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【USCPA合格体験記】7ヶ月・750時間で得た真理、全部書きます【受験生10人に1人が愛用する「オリジナル教材」著者】

どうも、ねこかぶです(@nekokabucahnx)

2021年11月にUSCPA(米国公認会計士)試験に合格しました。

学習開始から7ヶ月間(750時間)、試行錯誤しながら、自分なりの必勝パターンを確立して、一発合格できました。

しかし、USCPAに関する情報は玉石混交で、嘘、誇張やコピペが含まれているのも事実

私自身も有益な情報を得るのに苦労しました。合格して初めて、経験したからこそ理解できることも多々あります。

一般的には、1,000〜1,500時間(1年半〜2年)が合格目安と言われているので、短期集中で、要領良く攻略できたことは自信になりました。

仕事や勉強にも応用できると思い、そのエッセンスを本質的な表現にして、まとめました。


0.はじめに

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「敵を知り、己を知れば、百戦殆うからず」(孫子)

a.USCPA試験の本質

まず、USCPA試験の本質は何でしょうか?

勘違いしている人が多いですが、決して頭を使う試験ではありません。

確かに、「英語や会計知識があると有利」かもしれないし、「範囲が広く暗記では太刀打ちできないので、問題集10周して体に覚え込ませる」人もいるかもしれない。

あるいは、「何度落ちても、合格するまで挑戦すれば、最終的には合格できる」という根性論的風潮から、「課金ゲーム」「ナスへのお布施」とも揶揄されることも。

まあ、間違ってはないが、USCPA(NASBA)と百戦したら、家計殆しです(笑)

さて、USCPAの本質は、「100m走の瞬発力」と「マラソンの持久力」です。

この意味を正しく理解することが、USCPA攻略のヒント。

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b.100m走の瞬発力

「100m走の瞬発力」とは、いわゆる情報処理能力のこと。

厳しいタイムプレッシャー(制限時間)のかかる試験において、短時間で膨大な資料から必要な情報を取捨選択、情報処理する能力であり、広大な出題範囲からの問題に対して、テンポよく頭を切り替えていく能力でもあります。

これは、後述しますが、教科書や問題集の内容を、自分の言葉で言い換えて理解し、知識を体系化する作業、いわゆる「論点整理」が必要です。知識を、点から線に、線から面にしていくイメージ。

c.マラソンの持久力

一方で、「マラソンの持久力」とは、試験合格という中長期的な目標に向けて学習計画を立てて、時間管理、体調管理、勉強習慣、仕事との両立、モチベーション維持など、「学習環境の構築能力」です。

よくある失敗が、仕事が忙しく勉強時間が取れない、先が見えなくてやる気がなくなる、自分には向いてないという言い訳をして撤退するなど、いわゆる他責志向。

やる気やモチベーション、外部要因のせいにすることで、精神的な不安や羞恥をかき消して、正当化しようとする人、いますよね?

なにも、恥ずべきことではありません。人間は基本的に弱い存在で、困難から逃げるのが当たり前。

私自身も自分に都合のいい言い訳をして、何度も現実逃避しました。

そこで、孫子の言うように、己を知ることからはじめましょう。

弱いからこそ、効果的な学習環境を整える、しんどいからこそ、短期集中で最短合格する学習方法を習得する

先人の知恵や歴史から教訓を学び、より良く生きるという意識があれば、USCPA合格にグッと近づきます。

1.バックグラウンド(筆者情報)

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<筆者情報>
・7か月・750時間でUSCPAに一発合格。
・独自に編み出した学習戦略やオリジナルまとめノートは他の受験生からも好評で、オリジナル教材はUSCPA受験生の10人に1人が愛用(筆者独自調査)。
・再現性のある戦略やノウハウ、学習管理手法を体系化し、日本初となるUSCPA受験メンターとしてUSCPAメンタープログラムを開講中。

