ねこきち

ねこきち

最近の記事

ゾイドは兵器か、相棒なのか。

ゾイド愛好家の間で(特に平成アニメ期以降)度々語られてきたのがこの問いである。 しかし、個人的にこの問題については正直あまりいい思い出がない。何故なら「ゾイドを兵器扱いしている」という言葉は往々にして「故に駄作である」という文章の前提として使われ、逆に「ゾイドは相棒である」は疑うことの許されぬ絶対的不文律として使われがちだからだ。 昭和・平成・令和のゾイド、キットの裏書きから書籍、アニメに至るまで全てのゾイドを愛好する者として、この「ゾイドは兵器か、相棒か」の議論はゾイド愛

    • 猫と兎のいる人生

      僕は今、家族の他に2匹の猫と1匹のうさぎと共に暮らしている。 2匹の猫の内、1匹は妻が独身の頃から飼い続けている老猫で、1匹は去年家の前でニャーニャー鳴いていたところを保護した1歳の元野良猫。うさぎは一昨年、庭で雑草を齧っていたところを保護した年齢不詳の元野良うさぎだ。 中学生頃まで、僕は哺乳類が嫌いだった。動物園に行くと、ヘビやトカゲにはテンションが上がるが、どうも毛のフサフサした生き物には興味がわかなかった。 その哺乳類の中でも、特に嫌いだったのが猫だ。 実家の庭に我が

      • 想像力の敗北

        夕方薄暗いひと気の無い竹藪を独りで歩いていると、地面に何かが落ちているのに気が付いた。 ぼくは怪談が好きだ。 ただ、拘りと言うか誤解されたくないことがあって、所謂オカルトに関しては懐疑的なのだ。 「これは本当にあった話です」を枕詞にした怪談に対して「本当にあったんだ、怖い!」と思うことはない。 むしろ「これは俺の作った話なんだけど」と断りを入れられてるのにも関わらず、ゾッとするような話が好きだ。こんなに気味の悪い話を、想像力(創造力)で一から作ることの出来る作者の脳味噌はど

        • 指を切る

          2022年になってから既に2回、包丁で指を切った。 私が不器用なのに加え、昨年の大晦日に、刺し身を切るために妻が包丁を磨いでくれたので、切れ味が増していたのだ。 私は血が苦手だ。自分のちょっとした流血で頭がクラクラする。 中学生の頃、教室で暴れて窓ガラスを割ったことがあった。私はガラス片で脚を切り、気絶した。自分から流れる血を見てぶっ倒れたのだ。 今でも採血の度にしばらく動けなくなるし、脈をとられるだけで気分が悪くなる。 こんな性分でよくもまぁエログロ好きをやってられると思

          小さな僕のふくろの話

          今から8年ほど前、僕は衝動的に家電量販店でペンタブを買った。 アナログにしてもデジタルにしても、漫画なんて描いたことなかったし、絵も高校の美術の時間に描いたきりだったが、僕はその時ペンタブが何よりも必要だと思っていた。 その頃僕は「ゆ虐」にハマっていた。 ゆっくりという架空の生き物を虐待するという、高尚とは言い難い趣向の漫画やSSを読んでいる内に、「これしかない」という気持ちになった。 そしてその気持ちは僕の足を家電量販店に向かわせたのだった。 当時の僕は、日々物足りなさ

          小さな僕のふくろの話

          趣味がなくなるとき

          昔は自分に趣味がなくなるなんてことは思いもしなかった。文章を描くのが好きで、小学生の頃は推理小説モドキを書いてみたり、中学生の頃は架空の歴史小説を書いてみたり、高校・大学生の頃はSFやホラーを書いてみたりした。 社会人になってから、突然漫画を描きたいと思い始めた。絵心も知識も経験も無いが、衝動に任せて漫画のような何かを描いた。 小説にしても漫画にしても、誰に評価されることはなくとも、私は満足だった。それはそれらの創作が、私にとっての趣味だったからだ。ただ書く・描く時間が楽

          趣味がなくなるとき

          好きな本のこと

          読書の秋。 とは言っても私自身は「秋だから特別に沢山本を読む」ということは無い。むしろ秋の気候や風景に誘われて外に出たくなるので、個人的にはむしろ秋は本を読むのに適さない季節なのではないかなどと思う。 私にとって読書の季節は冬だ。子供の頃、寒さが苦手だった私は、炬燵に入りお菓子たべお茶を飲みながら、図書館や学校で借りた本を読むのが至福の時間だった。 小学生の頃よく読んでいたのは、ポプラ社の江戸川乱歩シリーズ。子供向けの内容だが、おどろおどろしい感じやうっすら漂う妖しさやグロ

          好きな本のこと