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アプリに課金したらインボイスは誰が出すのか?|考察と調査

インボイス制度が始まるまでもうあと1年というところまで来ている。
世の経理担当者は準備に追われたり、制度が始まったら一体どうなるのか戦々恐々としているのではないかと思う。
この制度について思うところがないではないが、残念なことに自分の信条を横に置いておいて対応を進めなければならないのがビジネスパーソンの悲しいところだ。
ともかくも、今回はインボイス対応を進めるに当たって全く情報がないものにぶち当たったので、調べてみたり聞いてみたりしたのでそれをまとめたい。
それというのは、スマホアプリの販売やアプリ内で課金した際のインボイス対応はどうすればよいのか、というものだ。

この情報は書いている時点の情報で、もしかしたら誤りもあると思われるので、参考程度に見ていただきたい。
(誤りがありましたらご指摘いただけると幸いです。)
また、この情報に基づいて行ったことに対する損害の責任は取れないのであしからず。


アプリ販売・アプリ内課金の販売元は?

アプリ販売やアプリ内課金については、Google/Appleが販売者というわけではなく、あくまで彼らのプラットフォーム上で開発元が販売している(※)ので、開発元が適格請求書発行事業者の場合は、インボイスを発行する必要がある。この場合、インボイスは一般的に言えば領収書ということになる。
取引においてGoogle/Appleが介在しているため、誰がインボイスを出すことになるのかを確認しておく必要がある。
(以下Google/AppleをPFerという。)

(※補足)
厳密に言うとPFerのアプリ販売形態は契約上異なるらしく、Googleはプラットフォームの提供型、Appleは代理店販売型とのこと。
https://shouhizei-quiz.com/?p=6144

現状の領収書の発行

現状、Androidアプリ、Appleアプリでアプリを購入したりアプリ内で課金したときの領収書はどのような扱いになっているのか?

開発者側はPFerの機能を使用するように案内している場合が多い。
例:NewsPickの場合
https://newspicks.zendesk.com/hc/ja/articles/115000560107

PFerでは注文した際のメールや購入履歴から領収書に当たるものを確認することができる。
参考:
https://support.google.com/store/answer/6160235?hl=ja
https://support.google.com/googleplay/answer/2850369?hl=ja
https://support.apple.com/ja-jp/HT204088   

しかし、この方法で出力できる領収書は現時点ではもちろんインボイス制度に対応したものではないし、Appleに関していえば消費税の表記もない。
インボイス制度が始まってからアプリ課金の領収書がほしいときユーザーはどのようにしたらよいだろうか。
逆に、ユーザーがインボイス対応の領収書を欲しがっているとき、アプリの開発元はどのように対応したらよいだろうか。

もしPFerがインボイス対応してくれなかったら

現在発行されている領収書からフォーマットが変わらず、他にインボイスに当たるものをPFerが発行してくれないことになったら、どうしたらよいだろうか。
開発元が適格請求書発行事業者の場合、あくまで販売者はPFerではなく開発元となるので、PFerがインボイスを出さないとなると、ユーザーは開発元にインボイスを発行依頼することになると思われる。

逆の立場で言えば、開発元はユーザーからインボイス対応した領収書発行の依頼を受け付け、領収書を発行する必要が出てくる。

もしPFerがインボイス対応してくれたら

PFerがインボイス対応してくれたら、特にユーザーも開発者側もこれまでのやり方を変える必要はないので問題はない。
おそらく代理交付を行うことになるので、開発者側が適格請求書発行事業者の場合は、PFerに登録番号を伝えるとともに、アプリ内課金に対する消費税率を設定するなどの対応をすることになるのではないかと思われる。
(Appleは代理店型で国内の販売については国内事業者であるiTunes株式会社から販売しているらしいので、媒介者交付特例を使う可能性もなくはない)
参考:
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-08.pdf

実際のところやる気はあるのか?

実際のところ、PFerはインボイス対応をするのだろうか?
あれこれ想像するよりも直接聞いてみたほうが早いので、ヘルプセンターからメールで聞いてみた。
しかし、彼らの対応は四角四面であることが多い印象だったので、有益な情報が返ってくることをあまり期待はできない。

Appleは早々に連絡が来たが、思ったとおり全く要領を得ない回答だった。
法律の専門家に相談してください、とのことで、お前らが発行する領収書が日本のインボイス制度に対応する予定があるかどうかを聞いてんのに、なんでそれを法律の専門家に相談して解決すると思ってんだ、と若干腹立たしい気分になった。こんな対応だとインボイス対応もしないんじゃないかな、と思わせる感じだ。

Googleはまだ回答は来ていないが、別の担当窓口に繋いでいるとの連絡は来た。Appleのように、よくある質問じゃないから適当に誤魔化そうとする感じにはならないかもと少し期待している。後ほど回答が来たら追記しようと思う。

追記(2022/9/27)

Appleとのやりとりが終わった。
要領の得ない回答では納得できないと一度食い下がってみたところ、Appleの法務部に法律の専門家(公認会計士等)からメールするようにとのことで、結局明確な回答は得られなかった。
一応素人でもお手紙で質問ができるとのことだが、試してみる価値があるかどうか疑わしいという感じだ。なんなんだその待遇差は。

追記(2023/9/9)

制度開始まで残り1か月となったが、Apple、Googleともにアナウンスは見当たらず、これから対応してくれるとは考えにくい。
どちらも対応しないと考えたときの多分一番簡単な対応方法を見つけたので、以下の記事を合わせてご覧いただきたい。

最後に

アプリの販売やアプリ内課金で売上を上げている会社にとっては、今回話題にしたインボイス対応も考えないといけないのでは、と思っている。
しかし、ネット上を調べてみたが全くこの話題が見当たらなかったので、調べたり聞いたりしてみた次第だ。
あと1年だが他の人は気にしていないのかな、と若干不安になった。
PFerは殿様商売なので、実際のところアプリに関するインボイス対応をやってくれないんじゃないかと言うのがなんとなくの予想ではある。逆にやってくれると万々歳だ。

実は同じように質問してこういう回答があったなど情報がある場合は共有していただけると大変ありがたいです。

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