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「AIMタンパク」治療薬は猫に圧倒的に多い腎臓病から、猫を救うのか?

結論は、非常に可能性が高いと考えています。
そして、2026年~2027年頃に薬の実用化を目指しているとのことです。
おまけに、猫の腎臓病がトレードオフ(何かを得る為に何かを捨てる)である可能性は?


そもそも「AIMタンパク」とは?
その名前にも出てくる「マクロファージ」との関係は?

「AIMタンパク」の略語部分は「Apoptosis Inhibitor of Macrophage」で、直訳すると「マクロファージの細胞死を抑制する+タンパク」となります。

そして「AIMタンパク」はこの「マクロファージ」で作られます。

つまり、「AIMタンパク」は自分を作った「マクロファージ」の寿命を延ばすタンパクということになります。

しかし、これは「AIMタンパク」発見者の元東京大学教授で、現在AIM研究所代表の「宮崎徹先生」が偶然に「AIMタンパク」を発見した時に、最初に分かった働きで付けた名前で、現在はもっとたくさんの働きが分かっています。

「マクロファージ」は病原体を含むいろいろなゴミ(異物)を食べて体をそうじします。

そして、体にゴミが発生すると「AIMタンパク」はそのゴミに貼りついて「マクロファージ」に食べるべきゴミを示す目印の働きをします。

「IgM」とは?
「AIMタンパク」と「IgM」との関係は?

ふだんは「AIMタンパク」は「IgM(アイジーエム/免疫グロブリンエム)」と結合して血液中に存在しますが、そのままでは不活性で働きません。

この「IgM」は免疫反応の初期にたくさん作られる抗体であり、マクロファージが食べるべきゴミが出たことなどを感知します。
その後、「AIMタンパク」が「IgM」と離れてゴミに貼りつきます。

猫の「AIMタンパク」の特殊性とは?

そして驚くべきことに、猫(猫科の動物全体)の場合はこの「AIMタンパク」と「IgM」の結合が人を含む他の動物よりと非常に強い(約1000倍!!)とのことです。

だから、猫は「AIMタンパク」が「IgM」から非常に外れにくいというのです。

「IgM」は分子量が大きいので、「IgMに結合したままのAIMタンパク」は血管外にさらには腎臓に移動できず、マクロファージが腎臓のゴミを掃除できません。

つまり、人や他の動物では「AIMタンパク」と「マクロファージ」のゴミそうじ機能で改善する一時的な腎臓障害が、猫では改善せずそのまま慢性腎臓病に進んでしまう原因になるということです。

これが猫に慢性腎臓病が多い原因の主な原因だとのことです。

以前は家猫の祖先と言われているのはリビアヤマネコで、砂漠に住んでいたので少ない水で生きていける様になった。
しかし、それが腎臓に負担をかけているのではなどとされていました。

予防と治療に移ります。

腎臓病の猫でも、体外で作った「AIMタンパク」を注射すると腎臓でゴミそうじ(マクロファージの貪食)が始まるとのことです。
そして慢性腎臓病(CKD)に進行しにくくなったり、すでにある慢性腎臓病の症状が改善することも明らかにされています。

現在では猫の「AIMタンパク」を離れやすくする物質も見つかっており、すでに「AIMタンパク」を離れやすくする物質を加えた腎臓病予防食が発売されています。

ありがたいことに、家族が我が家のシロにも食べさせてくれていました。

治療薬は「AIMタンパク」の注射薬のようです。
AIM研究所では2026年~2027年頃の製品化を目指しているとのことでした。

そして、宮崎徹先生は猫の腎臓病だけでなく、人のゴミが溜まっておきる病気(腎臓病もですが、アルツハイマー病など)にも治療を広げたいと考えている様です。


まとめ。

猫の「AIMタンパク」は機能せず腎臓のそうじができないので、猫に腎臓病が圧倒的に多い。
「AIMタンパク」の注射薬で猫の腎臓病はかなり予防・治療できる可能性が高い。

おまけ。
猫の腎臓病が進化の過程でのトレードオフ(何かを得る為に何かを捨てる)の結果である可能性は?

ところで、最近ずっと気になっていることがあります。
猫の腎臓病は進化の過程のトレードオフではないか?ということです。

猫の寿命は、同じ祖先から分かれている犬の寿命より少し長いのです。

室内飼育の割合の違いの安全面なども関係しているかも知れませんが、腎臓病というハンデがあっても寿命が長いのはそれがトータルでハンデになっていないのでは?

それはまた調べて報告します。


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