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ラッキーくん、さようなら
昨年の暮れに、里親さんのKさんから14年間飼われたラッキー君が死んだとのご連絡をいただきました。お住まいが近いせいもありお会いした折に様子はうかがってましたが、最後の数日は飲まず食わずで静かに眠るように亡くなったとのことでした。早速お悔やみに伺いお別れをして来ました。命尽きた感じで枯れ木のようにがりがりにやせ細ってましたが、安らかな死に顔でした。
私が世田谷に住んでいたころ、下北沢のアパートで中年女性が多頭崩壊らしい状況と知人の税理士から連絡がありました。今でこそ多頭崩壊は多いのですが、そのときはまだその言葉も珍しいくらいでした。アパートの一室はネコだらけで、中には足を引きずっているネコもおり、風呂場も数匹集まって足の踏み場もなく、いったいその女性はどんな生活をしてたのでしょうか?彼女は自分の好きな猫を1匹だけ連れて越していきました。彼女は一件まじめそうな事務職員でしたが、引っ越し先でまた同じような問題を起こすような気がしています。
猫の匂い等の苦情が大家さんの耳に入り、急な立ち退きとなり、親族が右往左往してる中、私は3匹のシニアの猫を引き上げてまいりました。その中のシニアで顔の大きく、存在感のあるおとなしいオス猫がラッキー君でした。
里親会で中年夫婦が立ち止まりクリスマスプレゼントはこの子がいいと奥様がご主人に言っておられ、可愛い小さな子猫達がいるにもかかわらずシニアのラッキー君を選ばれたのです。その頃の年齢から考えると死亡年齢は20歳ぐらいはいっていたかもしれません。病気もしない目力の強い猫で親孝行さんでした。当初は大きなゲージの生活でしたが辛抱強くKさんは馴らしてくれ自然に家族となりました。帰り際ご主人が浴室で何か音、気配があると言っておられ私たちは顔を見合わせ、まだそばにラッキー君がいるんだと実感し、私の不思議な体験をし、帰途につきました。
ラッキー君の冥福を祈るとともに、良いご縁をいただいた里親のKさんご夫妻、長い間愛情をかけてくださり本当にありがとうございました。