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medetaico
〔ショートショート〕ときめきビザ
「ときめきが無いんだよな」
T高校の発明部員、勝浦が呟いた。
「何だよ急に」
部長(と言っても発明部は二人しかいない)の吉野が、驚いて勝浦を見る。
「この間、1組の佐藤さんが可愛いって力説してたのに?」
勝浦は遠くを見て言った。
「佐藤さん、バスケ部の大塚と付き合ってた」
「……」
「発明部の俺には、ときめく資格も無いのかな」
「そんな……あ、そうだ!」
吉野が、鞄から桜色の小瓶を取り出す。
「この香り、試してみるか?」
「何だそれ」
勝浦がつまらなそうに聞く。
「最近、香りの研究しててさ。これは名付けて『ときめきビザ』。効果は一時的だけど、ときめくはず」
「良いけど…」
「じゃ、蓋を開けて」
勝浦は蓋を開け香りを嗅ぐ。と、すぐに表情が明るくなった。効き目抜群だ!
「…なあ、吉野」
「うん?」
「お前って、よく見ると素敵」
「……え?」
潤んだ瞳で吉野を見る勝浦。吉野はハッとして後退り、鞄と小瓶をつかむ。
「ま、また明日!」
早口で言うと全力で駆け出した。
(完・410字)
こんばんは。こちらに参加させていただきます。
最近は書けていなかったので、久しぶりかも。何週間ぶりだろう?
たらはさん、お手数かけますが、よろしくお願いいたします。
読んでくださった方、ありがとうございました。