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〔ショートショート〕世界一しょぼいタイムスリップ

T高校発明部に「やったぞ!」と勝浦が飛び込んできた。先に来ていた部長の吉野と後輩の祖谷は、揃って勝浦を見つめる。
「俺、タイムスリップマシン発明した!」
「マジで!」
「凄いです、先輩!」
満面の笑みで、勝浦はポケットからコインケースのような物を取り出した。
「まだ、この大きさしか対応できないんだけどさ。でも凄えだろ」
2人が大きく頷くと、今度は反対のポケットからコインチョコを取り出す。
「このマシンに入れて1時間待つと、5秒前の状態に戻るんだ」
「え?1時間待つと」
「5秒前?」
ポカンとする2人に、勝浦は「見てろよ」と言うと、コインチョコを囓り素早くマシンに入れた。
待つこと1時間。ケースを開けると、コインチョコは元通りになっている。
「確かに戻ってる!凄い!凄いけど……」
「5秒前って、ハードル高いです……」
「そう!で、改良しようと奮闘してたら、またテスト勉強する時間なかったよ。ハハッ」
乾いた笑い声が響く。今日も発明部は平和だ。
(完・410字)


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