実は、USCPAに挑戦するまで、会計の勉強は嫌いでした。

簿記3級に6回も落ちるほど苦手で、できれば会計とは無縁の世界で生きていきたいと思うほどでした。

a.サルでもできる英語と会計

大学時代に、アメリカを拠点に活動していたとある師(メンター)がいたのですが、

「英語と会計が出来ないと、アメリカではサル扱いだよ」

と、いつも口癖のように言っていたのが、当時大学生だった私の脳裏に色濃く残っていました。

彼は、アメリカへの大学留学をきっかけに、USCPA取得、アメリカで大手コンサルファームでキャリアを積み、MBA取得(主席卒業)するなど、その行動力や実績には説得力がある人でした。

b.1年で取れる資格…USCPA

新卒で営業(商社)となり、会計とはますます疎遠に。

しかし、商社でのキャリアも、社内調整や接待、クソ残業の連続で、成長実感もなければ、市場価値も上がらない、専門性も身に付かない、という日々に嫌気がさして悩んでいた頃…

「USCPAは1年で取れるからオススメだよ」

という、学生時代に師からもらったアドバイスをふと思い出しました。

USCPAを取得することで、キャリアや人生にどんな影響があるのか、正直イメージは湧いていませんでした。

しかし、何もしないよりはマシだし、若くて気力も熱意もあるうちに行動すべきと思い、一念発起でUSCPAへの挑戦を決意しました。

2.合格戦略

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a.ルール設定

USCPAの学習開始にあたって、3つのルールを決めました。

これは、USCPAは長期戦であり、やる気や勢いだけでは頓挫してしまう懸念や、誘惑や仕事の忙しさを言い訳にしたくないという思いから、USCPA合格のための仕組み構築がカギになると、直感的に感じたからです。

b.ルール①|USCPAを最優先事項とする

①USCPAを最優先事項とする

「エッセンシャル思考」という本を読んだことがある方はご存知だと思いますが、

何かを選択するということは、もう一方を犠牲にする選択をするのと同じこと。

というトレードオフの考え方があります。

この考え方に基づけば、

接待や残業、飲み会などを断れない人は、いい顔をしてその瞬間はいい評価を貰えるかもしれませんが、その裏ではUSCPAの勉強時間を犠牲にする、という選択を自ら選んでいるという恐ろしさに気付いていないわけです。

「合格するまではUSCPAを優先する」という基準ひとつ設けるだけで、余計な心配や間違った意思決定をしなくて済みます。

「会社勤めである以上、上司の指示に逆らえないし、評価が下がれば元も子もない」という意見や心配は痛いほど良くわかります。

しかし、私自身驚いたのですが、クソ残業や無駄な接待をしたくないので、「誰よりも早く、質の高い仕事を日中に仕上げて、誰にも文句を言わせないぞ」という、信念が芽生えてから、仕事への取り組み方が激変しました

その姿勢や仕事の成果をなんと上司は評価してくれたので、その一見極端にも見える線引きに対して、文句を言われることはありませんでした。

c.ルール②|5:30am朝活

②5:30am朝活で、勉強習慣を確立

誘惑や心の弱さに打ち克って、自分を律することができる人間はそう多くないし、それを長期間継続できる人はほとんどいません。

新年の抱負を立てても9割以上の人が達成できないと言われるように、基本的に人間は3日坊主です。あなたも、わたしも。

しかし、意思決定の8割が無意識(習慣)に行われると言われるように、習慣という強力なパワーを味方にできれば、勉強することが当たり前になります。

なお、勉強習慣が定着するまでには1ヶ月かかるので、最初の1ヶ月は何とか食いしばりましょう。習慣化については、こちらで徹底解説しています。

d.ルール③|1日4時間(短期集中)

