクにいくつの案件があり、それぞれのランクの案件総額が分かります。
この営業は、ランク4は多いのにランク2が少ないから、新規の訪問を減らして、過去に提案した案件の成約に向けた活動に注力させよう、というような分析・指示ができるようになります。
三つ目 ランクアップ率を算出できる
自分のチームの案件が、すべてのランクに分類できたら、一定期間(半年や一年)の中で、ランク4からランク3にランクアップした案件の数を計算すれば、ランク4からランク3へのランクアップ率を算出することができます。
すべてのランクアップ率を算出することができたら、最終的に今年度の売上を達成するためには、何件新規訪問しなければならないのか、まで分かるようになります。
これこそが、営業プロセスを策定する大きな効果の一つとなります。
四つ目 より精緻な売上金額を予測できる
ランクアップ率を算出したら、例えば見積もりを提出した案件のうち、何パーセントが受注まで進むことが分かります。
今までは、今年度の売上金額の想定を見積もるとき、案件の見込み金額を全部合計していたと思います。
その場合、最終的な売上実績と大きく異なり、結果的に未達に終わるということが多かったのではないでしょうか。
このランクアップ率をもとに、それぞれのランクごとの案件の見込み金額に、受注まで進む確率をかけると、より精緻な売り上げ予測を立てることができます。
例えば、仮にランク4の案件は5%の確率で成約することになっていれば、1千万円の案件については50万円の案件として見込んでおけば、より精緻な売り上げ予測を立てることができる、というわけです。
五つ目 KPIを選定できる
今回例に挙げた5つの営業プロセスの場合、どのプロセスからどのプロセスにランクアップさせることをKPIにすれば営業活動が活性化するか、営業マネージャーが分析して決めます。
例えば、内諾から受注については放っておいてもランクアップできるということが分かっていれば、KPIにする必要はありません。
見積を提出した件数をKPI にすることによって、営業活動が活発して、営業管理もしやすくなるのであれば、その数値をKPIにすることをお勧めします。
一般的に、訪問件数を営業管理の指標にすることが多いと思います。
例えば、挨拶だけの訪問もあれば、本気の提案の訪問もある中で、どちらも訪問1件としてしまうことはあまり意味のないことだと思います。
それよりも別の数値、それを達成していけば目標を達成できる数値をKPI とする方が良いでしょう。
まとめ
本日は、KPIを使った予実管理を実現するために必要なステップのひとつ目として、営業プロセスのつくり方とその効果について解説しました。
営業マネージャーの方の参考になれば幸いです。それでは、また!