魂たちのものがたり其の五
(再び夢殿にて)
しばらくの時が過ぎ、山背が諦めかけていた時、重い扉が開いた。
奥の方から「お入りなさい」との声が響いた。
山背は、矢も楯もたまらず、小走りに中へと急いだ。
「父上・・・」と声をかけたところで、はっと気付いた。
「父上、どうなされたのですか?かなりお疲れのご様子にございます。このような中にずっとおられては、お体に障ります。宮に戻りませんと・・・」
厩戸王は、優しく微笑みかけながら、こちらに来るよう手招きをした。
「わたくしは大丈夫です。やらねばならぬことをして