③1日4時間、短期集中

経験すると痛感しますが、1日に何時間もUSCPAの勉強をしていると、本当に頭が沸騰しておかしくなります。

英語で、会計を、何十問も解き続けると、体力と集中力をドッと使い切った感覚になります。

しかも悲しいことに、次の日にはあまり頭に残っていない…

人間が1日に高い集中力を発揮できる時間は、長くても4時間ほどという研究結果があります。

私は、頭が冴えた状態の時にしか、USCPAの勉強をしたくなかったので、4時間以上勉強しても、高い学習効果は得にくいという仮説を持って取り組んでいました。

実際に、勉強実績を振り返ると、平均4時間/日を切っています。

もちろん、1日1時間しかできなかった日もあれば、直前期には5、6時間詰め込んだ日もあります。

ただ、頭が冴えず、集中力がない日に無理矢理勉強しても、効果がないどころか、USCPA自体を嫌いになってしまうので、私にはこのやり方が合っていました。

3.科目攻略

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a.科目戦略の全体像

ここまでは、学習環境の構築について、私なりの考え方を話してきました。

ここからは、各科目への戦略・攻略法について考えをまとめていきます。

「USCPAの本質」にて、瞬発力、情報処理能力の話をしましたが、試験本番の時間配分を優位に組み立てるには、得点源となる分野を攻略することが手っ取り早いです。

計算問題や総合問題(TBS)は、どうしても時間がかかります。

USCPA(AICPA)は、4時間という厳しい制限時間の中で、得点源分野を即答できないと、全体を攻略できないような問題構成にあえてしているのではないか、とさえ思えてきます。

また、1問ずつじっくり考える暇はなく、フラッシュカードの如く、問題文に散りばめられたキーワードに反応して、問われているテーマの概要や注意点を瞬時に連想するという、ある種、職人技のような習熟度も必要です。

これは、「論点整理」の鍛錬を積んでいく他ありません。

この点は、後述の科目別の戦略や「オリジナルまとめノート」にて対応可能です。

b.FAR対策

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ここからは、科目別の戦略について、具体的に話していきます。

まずはFAR。

USCPAの勉強で、最も長く付き合うであろう科目であり、何人もの撤退者を生み出してしまうモンスター。とにかく範囲が広く、教材が多い。

もうこれだけで、USCPA入門者の心を折るには十分です。

その上、試験を受けると分かりますが、時間が足りず、落ち着いて回答できません。

1科目目がFARという受験生も多く、攻略法が確立していないまま、試験に挑むのは心もとないです。

上図のように、政府会計を得点源とすること、原則と例外のセットで論点整理をすることからはじめると、攻略の糸口を見出すきっかけになるでしょう。

詳しくは、FAR対策記事「もう悩まない、FAR対策」で解説しています。

c.AUD対策

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続いては、多くの受験生を沼に引きずり込んでしまうAUD。

受験の順番として、FARの次に受ける人は、FARのような計算問題(修正仕訳)や偶発事象・後発事象に関する問題も出題されるため、FARとの相乗効果は高いです。

逆に、FAR、BECについで3科目目に受験する場合、BECで学習したITや内部統制がモロにAUDに活きてくるので、こちらも効果的です。

沼からの脱出については、監査全体をイメージしながら問題を解く、ということがアドバイスの鉄板ですが…

正直これって、よく分からないですよね?

「全体像を意識する」というアドバイスよりも、「監査手続の定義と目的を正しく覚える」という方が、より実践的であり、しっくりくると思います。

たとえば、Test of Controlの定義は、内部統制の有効性を評価することであり、その目的はRMM(Risk of Material Misstatements)のうち、CR(Control Risk)を確定し、Substantive Testの程度を決める、というもの。

一方で、Substantive Testは、Misstatementsを Identifyすることを目的とし、アサーションを立証するために、監査証拠を入手する手続。

というように、監査手続の定義と目的を正しく理解することが、AUDという科目を攻略する基礎となります。

詳しくは、AUD対策記事「沼からの脱出、AUD対策」で解説しています。

d.BEC対策

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FAR、AUDと比べると、統計的にも体感的にも難易度は少し下がりますが、それでも油断大敵なBEC。

