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王道神話の限界〜そして脱皮の先へ〜
王道神話の限界、ユングのいうところの中年の危機、人生の正午から、どう降っていくか。今、これが私の最重要テーマだ。
今、ちょうどその問いと実験の時期にいる。
王道神話、それはまさにジョゼフ・キャンベルが世界中の神話をまとめた「英雄の旅」だ。
主人公は修行し、旅をし、さまざまなアイテムを手に入れ、お姫様か王子様と結婚し、故郷に凱旋。大勢から賞賛される。
現代の成功、地位、名誉、家族、お金、賞賛、上を目指し、勝ち穫るもの。それが、正解。生き方には正解があると思っていた。
これらを十分やってきた。すると、本当に自分の心が歓ぶシゴト、創造的な生き方はなんだろうと、自分に問いかける時期が来た。
この時期は、ユング曰く、中年の危機。
これからの人生を深める大事な時期だ。
今まで、ひたすら坂の上の雲を目指し、戦ってきた。十分それらをやりきり、限界だ、もう、十分だと思ったとたん、自分の中から聞こえる小さな声、閉じ込めていた願望を探りたくなった。
誰に褒められなくてもいい。自分が納得する答えを探したい。
そのために、自分の眼の前のことに夢中になりやすい性質を調節し、自分の未来を熟考するための時間を作りたくなった。
今の仕事に夢中になり、全精力を費やすのが正義だと思っていた自分を、少しずつ、未来のありたい自分へ修正する、自分なりの、自分の中での冒険に出るように変えていく。
周りからは、「前ほど働いていない」「前ほど元気がない」と見えるかもしれない。
でも、私の中では大きな変化があり、私の中で冒険が起きている。今までの生き方に「NO!」ということ。
仕事は一つでなくていい。表現のやり方、方法も一つでなくていい。働く場所、住む所も一つじゃなくていい。
自分のこだわりを大事にしながら、多彩な自分の生き方を探る。そのための時間を作り、いろんな実験をやってみる。いつかこれらが、答えにつながるだろうと楽観的に、チョコチョコ動いてみる。
坂の上の雲を目指すだけが、答えでも、正しさ、楽しさでもない。
降りるとは、自分で自分の歓びを探す、大人ならではの味わい深い旅に出ることなのだ。
これはユング派の女性療法家がよく例にあげる、ペルセポネ、プシュケ、イナンナの旅だ。いわゆる冥界下り。私静かに、自分の中に降り、世間的な価値から降りる。この静かな冒険に出ることが出来た自分をとても誇りに思っている。