「広く浅く」というアドバイスを間に受けてはいけません。

出題頻度の高い、コーポレートガバナンス、リスクマネジメント、内部統制は確実に攻略することがポイントです。

攻略のコツは、AUDと同じように、定義をしっかりと理解すること。

そこまで深く突っ込んで、ネチネチと考える必要はないので、一度理解したら、徹底的に暗記作業に入りましょう

WC(ライティング)については、別記事で徹底解説する予定ですが、いわゆる型(文章構成)は少なくとも暗記する方がよいでしょう

ただし、各論点に対応した例文集なるものを丸暗記するなど、無謀なことはやめた方がよいです。

100個以上の例文なんて覚えられません、それよりも、上述のように、重要論点については定義を理解する訓練を積んでいるわけなので、基本的な内容は知らず知らずのうちに論点を理解できているはずです。

e.REG対策

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恐らく最後の科目となるであろうREG。

ほとんどの人にとって馴染みのない米国の商法や税法は何かとクセモノ。

特に、税法のBasisの考え方は独特の世界観なので、慣れるまで意外と苦戦するし、理解できないまま試験に特攻してしまう人も少なくありません。

REGに関して意識することは2つ。

1つは、FARの公会計と同じ要領で、REGの商法(Business  Law)とCPA責任を得点源分野と位置付けて徹底準備すること

もう一つは、Tax Form(税務申告書)に課税・控除に関する基準額や原則・例外などを書き込み、Tax Form自体を試験対策ノートのように活用すること。

もちろん、租税主体別の税務比較も丸暗記必須です。

4.学習プロセス

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USCPAに限らず、どの分野の勉強でも応用できる学習プロセスをうまく言語化したいと思い、料理に例えて上図にて説明したので、“味わいながら”見ていただきたいと思います。

どうしても、「早く次の章に行きたい。早く問題集を1周したい。」というように、焦ってダシをとってしまう人が多いように思います。

あるいは、「問題集10周したった(ドヤッ)!」、という人ほど、ある論点の定義や概要を一言で説明できない傾向にあります。

それではまるで、もう良いダシが取れないのに、ずっと煮込み続けてしまうようなものです。

USCPAの学習を終えた今だからこそ思うのは、

1日に5章も一気に進んで、翌日何も覚えていないぐらいなら、1日1章しか勉強しないが、朝昼晩のスキマ時間に定義や概要を何度も暗唱し、寝る前にはスラスラと人に説明できるレベルを目指す方が、長い目で見た時に近道。

ということです。

そのことにもっと早くそれに気が付けば良かったと、後悔の念すらあります。

5.応援グッズ(オリジナルまとめノート)

最後に、USCPAの受験勉強を支えてくれた、オリジナルまとめノートを紹介します。

満点を目指すためのものでも、全ての受験生に相性が合うものでも無いと思っています。

あくまで、最短合格を目指したい、直前期に予備校教材の山を読み返したくない、そして色々なものを犠牲にしてまで勉強してきた証を残したい、という個人的な動機から作成したものです。

はじめは、私の周りの受験仲間の役に立ったことが嬉しく、体裁を整えていったのがキッカケでした。

私自身、時間やお金など色々なことを犠牲にしてUSCPAに取り組んだ経験から、1時間でも、1日でも早くUSCPAから卒業して欲しい、という想いを受験生の方に届けたく、このような応援グッズという形にしました。

6.さいごに

長文にも関わらず、最後までお読みいただきありがとうございました。

USCPA受験生やUSCPAへの挑戦を考えている人、その他読者の方のお役に少しでも立てましたら、とても嬉しく思います。

いいね、コメント、商品購入、サポートなども大変励みになります。

引き続き、USCPA応援記事を発信していきたいと思います。

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